『海辺へ行く道』の完成披露上映会が7月17日(木)に新宿ピカデリーで行われ、原田琥之佑、麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽、菅原小春、横浜聡子監督が登壇した。

脚本・監督は、『ジャーマン+雨』『ウルトラミラクルラブストーリー』『俳優 亀岡拓次』『いとみち』で話題を巻き起こしてきた横浜聡子。最新作は、知る人ぞ知る孤高の漫画家・三好銀の晩年の傑作「海辺へ行く道」シリーズを映画化。主演を務めるのは約800人のオーディションを経て主演を射止めた15歳(当時13歳)の俳優・原田琥之佑。麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽、菅原小春、諏訪敦彦、村上淳、宮藤官九郎、坂井真紀ら個性豊かな大人たちに加え、蒼井旬、中須翔真、山﨑七海、新津ちせなど、実力派の若手俳優たちが見事集結。さらに、様々なシーンから熱烈な支持を受ける至高のラップトリオDos Monosのフロントマン荘子itが、初の映画音楽を担当。

主人公・南奏介を演じた原田は、撮影が行われたのが2年前であることに触れ、「撮影から身長も13センチ伸びて顔も凄く変わってしまったけれど、誰だ?とはならずに、今日はよろしくお願いいたします」とユーモア交じりにニッコリと笑顔で挨拶。800人参加のオーディションから大抜擢されての映画初主演だが「選ばれたときは素直に嬉しかったです。横浜さんと初めて話した時は色々なところを隅々まで見透かされている気がして、この人には嘘が通じないと思った」と回想した。

さらに夏の小豆島での撮影について原田は「毎日が楽しくてワクワクして、まるで本当に島にいる少年みたいな気持ちになった。撮影終わりに遊びに行ったりして、キャラクターにどっぷりと入れるような環境でした」と懐かしそうだった。そんな現役高校生・原田を抜擢した横浜監督は「原田くんは現代っ子という感じだけれど、画面に映るとノスタルジックな匂いがした。観客の皆さんにもその懐かしい雰囲気を観て感じてもらいたいです」と独特な個性を絶賛していた。

奏介と一緒に暮らす南寿美子役の麻生は、横浜監督作としては映画『ウルトラミラクルラブストーリー』、『俳優 亀岡拓次』に続いて3度目の出演。「私は横浜監督の演出が大好き過ぎるので今回も痺れました。奏介とのやり取りの中で猫が出て来る場面では『悪意のある感じで』とか、うたた寝している場面でも『まるで幽霊みたいに』とか予想外の演出をされると役者としてはワクワク。演じるのが本当に楽しかったです」と手応えを口にした。

夏の小豆島で撮影を敢行した本作にちなんで「夏の思い出」を大人キャストのそれぞれが発表。街の不動産屋に勤める理沙子役の剛力は、高校時代の思い出を振り返り「当時、仕事でバンドを組んでいて半年後にイベントをする企画がありました。夏休み中にみんなが私の実家に泊まりに来て、みんなでカレーを食べたり、スタジオに行って毎日練習して最終日に花火をしたりしました。この映画を観た時にそれをふと思い出して、ど真ん中の青春をしていたなと思った」と懐かしんだ。

街にやって来た包丁売りの男・高岡役の高良はデビュー直前の話として「高校3年の夏にオーディションで『ウォーターボーイズ』に受かって、みんなで1か月くらい奄美大島に合宿していました。まだその時は高校生だったので、熊本から通いながら練習をしていました。撮影の休みの間は奄美大島のホテルの前の海に飛び込んだり、花火をしたり、釣りをしたり、自転車で島を回ったり。仕事を始めたばかりのあの夏は忘れられません」と回想した。

中学時代にソフトボール部でキャッチャーを務めていたという麻生は「強くなりたいと思って紐をつけたタイヤを引っ張ってランニングしていました。漫画で見たことがあるのでいいのだろうと思ったけれど、引きずるのは無理。動かないから一瞬でやめました」とまさかの青春を明かして、会場の笑いを誘っていた。アーティストの借金の取り立てに東京からやって来たメグ役の菅原は「夏の思い出は…ありません!ダンスばかりをしていたので」としながらも「当時付き合っていた彼氏のケイタ君と花火大会に行きました。ピンク色の浴衣を着て。私の夏の思い出は苗字を覚えていないケイタ君です」とこちらも会場を笑わせた。高岡の恋人・ヨーコ役の唐田は「地元の盆踊りで太鼓を叩く係で、その祭では小学校から長い間太鼓を叩いていました」と懐かしんだ。

一方、現役高校生の原田は「今年の夏にチャレンジしたいこと」を発表。「夏休み期間中は毎日1作以上の映画を観ることを目標にしています。毎日2作品くらい観ようかな」と宣言。これに原田のデビュー作で共演した高良は「凄いなあ。デビュー作では親子役だったので色々と感じます。成長したね、身長もね」と父親目線でしみじみしていた。

最後に主演の原田は「本作には未来ではなく今を全力で楽しむ人が勢ぞろいして、人生を謳歌している姿が描かれています。色々な人が楽しめる作品なので夏休み中にたくさん観てもらえたら嬉しいです」とアピール。横浜監督は「三好銀さんの漫画は色々な人が色々なことをする多様性に溢れた原作で、私はそのある種の寛容さを映画で引き継ぎたいと思いました。皆さんもこの映画を観ながら自分自身の中の多様性の出会いを楽しんでいただければと思います。この映画を気に入ってもらえたら嬉しいです」と呼び掛けていた。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『海辺へ行く道』は2025年8月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか全国で公開
監督・脚本:横浜聡子
出演:原田琥之佑
 麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽、菅原小春
 蒼井旬、中須翔真、山﨑七海、新津ちせ
 諏訪敦彦、村上淳、宮藤官九郎、坂井真紀
配給:東京テアトル、ヨアケ
©2025映画「海辺へ行く道」製作委員会