下津優太監督2作目の監督作品『NEW GROUP』(ニューグループ)がカナダ・モントリオールで開催されている第29回ファンタジア国際映画祭にて、審査員特別賞を受賞した。
2024年、商業映画監督デビュー作『みなに幸あれ』が脅威のスマッシュヒットとなり、国内外の観客に衝撃と歓喜と戸惑いを与えた下津優太監督の劇場公開2作目となる映画『NEW GROUP』。一作目の『みなに幸あれ』は、「幸せは、人の不幸の上に成り立っている」というテーマで描かれたが、2作目となる『NEW GROUP』は組体操という「集団行動」における人間の行動心理の根底を、コミカルにそしてシリアスに炙り出す。主演を務めるのは山田杏奈。昨年公開『ゴールデンカムイ』(24)、『正体』(24)、今年公開『恋に至る病』(25)、『ChaO』(25)に出演するなど、俳優・声優、そしてCMでもめざましい活躍を見せる若手実力派俳優。本作では、家族に問題を抱える、引っ込み思案な普通の高校生の主人公・愛を演じる。
今回、7月17日[現地時間]からカナダ・モントリオールで開催されている第29回ファンタジア国際映画祭にて「北米プレミア コンペティション(Cheval Noir Competition)」に出品され、審査員特別賞を受賞した。上映会場は超満員で、本編上映中は随所で大きな笑いが起こり、音がかき消されるほどの歓喜に沸いた。上映後のティーチインでは、本作のテーマである「集団行動」の行動心理に踏み込む鋭い質問も相次ぎ、観客からの「主要の登場人物が海外から転校してくるのは何故」の質問に対し、下津優太監督は「社会学の統計によると、欧⽶圏では集団の中で⾃分という個が優れていることを表現することに幸せを感じ、アジア圏では集団の輪を保つことに幸せを感じる傾向がある。どちらが良い悪いということではないが、アジア圏での集団の輪を保つことは、時に⾏きすぎると同調圧⼒となり思考停⽌を⽣む。更に集団に属すことで安⼼を感じ同時に思考停⽌に陥る。まわりに流されるのではなく、⾃ら考えて⾏動した集団が輪を保つことで良い集団、NEW GROUPへ繋がるのではないか」と答えた。その他観客からは、「素晴らしかった。もの凄く共感した。現実世界のことのように理解できる」など賞賛を集め、審査員特別賞を受賞するに至った。
本作は、他にも海外映画祭への出品が続々決定しており、プチョン国際映画祭(韓国)では「ワールドプレミア コンペティション」、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭(スイス)では「ヨーロッパプレミア コンペティション」で上映され、今秋開催のシッチェス映画祭(スペイン)「スペインプレミア コンペティション」などの海外映画祭での上映も予定されている。
下津優太(監督)コメント
観客のリアクションが凄すぎて、台詞が聞こえなくなるほどでした。アジア圏での上映時とは異なり、欧米圏では更に組体操というものが異様に映ったように感じます。上映後のQ&Aでは、映画の中身を深く追求するような質問が相次ぎ、モントリオールの観客の質の高さを感じ、同時に映画への愛も強く感じました。とても暖かく迎えていただき、受賞まですることができて、最高の北米プレミアになりました。
『NEW GROUP』は2026年に全国で公開
原案・監督:下津優太
出演:山田杏奈
配給:KADOKAWA
©2025「NEW GROUP」製作委員会