阿部寛主演の日本×台湾共同製作映画『キャンドルスティック』のジャパンプレミア開催が決定し、併せて場面写真が解禁された。
天才ハッカー・野原(阿部寛)は、ハッキングによる株価操作の罪で刑務所に収監されていた。そんな彼の前に現れたのはFXトレーダーの杏子(菜々緒)。一方、サイバー大国・台湾のリンネ(アリッサ・チア)は、野原の卓越した技術を利用し、FX市場で巨額の利益を得ようと企む。その作戦とは、金融取引の番人である「AIを騙す」こと――。決行日は、日本に新天皇が誕生し、金融機関が最も警戒を緩める2019年5月某日。杏子は野原に、自らと同じ「共感覚」を感じ取り、計画をサポートすることを決意。そして、かつての仲間たちも次々と呼び戻されていくのだが…。本作で描かれるのは、「騙し、騙され」金が巡る世界の縮図。日本、台湾、イラン、ハワイ――世界4か国6都市を舞台に、美しき男女が仕掛けるスリルと策略が交錯するマネーサスペンス。罠にはめられ、すべてを失った元・天才ホワイトハッカーで“AIを騙す”計画の発案者・野原を演じるのは阿部寛。FXトレーダーで、野原にも自分と同じ共感覚を感じ、計画をサポートする杏子を菜々緒、杏子の元夫で数学者の功を津田健次郎が演じる。
今回、本作のジャパンプレミアが6月19日(木)に開催されることが決定した。都内イベント会場で夕刻に実施予定となっている。イベントには阿部寛、菜々緒、アリッサ・チア、サヘル・ローズ、津田健次郎、リン・ボーホン、YOUNG DAISの国際色豊かな豪華キャスト陣に加え、本作で長編映画初監督を務めた新鋭・米倉強太監督も登壇。一筋縄ではいかない“ろくでなしたち”を演じた総勢8人が一堂に会する。
また、米倉強太監督が語る阿部寛&菜々緒のキャラクターと撮影エピソードが到着した。
野原(演:阿部寛)について
本当に、これだけの役者陣をまとめ上げられたのは、阿部さんがいたからこそだと思います。僕自身も含めて、阿部さんが導いてくれた、そんな現場でした。
現場では、阿部さんとたくさん会話しました。僕から質問することもあれば、阿部さんの方から「どうしたい?」と問いかけてくれることもあって。「こうした方がいいんじゃない?」みたいに決めつけるのではなく、あくまで僕自身の意志を引き出すようなスタンスでいてくれました。それがすごく話しやすかったし、自分の意見も言いやすかったですね。そういう意味でも、阿部さんは僕を“監督になっていく”というプロセスへと導いてくれた人です。現場中、ずっと階段を一段一段上らせてくれているような感覚がありました。
また、野原というキャラクターを描くにあたって、最初に悩んだのが「彼を感情豊かな人間にするか、それともAIのような無機質な存在として描くか」という点でした。もし彼を感情の起伏が激しい人物にしてしまうと、物語全体のバランスが崩れてしまう気がしたんです。
結果的には、野原を「まるでコンピューターのような男」として描くことにしました。彼はハッカーやポーカープレーヤーに共通するただ無感情ではなく内面に感情を持ちながらも、それを外には出さずに処理できる才能を持つ人間像として表現しました。
杏子(演:菜々緒)について
菜々緒さんは、現場では本当に周囲のスタッフと気さくにコミュニケーションを取っていて、すごく朗らかな雰囲気を作ってくれました。一方で、僕自身は現場であまり雑談をしないタイプなので、菜々緒さんとは必要なことをじっくり言葉を交わす、という距離感でした。
でも、杏子というキャラクターについては、菜々緒さんからさまざまな意見や提案をいただきました。「このセリフ、杏子なら言わないんじゃないですか?」「ここはちょっと杏子っぽくないかもしれない」といった具合に、細かいニュアンスまで丁寧に向き合ってくださって。野原との関係性についても、同様に深く掘り下げて考えてくれていました。
今回の杏子という役柄は、菜々緒さんにとってもこれまでにない新しい挑戦だったと思います。これまでは、華やかで強く輝く女性の役が多かった印象がありますが、今回はそれとはまったく違う、静かで内面に力を秘めたキャラクター。だからこそ、ご本人も楽しみながら演じていたように見えました。「いかに“自分”に見せないか」という意識で、メイクも含めてかなり繊細に作り込まれていて、白髪もあえてそのままにしていたほど。むしろ、その静けさが杏子という人物の品格として映っていました。
さらに、緊迫感に満ちた“ろくでなしたち”の揺れ動く感情が色濃く映し出されている場面写真が解禁された。かつてはエリートプログラマーとして将来を約束されながら、その道を完全に外れ、今は愛車・ウーズレーに車中泊を繰り返す日々を送る野原(阿部寛)。彼の相棒である赤いウーズレーは、劇中ではすべてを失った孤独な野原の心情に静かに寄り添う存在として登場する。
そんな野原は、FXのセミナーで、自分と同じく数字に色がついて見える“共感覚”を持つ女性・杏子(菜々緒)と出会い、やがて惹かれ合っていく。それにより彼女は数学者の夫・功(津田健次郎)との間で修羅場を迎えることになり、その緊迫した場面も。一方、野原は過去に因縁を持つリンネ(アリッサ・チア)の陰謀に巻き込まれ、AIを欺く金融トリックという知能戦に挑むことに。そんな葛藤に苦しむ彼を、杏子がそっと抱きしめ支える。
台湾の若き経営者ルー(リン・ボーホン)の眼光鋭い眼差しや、立ち退きの危機に直面する福祉施設を守ろうと奔走する吉良(YOUNG DAIS)と、彼を励ます中東出身の美女・ファラー(サヘル・ローズ)の鬼気迫る表情も印象的だ。運命の日、5月7日にすべてを賭けた者たちの行く末とは―。
『キャンドルスティック』は2025年7月4日(金)より新宿バルト9ほか全国で公開
監督:米倉強太
出演:阿部寛、菜々緒、アリッサ・チア、サヘル・ローズ、津田健次郎、リン・ボーホン、YOUNG DAIS、マフティ・ホセイン・シルディ、デイヴィッド・リッジス、タン・ヨンシュー
配給:ティ・ジョイ
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