『ババンババンバンバンパイア』が韓国・富川で開催中の富川国際ファンタスティック映画祭「Merry-Go-Round部門」に出品され、7月8日(火)に行なわれたQ&Aに 吉沢亮、浜崎慎治監督が登壇した。
「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載中の奥嶋ひろまさによる大人気コミック『ババンババンバンバンパイア』を映画化した本作。銭湯で働く森蘭丸、その正体は450歳のバンパイア。究極の味わいである「18歳童貞の血」を求める蘭丸は、銭湯のひとり息子であるピュアボーイ・李仁の純潔を見守る日々だったが、ある日李仁がクラスメイトの葵に一目惚れ。李仁の初恋が成就してしまえば、すなわち童貞喪失の危機。李仁の純潔を守るべく、あらゆる手を使い初恋を阻止しようと、蘭丸による決死の大作戦が始まる―。主人公の銭湯で働く美しきバンパイア・森蘭丸役には吉沢亮。蘭丸が血を求める天真爛漫ピュアボーイ・立野李仁役には板垣李光人。李仁の初恋相手で、蘭丸の正体がバンパイアであることを確信し彼に恋心を抱く篠塚葵役に原菜乃華。さらに蘭丸に恨みを抱く兄・森長可役に眞栄田郷敦、バンパイアハンターとして蘭丸を追う坂本梅太郎役に満島真之介、葵の兄で不良たちをまとめる脳筋番長・フランケンこと篠塚健役に関口メンディーなど豪華キャストが集結する。
7月4日(金)から公開されている本作が、国境を超え「富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭」、「ニューヨーク・アジアン映画祭」で上映が決定。今回、開幕中の富川国際ファンタスティック映画祭 「Merry-Go-Round部門」で海外初上映され、上映後のQ&Aセッションに主演・吉沢亮、浜崎慎治監督が登壇した。
映画祭会場に向かう前、地元民に愛されている富川市内の「サンドン市場」を散策した2人は、店先に並ぶキムチやヤンニョムチキンなど韓国ならではの食べ物や風景に興味津々、束の間の韓国を堪能。今回が初めて海外での上映となり、韓国の観客に映画を観てもらうことに対して吉沢は「このコメディーの感じを韓国の皆さんがどう受け取ってくださるのか、また日本初のコメディーバンパイア映画なので新鮮に映ってくれるといいなという気持ちで反応が楽しみです」と登壇前の想いを明かした。
上映中、満席の客席から度々爆笑が沸き起こっていた本作。エンドロールが終わると同時に場中から大きな拍手が起こり、そんな中ステージに登壇した2人。吉沢は「アニョハセヨ~!(会場拍手)本日はこんなに大勢の方に本作を観ていただき、心から光栄に思っております。この映画の森蘭丸を演じさせていただきました、吉沢亮と申します。皆さんもすごく盛り上がってくれたという話を聞いて非常に嬉しく思います!今日はよろしくお願いいたします」と観客を前に嬉しさを語り、浜崎監督は「映画『ババンババンバンバンパイア』皆さんいかがでしたでしょうか!監督の浜崎と申します。今日はよろしくお願いします」と挨拶した。
Q&Aセッション
――原作から映画のプロジェクトに参加された背景を教えてください。
監督 プロデューサーから原作を読んでいただきたいと言われ、原作を読ませていただいたのですが、とってもおバカな内容だなと思いまして(笑)どのように映画化できるかという不安もありました。ストーリーの根っこにある「18歳童貞の血を奪う森蘭丸」というのがすごく面白かったので、まずは脚本にしてみようということで参加させていただきました。
――現在『国宝』で全世界からも注目をされ本会場でも多くの歓声を浴びておりますが、吉沢さんも本作に参加される経緯を教えてください。
吉沢 浜崎監督とご一緒させていただくということで、前回の『一度死んでみた』という作品が、本作同様に登場人物が敵役も「全員愛せるバカ」というか、どこかしら抜けている部分があって本当に可愛らしいキャラクターが出てくる映画で、その空気感がすごく好きで、今回も主演という形でオファーをいただいて、浜崎監督の作品ですし、ぜひとも出演したいという想いで受けさせていただきました。
――アニメ化もされた『ババンババンバンバンパイア』原作とアニメと映画の差別化や魅力を教えてください。
監督 原作の漫画があってアニメにもなり、今回実写映画ということだったのですが、原作が持っている根本的なキャラクターの性格部分は変えず、ただ一本の映画を作るときに色々なエッセンスを抽出する作業を行うことが今回大きかったなと思っています。それをまず脚本に落とし込み、どうやったらこのストーリーが面白くなるかと考えた時、大枠は森蘭丸と李仁の話なんですよね。そこで色々なキャラクターが登場していくという流れなので、キャラクターソングを作りこちらを軸にしながら話を前に進めていく、歌でキャラクターを紹介していくことをやりました。原作にもアクションなどあるんですけど、大きな軸は歌に落とし込んで、コメディ感を出しつつというのを意識したポイントです。
――森蘭丸を演じる上で準備したことや、蘭丸という人物をどう思っていますか?
吉沢 蘭丸を演じる上で準備したことは、この『ババンババンバンバンパイア』(流暢な言い方に会場笑いが起こる)の撮影に入る少し前に『国宝』の撮影があり、女形で体が痩せている状態でした。漫画の蘭丸は結構身体がムキっとしているので、撮影に入る1か月で出来ることは限界があるのですが、筋トレとご飯を食べたりしながら身体を大きく、というのはすごく準備はしましたし、あとはやはりビジュアル面ですかね。髪型や衣装など原作の森蘭丸という見た目をそのまま僕がやっても、それが僕自身にフィットしないと良くないというか、僕が森蘭丸の格好になってちょうど良い形にどう落とし込むのがいいのかはすごく意識しました。
(蘭丸という人物について)450歳で色んな人間界を見てきたバンパイアは心が枯れているというか、ある種バンパイアとして人間を同じ生物と思っていないという部分を強調しながらも、李仁という人物に対しては、ものすごく人間臭くなってしまうという、そのギャップに面白さが出ればいいなと意識しながら演じていましたね。
――信長の侍精神を先に描かれて、一番最後に最愛の人物に対する意見を蘭丸が言うシーンがあり、これはある意味コメディとシリアスを行ったり来たりする映画だと思うのですが、どのような演出をしたのですか?また監督の最推し(一番好きなキャラクター)なんですか?
監督 僕が気を付けたのは(キャラクターの)感情の落差がある作品なので、役者の皆さまには全部真剣にやってくださいと伝えていました。コメディを意識しないでくださいと伝えていました。とにかく毎シーン真剣に、全力でやってもらう事が第三者から見た時に面白くなると思っていたのであえて特別な演出はしていません。最推しは蘭丸です。間違いなく。
――バンパイアは永遠に生き続けますが、もし吉沢さんがバンパイアになったらどんな仕事をしながら永遠に生き続けますか?また、吉沢さんは日傘を使っていらっしゃいますか?
吉沢 450年分の年月をかけないと出来ない事をやりたいなと思っていて、木を植えて450年経ったらどこまで伸びるのかを知りたいです。日傘は使いません(笑)
――コマーシャルでどのように皆さんに興味を持ってもらうかと考え、撮影をされているからこそ、役者の皆さんの魅力が生きていると思います。その経験が生かされて素晴らしい映画が出来たと思うのですが、その経験をどのように本作に生かしているのか教えてください。
監督 普段、コマーシャルを作っているので情報処理能力は上がっていると思うのですが、本作は説明しないといけない要素があるので、蘭丸を軸にキャラクターの見せ場を作ろうと思いました。キャラクターソングも含めてですが、キャラクターが生きるんじゃないかと思いました。
最後の挨拶で浜崎監督は「初めて韓国で上映できて皆さんの反応がとても気になっていたのですが、皆さん好意的に受け入れてくださって、伝わるかなと思っていた部分も受け取っていただいていてすごく安心しました。日本の(笑いの)ニュアンスもそんなに遠くないんだなと思いました。日本の歴史上の人物が出てくるので最初は分からないかも、と思ったのですが理解していただいて嬉しかったです。今日はありがとうございました」とコメント、吉沢は「本日は本当にありがとうございました。監督もおっしゃっておりましたように、僕もこの作品をどのように皆さんが受け取っていただけるのか楽しみでもあり少しドキドキと不安があったのですが、皆さんが僕たちの伝えたいニュアンスを受け取ってくださったような気がして本当に嬉しく思います。僕はお仕事で韓国に来させていただいたのは初めてなのですが、韓国の皆さまとお会いできてとても嬉しかったです。また別の機会でも韓国に来れることを楽しみにしております」と、本作が国境を超え受け入れられたことに改めて喜びを語り、終始和やかな雰囲気の中幕を閉じた。
【提供写真、オフィシャルレポート】
『ババンババンバンバンパイア』は全国で公開中
監督:浜崎慎治
出演:吉沢亮
板垣李光人
原菜乃華、関口メンディー/満島真之介
堤真一
音尾琢真、映美くらら
笹野高史
眞栄田郷敦
配給:松竹
©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022