『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』の完成披露試写会が7月22日(火)に丸の内ピカデリーで行われ、原菜乃華(りせ役)、マイカ ピュ(アリス役)、間宮祥太朗(浦井洸役)、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)(ハンプティダンプティ役)、山本高広(青虫役)、篠原俊哉監督が登壇した。
本作の主人公を演じるのは、『すずめの戸締まり』で主人公の声優に抜てきされ、2025年前期NHK連続ドラマ小説『あんぱん』への出演など若手俳優のブレイク筆頭株として注目が集まる原菜乃華。周囲の顔色を窺いがちで、何もかもがうまくいかないと思い悩んでいるが、ある日、不思議の国に迷い込むことになる現代の大学生の女の子・りせ を等身大に演じる。そして、不思議の国の世界で、りせと一緒に様々な出会いをしながら旅をするアリスを演じるのは、実写映画『はたらく細胞』で血小板役を演じた注目の子役マイカ ピュ。物語はりせがアリスと出会うことで動き出していく――。
完成した作品を見た感想を問われると、原は「初めて完成した映像を観たとき、ワンダーランドの世界がとても綺麗で迫力もあって、SEKAI NO OWARIさんの主題歌も素晴らしく、これはぜひ劇場で観ていただきたいと思いました」と、作品への思いを語りつつ、「緊張しすぎてネタバレしないように気をつけながらお話します!」と笑顔を見せた。マイカは「すごく練習したので、たくさんの人に見てもらいたいです」と初々しく語り、間宮は「アリスが主人公じゃないという設定にまず驚きました。台本を読みながら、どう映像になるのか想像できないまま声を入れていたので、完成版を見てこうなるんだ!と感動しました」と振り返る。
小杉は「現代パートとファンタジーの世界が絶妙に繋がっていて、自分の生活と照らし合わせながら観られる作品。見終わったあと“プライベートヒーハー”も出なかったです(笑)」と会場を沸かせると、続く山本も「自分は“プライベートキター!”がありました」と応じ、「今回はゲストではなく“声優枠”で参加できて光栄でした。こうやって声優として舞台挨拶に登壇するのは初めてになります。皆さんと感動を一緒に味わいたいです」と語った。篠原監督は「自分は30回くらい観ているので、正直ちょっと飽きてきました(笑)」と冗談を交えつつ、「でも今日は、ようやく皆さんに観ていただける日。ワクワクと緊張が半々です」と、公開を目前に控えた率直な心境を明かした。
キャスト陣は、それぞれ演じたキャラクターとの共通点にも言及。原は「りせは慎重で、人の意見に流されやすいところがあって、共感できる部分が多かった」と話し、マイカは「自由で元気なところ、失敗してもチャレンジし続けるところが自分と似てると思います」と笑顔で語った。間宮は「似てるところはあまりないです(笑)」とコメントするも、共演者から「ルックスが似てる」とツッコミが入り、会場は和やかな空気に包まれた。
小杉は「見た目だけで選ばれた気がします(笑)というのも、実はこの作品に出演が決まる前から、ずっと周囲にハンプティ・ダンプティみたいって言われてて、毎回誰がハンプティ・ダンプティやねん!ってツッコんでたんですよ。でも、もう実際にやっちゃいましたからね(笑)これからは、俺、ハンプティ・ダンプティやねん!って言わなあかんくなってしまいました」と語り、会場は爆笑に包まれた。「もちろん、制作の方の思うハンプティ像を僕なりに体現して、それでOKですって言ってもらってますから!」と、しっかりプロとしての仕事ぶりもアピール。山本は「青虫はフォロワー数のため美のために葉っぱを食べるんですが、僕はやけ食いタイプ。でも食に走るところは共通点かも」とユーモアを交えて話した。
それぞれの印象的なシーンについての話題では、原が「自分の気持ちを吐露するラップシーンがあるんですが、人生初ラップだったので緊張しました」と明かすと、監督が「一発でOKでした。新しい才能を見た気がしました」と太鼓判。マイカは「ハートの女王様に挨拶するシーンで、ワンダーランドで一番上の人に会うということで、普段より“お嬢様っぽく声を出す“という演出に苦戦しました」と振り返り、監督も「本人が言うほど違和感はなかったです。とても素敵でした」と評した。間宮は「青虫の変化のシーンが印象的でした」と語り、小杉は「やっぱり僕は、ハンプティ・ダンプティのシーンが一番印象に残ってますね」とコメント。続けて「ただ、僕の収録のとき、実は監督が来なかったんですよ!」と明かし、「なかなか始まらないからどうなってるんですか?って聞いたら監督と連絡がつきませんって言われて(笑)結局、監督不在のまま録ったんですけど…今日、ここで初めて会いました!」と暴露。これに監督は「小杉さんのスケジュール変更に気づいていたのに、僕が時間を間違えていて…本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。
小杉は「誰のディレクションで録ったの!?」とさらに詰め寄るも、監督が「音響監督と連携して、ちゃんと僕の意図は伝えていました」と返すと、「じゃあ監督の思いのもとで演出されてたってことですね。よかった~!普段の僕とはちょっと違うトーンで演じたので、ちらつかない僕を楽しんでください」と、笑いを交えてコメントした。監督が「会いたかったので今日お会いできてよかったです」と返し、会場は笑いに包まれた。山本は「収録時、テストの段階で思い切ってモノマネを入れてみたんですけど、じゃあそれでいきましょうって言われて、まさかの本採用。監督に『面白ければOK』って言ってもらえたので、ありがたかったです」とエピソードを披露。さらに「実はそのモノマネ、自分のレパートリーに入ってなかったネタなんです。だからある意味レア。完成版を観てほんとに入ってる!って自分でもびっくりしました(笑)」と語り、「ぜひそこも楽しみに探してみてください!」と呼びかけた。
さらに物語の中で成長していくりせにちなみ、「最近、自分自身が成長したと感じた瞬間」についても話題に。原は「筋肉痛が翌々日に来るようになった時に、成長を感じました(笑)以前は翌日にきていたのに、最近は20キロサイクリングしてもその場では何も起こらなくて……。舞台中に突然くるんじゃないかって、ちょっと怯えてます」と明かし、客席の笑いを誘った。続いてマイカは「この作品の収録をした後くらいから、ぐんぐん身長が伸びていて、まさに成長!って感じです。5センチくらいは伸びたと思います」とはにかみながら語ると、周囲からも「背、伸びたよね」との声が飛び、会場も温かい空気に包まれた。小杉は「僕も少しは成長してまして、最近よく噛むを意識してるんですよ」と告白。「実は体を絞ろうといろいろ試して全部リバウンドしてしまって……。でもよく噛むは今のところ続けられてます!次はよく寝るにチャレンジしたいと思ってます」と健康志向の成長を笑いを交えて披露し、会場から拍手が送られた。
最後に篠原監督は「僕もこのアニメーションの業界に入って40年以上になりますが、つくづく正解のない仕事だと感じます。それは、この仕事に限らず、きっと多くの人の仕事や人生にも共通していることかもしれません。今回の主人公・りせは、若くて、女性で、就職活動に悩んでいるという設定ですが、僕自身は若くもないし、女性でもなく、就活も大してしてこなかった。でも唯一共感できたのは、“正解を求め続けている”という部分でした。この映画には、正解そのものは描かれていませんが、もしかしたら正解にたどり着くためのヒントのようなものが見つかるかもしれません。そんなことを少しでも心に留めて観ていただけたら嬉しいです」と、静かに作品への想いを語った。
続いてマイカは「この映画は、観る人それぞれに自分に重なるシーンが、きっとあると思います。自分と似ている瞬間があると気づいたら、ぜひそこに注目しながら楽しんでいただきたいです。ありがとうございました」と、作品と観客の関係性に思いを込めて呼びかけ、原は「素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できて、こうして素敵な作品が完成したこと、本当に幸せだなと感じています。『不思議の国でアリスと』は、ワンダーランドのとてつもなく可愛くて美しい世界観に癒されながらも、ハッとさせられるような景色や感情に出会える作品です。子どもから大人まで、幅広い世代の方に楽しんでいただけると思いますので、ぜひ最後までゆっくりとこの物語の世界に浸っていただけたら嬉しいです」と、満席の観客に向けて深く感謝の思いを述べ、温かな拍手に包まれながらイベントは幕を閉じた。
【提供写真、オフィシャルレポート】
『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』は2025年8月29日(金)より全国で公開
監督:篠原俊哉
声の出演:原菜乃華、マイカ ピュ
山本耕史、八嶋智人、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)
山口勝平、森川智之、山本高広
木村昴、村瀬歩、小野友樹、花江夏樹/松岡茉優
間宮祥太朗、戸田恵子
配給:松竹
©「不思議の国でアリスと」製作委員会