SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025にて、『ディッシュアップ』のワールドプレミア上映が7月19日(土)にSKIPシティ 映像ホールで開催され、青柳翔、三河悠冴、池本陽海監督が登壇した。

大阪芸術大学の卒業制作「BAD TRIP」が国内の映画祭で話題となった池本陽海監督が、劇団EXILEの人気俳優であり、シンガーとしても活躍する青柳翔を主演に迎えた長編映画監督デビュー作『ディッシュアップ』。3年前に父親を亡くし、お食事処「ゆりえ」を継いだ上原譲治。料理の腕は確かだが、客足が遠のいている現実を受け入れるしかなかった。そこに韓国から和食を学びに来日したキム・ジュリが偶然やってくる。価値観の違いから衝突しつつも、徐々に心の距離が縮まっていく2人は店を盛り上げようと試行錯誤する。キムの奔放な魅力により、いつのまにか凝り固まっていた価値観からの解放を目指して奮闘する人々を描く。独特な世界観を作り出す池本陽海監督は、2023年の本映画祭短編部門で優秀賞を受賞し、本作で長編映画デビューとなる。主演は劇団EXILEに所属し、数々のドラマや映画に多数出演し、数々の俳優賞を受賞している青柳翔。また、韓国で活躍し、日本に主軸を移してからはNHK連続テレビ小説「虎に翼」への出演などで注目を集めたハ・ヨンス、『Welcome Back』『Cloud クラウド』など幅広いジャンルの作品に出演する三河悠冴が共演。

主演の青柳は、本作の撮影について質問されると、「撮影してる最中からなんか変だなぁ、変だなぁと思っていたんですけど、仕上がりも変になっていて(笑)」と、作品独特の「変」な魅力を感じていたことを明かした。また、劇中で料理人を演じた青柳だが、実生活ではあまり料理をしないそう。事前に「料理はそんなにうまくないですよ」と監督に報告していたものの、「監督もすっかり忘れていて、結構苦労しました」と苦笑い。感情をなかなか打ち明けられない不器用な役柄については、「すごく難しかった」と振り返りつつも、「監督がどういう人物にしたいかを聞きながら、役作りしていきました」と、池本監督との共同作業で役を作り上げたことを明かした。

一方の三河も、「僕も変だなってずっと思っていました。変だな、変だなと思っていたら、やっぱり変で、それが面白かったです」と述懐。それを象徴する印象的なエピソードとして、ケジャン(辛いカニ料理)を食べるシーンを挙げ、「僕のワンショットはマジで10分間撮り続けたんですよ」と、長時間の撮影に苦労したことを告白する。ずっと蟹を食べ続け、「もっと食べてもっと食べて」と言われていたと語り、「美味しかったんですけど…言い方が難しいのですが…」と前置きをしたあとに、「(これって)意味あるのかな?」とぶっちゃけ。そのことを監督に問いかけると、池本監督は「多分、カットをかけ忘れたんだと思います」と正直に明かし、会場の笑いを誘った。

池本監督からみたキャストの印象とし、三河については「純粋で、僕とは違って嫌みなんかも一切言わず、すごく真っすぐな言葉が出てくるんです」と語り、「その言葉に若干困ってる監督が面白かったですね」と青柳から指摘されると、池本監督は照れ笑いを見せた。

監督が特に印象に残った撮影シーンは「ラストシーン」だそうで、「撮影時間の関係で、かなりカットを当日落としたんですけど。それでも時間に追われながらの撮影でした」と制作の苦労を明かした。また、約10日間の撮影だった本作。青柳はそ短期間での撮影が実現した背景について、「監督に撮りたいものが明確にある感じだったから、無事に撮り終えることができたんだと思う」と述懐した。

キャストからの「変な映画」という評価を受け、池本監督は「やりたいことは、フルスイングしながら全シーン撮れたと思います」と、作品に込めた思いと手応えを語った。キャスティングについては「青柳さんとは昔、別の現場でお会いしたことがありましたし、三河さんとは元々友人で」と、青柳や三河との縁があったとコメント。

初の長編監督作としての手応えを問われると、「慣れない部分もあった」と率直に述べつつも、「青柳さんや三河さんを含めスタッフのほかすべての人にサポートしてもらえた」と、キャストやスタッフへの深い感謝を伝えた。初上映の心境については、「とても怖いですし、ずっと慣れないことではあるんですけど、この緊張も含めて楽しいです」と、監督としての喜びと緊張感を語った。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『ディッシュアップ』
監督:池本陽海
出演:青柳翔、ハ・ヨンス、三河悠冴、西村和泉、ドン・ニャット・クイン
 菅原大吉
配給:MomentumLabo.