『フロントライン』のジャパンプレミアが5月28日(水)に丸の内ピカデリーで行われ、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、関根光才監督が登壇した。
本作は世界規模で人類が経験した新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化。物語の舞台は、2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。乗客乗員は世界56か国の3,711人。横浜入港後の健康診断と有症状者の検体採取により10人の感染者が確認されたことで、日本が初めて治療法不明の未知のウイルスに直面することとなった。この状況下で<最前線>に駆けつけたのは、家族を残し、安全な日常を捨てて「命」を救うことを最優先にした医師や看護師たちだった―。当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、急きょ対応することになったのは災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMATだった。DMATとは、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team)を略した、医師、看護師、医療事務職で構成され、大規模災害や事故などの現場におおむね48時間以内から活動できる専門的な訓練を受けた医療チーム。地震や洪水などの災害対応のスペシャリストではあるが、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていない医師や看護師たちだった。
冒頭で、本作について「かなりの自信作、胸を張ってお届けできる作品」と話す小栗は「みなさんと一緒に映画を作れたことを誇りに思っています」と挨拶した。松坂は「コロナ禍を経験したみなさまだからこそ得るものがあると思いました」と話し、「思い出すことだったり感じることがあると思います」とコメント、窪塚は「脚本を何度も読んでいるのに完成した作品を見て涙が止まらないシーンがたくさんありました」と明かした。
ダイヤモンド・プリンセスで新型コロナウイルスの集団感染があった2020年当時のことについて、当時海外にいたという小栗は「報道でも見ていました」と明かしつつ、「日本の緊急事態宣言よりもきついロックダウンという状態で過ごしていた」と振り返り、ダイヤモンド・プリンセスの入港については「実際に何が起こっているか見えない」と当時の心境を語った。また、当時横浜に行く機会があったという池松は「静かな海に優雅にキラキラしていて、嘘みたいにきれいで。これが報道されているダイヤモンド・プリンセス号かと思って見ていた」と話しつつ「報道されている船内の状況とギャップに感情が追いついていかなかった」と振り返った。
小栗演じる結城英晴は医師・阿南英明をモデルにしているが「モデルの先生方がいらっしゃいますが、その実在するみなさんになるというよりは役を通して、彼らが感じたもの、受け取ったものを表現した」といい、「経験されたことを全部僕らに話してくれたり、その時にどんな思いで向き合っていたのかをお伺いしたうえで、DMATは一番に何を大切にしたのか、どんなことを優先的に選択したのかという思いは大切にしながら役をやっていこうと思いました」と振り返った。
「その時にどう感じたかが大事」という松坂は「批判はされるけど評価はされにくい」という役柄を演じるうえで「周りには伝わりにくい仕事なんですけど、厚労省として今回の出来事への向き合い方を提示したいと思っていたので大事に演じさせていただきました」と振り返った。撮影では「(DMATの隊員が)真摯に現場を見守ってくださった」という池松は「何でも聞ける状態を作っていただいたことが助けになりました。5年前の感謝を含めて、日ごろの感謝を含めて、医療従事者の方々に捧げられる役にしたいと思っていました」と自身の思いを語った。
さらに「名もなきヒーローたちが日本だったり、世界を支えて、命を懸けて支えてくれているんだなとこの映画を通して伝えられると思う」と話す窪塚は「DMATのみなさん、乗船していたスタッフのみなさんもそうだけど、諦めずに命を懸けて、国を守るべきか命を守るべきかと」といい、「今から生きていく力になる映画だと思う」と熱く語った。
【写真・文/編集部】
『フロントライン』は2025年6月13日(金)より全国で公開
監督:関根光才
出演:小栗旬
松坂桃李、池松壮亮
森七菜、桜井ユキ
美村里江、吹越満、光石研、滝藤賢一
窪塚洋介
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2025「フロントライン」製作委員会