『近畿地方のある場所について』初日舞台挨拶が8月8日(金)に丸の内ピカデリーで行われ、菅野美穂、赤楚衛二、白石晃士監督が登壇した。

発行部数40万部突破の話題の小説「近畿地方のある場所について」(著者・背筋/KADOKAWA)を実写映画化した本作。2023年1月、Web小説サイト・カクヨムに第一話が投稿されると「これは本当に虚構のストーリー?」「その場所は実在するのではないか」など様々な反響がSNSで拡散され、小説の世界観に引きずり込まれた読者の間で、熱を帯びた議論が巻き起こり、2,200万PVを超えるヒットを記録。同年8月に単行本化されると「このホラーがすごい!2024年版」で第1位を獲得するなど読者を魅了し続ける異色作。これまでのキャリアの中でも異色の役どころに挑戦となる菅野美穂と赤楚衛二をW主演に迎え、白石晃士が監督を務める。さらに監督の大ファンであり、著作への影響も受けているという原作者・背筋も自ら脚本協力として参加する。

映画を観終えたばかりの観客に対して菅野が「いかがでしたでしょうか?」と語り掛けると、客席からは拍手喝采!これには菅野も「観るのにパワーがいる映画なのでぐったりされるかと思ったんですけれども(笑)こうしてみなさんと顔を合わせてこの時間を共有できることを嬉しく思っています」と笑顔を見せた。赤楚は「見てくださってぇえ、ありがとうございまぁあす!」と、劇中のとあるシーンで自身が演じた小沢の独特なセリフ回しで感謝を伝え、会場は大盛り上がり。白石監督は、客席からの鳴り止まぬ拍手に感激しながら、「キャスト、スタッフのすごい力が結集してこの映画を作ることができましたので、みなさんに届いたら嬉しいなと思っています」とコメントした。

改めて本作への出演を振り返り、菅野は「私はホラー映画がすごく好きで、演じる上でも他のジャンルにはない表現ができるなと思って、今回も楽しみにしていました。久しぶりのホラー作品で、赤楚さんと白石監督とご一緒できたことが本当に幸運で、こうして公開を迎えられて良かったなと思っています」と熱弁。赤楚は「無事公開したことにホッとしております。白石監督と菅野さんと一緒に映画を作らせていただいて、すごくエネルギーを使うシーンも多い現場だったので、そのエネルギーをひしひしと感じながら楽しんでいただけたら嬉しいです!」と語り掛け、白石監督は「成績がいい感じになるといいな(笑)」と会場を笑わせながらも、「今日もたくさんの方々に来ていただけので、これでロケットスタートしたらいいなという気持ちでおります!」と力強くコメントした。

失踪した雑誌編集長の残した資料を手掛かりに、菅野演じるオカルトライター・千紘と、赤楚演じる雑誌編集記者・小沢が“近畿地方のある場所”へと迫っていく姿が描かれる本作。“ある場所”への謎に迫るにつれ、2人にも変化が訪れ、見事な“怪演”を披露しているところも大きな見どころとなっている。絶叫しながら鬼の形相で祠を破壊するシーンを熱演した菅野は「映画を観終えた観客が菅野を怖がるのでは?」という話題に対し、突然客席に「ヘーイヘイヘイヘーイヘーイ♪」と『学園天国』の有名なフレーズを歌い出し、観客と突然のコール&レスポンスが実現。ノリノリの客席を見て満足そうに「大丈夫だ!」と言いながら会場をにぎわせていた。

実際の菅野の“豹変”シーンをそばで見ていた赤楚は「千紘さんは頼りになるなと思ったのに、祠のシーンでドぎつい目で見られて、僕何か悪いことしましたっけって思いましたもん」と撮影を振り返り、菅野が「なんて罰当たりなんでしょうね、あれはバールで殴り掛かっちゃいけない場所です」と続け、会場は爆笑の渦に。

菅野は例のシーンについて「骨付き肉を生で食べるような女性だという気持ちで演じていました」と明かすと、これには白石監督も「テストのときからあのテンションで、私が何も言わなくてもあそこまで演じられていたので素晴らしかったです」と菅野の演技を大絶賛。これには菅野も「撮影の時、監督が噛み締めるように『よかったです…!』と言ってくださって、ホッとしてくださったのを覚えています」と笑顔をのぞかせた。また菅野は「祠のシーンは、千紘が自分のある目的のために荒ぶっているという場面だったんですが、前半の静かなトーンから、後半はロードムービー的になって動きも出てきて…脚本でいうと50ページ目ぐらいからですね。この映画の脚本はちょうど100ページで、演出を受けていても、監督の頭の中ですべて計算されているんだなと感じられるような現場でした」と、あらためて白石監督の手腕を称賛した。

“ある場所”の謎を解くべく、編集部の地下資料室にこもってだんだんと様子がおかしくなっていくシーンを演じた赤楚は「あのシーンではずっと地下で撮影していて、陰鬱とした空間の中で体がだんだん重くなっていき、最終的に呪われていくんですが…僕は呪われたことがないので、どうやって演じようかというのが一番の悩みポイントでした。でも監督が見本を見せてくださって、ばちっとイメージがフィットしましたね」と撮影の舞台裏について言及。そんな赤楚は、劇中で“人間とは思えないような不気味な動き”を披露しているが「あの動きはリアルに現場で演じました。後は音とカメラワークと照明の力で、より怖くなっているかと思います」と、実際に自身でやっていたことを明かした。菅野も「撮影現場でも、今までにない赤楚さんの表情が撮れましたとみんな興奮していて、実際に映像を拝見したら本当に見たことがないなと思って。そんな赤楚さんの演技だけでも、この映画を観る価値があるんじゃないかと思います。赤楚さんも白石監督も、新しいものを探っている感じがして、素晴らしかったです」と、あらためて赤楚の怪演を大絶賛していた。

劇中では、怪異に見舞われたり感情を爆発させたりと、まさしく熱演にふさわしいシーンがたくさん登場しているが、菅野はそれに対して「躊躇というのはカメラに映ると思うので、演じる時は振り切る、フルスイングで!大谷翔平!肉!みたいな感じで!」と独特のコメントで力説し、会場も大爆笑。「こういう演技でないと瞬発力が養われない部分もありますので、私としてもすごく勉強になる現場でした」と続け、充実の撮影を振り返った。

続いて、本作で最も恐ろしかったシーンを問われると、2人はまさかのジェスチャーでその場面を再現。赤楚は、張り付いたような笑顔で手を振る動作を披露し、これには映画を観たばかりの観客からも「あー!」という共感の声が。「あそこのシーンは怖かったです。音も何もない、静止している時間があって、あれが気持ち悪くて…衝撃の事実がわかる瞬間で、怖かったですね」と恐怖シーンについて言及した。

菅野は、鬼気迫る表情で車のハンドルを握ったかと思うと、次の瞬間には無表情で両腕を上げ立ち尽くす…という、表情の落差が激しいジェスチャーを披露。「あのシーンで撮影したトンネルは、有名な心霊スポットだったんです。撮影の時に中学生たちが肝試しに来たりしていて。私と赤楚さんには見えなかったけど、『ずっと緑色の人がいる』って言っている子がいたりもしました」と、思わず背筋が寒くなるような裏話を明かした。続けて赤楚が「撮影中にカメラマンさんが『本番中にトランシーバーに女の人が聞こえてくるんだよね』って言っていて、そのシーンではそんなわけないのに、どういことって…?」と恐怖体験を重ねると、白石監督が「私は、誰も触っていないのに揺れ続けている袋を見つけて、手でぴたっと止めました」と、#ホラー映画の鬼才“の呼び声に相応しい対応をしたことを明かし、会場を沸かせていた。

続いて、全国で記録的な猛暑が続くなか、菅野と赤楚が“背筋も凍るコワい話”を披露することに。会場が薄暗い照明に包まれる中、赤楚は幼少期の思い出を静かに語り始めた。「小学生のとき、蝶を育てたくて、公園で見つけた緑色の芋虫を家で大切に育ててたんです。羽化の瞬間を心待ちにしていたら…出てきたのは蝶じゃなくて蛾だったんですよ。しかも、めちゃくちゃ気持ち悪い色で…。朝起きて見た瞬間、思わず『うわーっ!』って叫びました。僕、もともと蛾がすごく苦手なんです」と、トラウマ級の“初めての羽化”を明かし、会場の笑いを誘っていた。

菅野は「私、まったく霊感がないんですけど、霊感がある人って、“何かいる場所では音が聞こえたり、においがしたりする”って言うじゃないですか。ここ数日、家の中でなんだか生臭いにおいがしていて…。今日が公開日だから、“何か来たのかな”って、ちょっとドキドキしてたんです」と切り出すと、「原因はただの酷暑で、排水溝の水が蒸発して、下水のにおいが部屋に戻ってきていただけでした」と明かし、「心霊現象じゃなくてよかったー!」と安堵の笑顔。「対処法は、水を流せばOKです!」と“ほっこりオチ”で笑いを誘った。

最後に菅野は「怖い作品に仕上がりましたが、自分の現実と違うということを認識して、背筋を涼しくして暑い夏を乗り切っていただける映画になったかなと思います。今日はどうもありがとうございました!」、赤楚は「この映画はエンターテインメントではあるんですけど、みなさんに恐怖をお届けするというのはなかなかできることではないので、貴重な体験をさせていただいたなと、あらためて感謝の気持ちでいっぱいです!」、白石監督は「この映画は、一度観ると『あれ?じゃあさかのぼるとどうだったのかな?』という気持ちになる作品になっておりますので、ぜひ二度、三度と楽しんでいただけたらありがたいです」と映画の魅力をアピールし、大盛況の中イベントは幕を閉じた。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『近畿地方のある場所について』は全国で公開中
監督:白石晃士
出演:菅野美穂、赤楚衛二
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会