1945年、夏―原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった若き看護学生の少女たちの“青春”を描く映画『長崎―閃光の影で―』のメイキング映像が解禁された。

1945年、長崎。看護学生の田中スミ(菊池日菜子)、大野アツ子(小野花梨)、岩永ミサヲ(川床明日香)の3人は、空襲による休校を機に帰郷し、家族や友人との平穏な時間を過ごしていた。しかし、8月9日午前11時2分、長崎市上空で原子爆弾がさく裂し、その日常は一瞬にして崩れ去る。久しぶりに帰郷した長崎で過酷な体験をすることになる看護学生の田中スミを演じるのは、本作が映画初主演となる菊池日菜子。あどけなく清らかな存在感を放つ等身大の姿は、戦争の落とす暗い影との対比を浮かび上がらせる。スミの幼馴染であり看護学校の同級生・大野アツ子を演じるのは小野花梨。確かな演技力に定評のある小野が、本作では人一倍強い信念を持って被爆者救護にあたる少女を熱演。同じくスミの幼馴染で看護学校の同級生・岩永ミサヲ役に川床明日香。本作では、クリスチャンである自らの信仰心と現実のはざまで葛藤する少女という複雑な役どころに挑戦する。

本作は、2023年10月初旬のクランクイン後、約1か月間にわたり撮影が行われた。今回解禁されたメイキング映像は、その撮影風景やその裏側を収めた膨大なメイキングのアーカイブから厳選して約5分間に凝縮している。映像の冒頭では、太平洋戦争末期の1945年、日本赤十字社の看護学校に通う17歳の田中スミ(菊池日菜子)が、幼馴染で学友の大野アツ子(小野花梨)や岩永ミサヲ(川床明日香)とともに空襲による休校のため長崎へ帰郷し、久しぶりの故郷に思わずはしゃぐ映画序盤のシーンの裏側を捉えている。この日、初めて撮影現場で一堂に会した菊池、小野、川床は、スタッフからコメントを求められると笑顔で顔を見合わせながら「楽しい」「笑顔のシーンが少ないから」「貴重だから、楽しんでおきます」などと素直な感想を語る。そして3人は、長崎市街を見渡せる高台に向けて走っていく次の撮影シーンに備えて駆け足を続けるなど、息の合った様子を見せる。

本作では8月9日を境に状況が一変するまで、3人だけではなく長崎の街に暮らす人たちのささやかな日常が丁寧に描かれている。長崎出身で被爆三世である松本准平監督は、その理由を「こうした暮らしが破壊されるということをきちんと伝えたかった」と語っており、この映像では菊池がスタッフに洗濯板の使い方を教わりながら練習する様子も映し出されている。撮影現場には日本赤十字社のスタッフもサポートに入り、当時における看護処置の仕方について技術指導が行われた。映像では菊池と小野が患者の運び方について指導を受ける場面も収められている。現場では原爆投下後の過酷なシーンの撮影が続く中で、出演する赤ちゃんとの対面に、思わず3人が声をあげる微笑ましい場面も。

映像の後半では、撮影中やクランクアップ時の菊池、小野、川床の貴重なコメントも収められている。松本監督の強い希望で劇中再現された救護列車に乗り込むシーンをもってクランクアップとなった川床は、物語の過酷さを思わせる泥まみれの姿のまま挨拶。「スミちゃんアッちゃん(アツ子)はじめ、役としても助けられた瞬間が沢山ありました。ミサヲになれた瞬間があって、それはやっぱり自分だけじゃできないものだったと思います」などと感慨深そうに語る。小野は、クランクアップ時の挨拶でスタッフへの感謝を述べつつ「まだまだ頑張っていかなければならないと思いましたし、頑張っていけるとも思わせていただいた時間でした」と充実の撮影となったことがうかがえる。

最後には、撮影も終盤を迎えていた菊池が撮影の合間に看護服を着たままの姿でインタビューに答える様子が収められている。「今回、題材もすごく重くて、演じる私たちとしては集中力も必要だったり、すごく辛いシーンが多くて、自分自身のメンタルも削られちゃったりするところがあって…」と語る中で「気を抜くといつでも涙が出てきそうだったから…」と涙を堪えながらも、初の映画主演作として丁寧にインタビューに応じようと振る舞う様子が確認でき、撮影現場の臨場感がありありと伝わる貴重な内容になっている。

メイキング映像

『長崎―閃光の影で―』は全国で公開中
監督:松本准平
出演:菊池日菜子
 小野花梨、川床明日香
 水崎綾女、渡辺大、田中偉登、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、利重剛/池田秀一、山下フジヱ
 南果歩 美輪明宏(語り)
配給:アークエンタテインメント
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会