『雪風 YUKIKAZE』の完成披露上映会舞台挨拶が7月9日(水)にTOHOシネマズ日比谷で行なわれ、竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、田中麗奈、藤本隆宏、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、脚本を担当した長谷川康夫、山田敏久監督が登壇した。

80年前――平和な海が戦場だった時代、数々の激戦を最前線で戦い抜いた駆逐艦「雪風」は、僚艦が大破炎上していく中、絶えず不死身ともいえる戦いぶりを見せた。主力である甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは「雪風」ただ一艦のみだった。軽量で機動性に優れた駆逐艦は艦隊の先陣を切って、魚雷戦を仕掛け、対空戦闘によって、中心となる戦艦、空母などを護るのがその役目である。「雪風」は敵弾をかいくぐりながらその任務を果たし、必ず生き抜いた。そして決まって戦場に留まると、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救い、共に帰還させた。つまり戦うために出撃しながら、最後は必ず人を救い、還ってくる。それこそが“幸運艦” “不沈艦”と呼ばれた「雪風」に課せられた天命ともいうべきものだったかもしれない。

雪風の艦長・寺澤一利役を演じた竹野内は、役作りについて「自国を守るために最前線に出ていく駆逐艦の艦長たるその責任の重さ。それは役作りをする上で、どんなに考えても考えても、最後まで答えを見出せずに撮影に突入していったという感じでした」と、大役を演じる上での葛藤を明かした。その一方で「実際撮影が始まってみると、ここにいる最高のキャストの皆さんと一緒に演じていく中で、皆さんのその一致団結した姿に支えられて、気づいたら、いつの間にか艦長にしていただいたという気持ちでした」と、共演者への感謝を口にした。

本作で竹野内と初共演となった玉木は、本作で演じる早瀬幸平について「(専任伍長は)本当に船のことを知り尽くした人間であり、現場をまとめるような役どころということで、できる限り熱量を持って、現場をまとめるような意識で役に臨んだ次第です」と振り返った。竹野内の印象については「すごくニュートラルな方で、お茶目なところもあったりして、一緒にいて楽しくさせていただける先輩です」と語り、移動中の車内で玉木のために竹野内がエアコンの風向きを細かく調整してくれたという心温まるエピソードも披露した。

一方、竹野内も玉木について「鍛え上げられた体型、そして腹から響き渡る声、どれを取っても専任伍長という風格がみなぎっていて、リーダーとして現場をまとめる姿がとても素晴らしかった」と絶賛した。

本作若き水雷員・井上壮太役を演じる奥平は「井上壮太はすごく若い方で、僕自身も撮影現場ではおそらく最年少でした。今の20代の人間として、この戦争のことや雪風のことを、ちゃんと等身大の目線で見ようという努力をしました」とコメントし、「これを観てくださる方々の目線と、井上が見ている目線はすごく近いものなのかなと思っていて、そこをしっかり自分の主観で見れるようにしていました」と本作での役へのアプローチを語った。

夫の帰りを待つ妻・寺澤志津役を演じた田中麗奈は「(夫役の竹野内とは)初めて共演させていただいて、私は竹野内さんとご一緒のシーンしかありませんでした」と前置きし、「緊張して現場に入っていたんですけど、竹野内さんから出てらっしゃる温かい優しいオーラが、本当にリラックスさせてくださいました」と撮影を振り返り、「志津は、久しぶりに帰ってきた夫に対して、穏やかに過ごしてほしい、普段の日常と変わらなく過ごしてほしいと思って演じましたので、そういった竹野内さんの空気感に救われました」と、役柄と自身の心境を重ねて語った。

また、竹野内は「この映画を拝見した時に、決して歴史の1ページとして終わらせてはならない、そういう作品だなと感じました。私たちはどんな資料や体験談から学ぶことができたとしても、決して本当の戦争の恐ろしさは、絶対に知り得ることはできないと思うんです」と話し、「ですが、当時を生きた人々の心情を、映画から皆さんと一緒に体感することによって、より深くあの当時の情景が皆さんの心に深く残せるのではないかと思って、スタッフ、キャスト一同、一丸となって本作を心を込めて作りました。どうか、本当に多くの皆さんに広くこの映画が伝わることを切に願っております」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『雪風 YUKIKAZE』は2025年8月15日(金)より全国で公開
監督:山田敏久
出演:竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ
 藤本隆宏、三浦誠己、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央
 田中麗奈、益岡徹、石丸幹二、中井貴一
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス 
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