『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』の公開直前 P.A.WORKSスペシャルイベントが8月16日(土)に代官山 鳳鳴館で行われ、篠原俊哉監督、P.A.WORKS代表の堀川憲司、声優の石原夏織が登壇した。
本作の主人公を演じるのは、『すずめの戸締まり』で主人公の声優に抜てきされ、2025年前期NHK連続ドラマ小説『あんぱん』への出演など若手俳優のブレイク筆頭株として注目が集まる原菜乃華。周囲の顔色を窺いがちで、何もかもがうまくいかないと思い悩んでいるが、ある日、不思議の国に迷い込むことになる現代の大学生の女の子・りせ を等身大に演じる。そして、不思議の国の世界で、りせと一緒に様々な出会いをしながら旅をするアリスを演じるのは、実写映画『はたらく細胞』で血小板役を演じた注目の子役マイカ ピュ。物語はりせがアリスと出会うことで動き出していく――。
本作を手掛けた篠原監督が「もう公開直前ですし、観ていただく皆様からどういった反応がいただけるのかが楽しみな気持ちです」と、公開を間近に控えた心境を述べた。本作は、篠原監督とP.A.WORKSによる5本目のタッグ作品。これまでの取り組みについて、篠原監督は「初めてP.A.WORKSと仕事をした時に、1つの作品に注ぐ熱量がすごく、本当に皆で良いものを作ろうとする良いスタジオだなと思ったんです。(そこからまた何度か一緒して)気づけば15年が経ちましたが、今でもその思いは変わらないですし、今後も堀川社長を中心として、素晴らしい作品を生み出してくれると思っています」と絶賛。P.A.WORKS代表の堀川代表も思わず表情をほころばせつつ、今年はP.A.WORKS 25周年の節目であり、本作が25周年記念作品であることが紹介され、「現時点で、P.A.WORKS制作の作品が33作ありまして、そのうち約6割の20作がオリジナル作品だったんです。その中でも篠原監督による作品が多いですし、年月が経てば若いプロデューサーもたくさんオリジナル作品を作るようになってきたのですが、そんなプロデューサーたちの面倒も見ていただけている印象です」と、篠原監督への感謝の想いをコメントした。
石原は、過去に『凪のあすから』で久沼さゆ役、『色づく世界の明日から』で月白瞳美役を務めてきた。改めて、篠原監督との取り組みや、常連ともいえるP.A.WORKS作品の魅力について、「絵の綺麗さや、ファンタジーとリアルな部分がうまく融合していることからも、ちゃんと観た人の心に残るような作品が多いと思いますし、P.A.WORKSや篠原監督作品のオーディションでは、ギアが上がりますね」と、その魅力を熱く語った。篠原も「ありがとうございます」と感謝の思いを述べ、会場からは大きな拍手が送られていた。
イベントでは、過去のP.A.WORKS×篠原監督作品の上映とトークセッションが行われた。上映作品は『凪のあすから』最終話(26話)、『色づく世界の明日から』最終話(13話)、『白い砂のアクアトープ』最終話(24話)で、各上映後には出演や制作に関するエピソードが語られた。後半は、『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』の冒頭15分を特別上映。
その後トークパートへと移っていく中、主人公・安曇野りせの友人・うらら役として石原夏織が出演することに加え、彩乃役を市ノ瀬加那、伶奈役を石見舞菜香が務めることも発表され、石原は「お話しいただいた時、出ないわけがないので、スケジュールもすぐ調べて、何がなんでも参加するくらいに嬉しい気持ちでいっぱいでした」と、充実の表情で振り返った。その後、2012年以来となる映画監督への挑戦となった篠原だが、TVシリーズと劇場版の違いについて「面白い作品を作りたい思いは変わりませんが、映画に関しては1カットにかける密度がより高くなるしんどさがある一方で、TVアニメについてはとにかく制作スケジュールがタイトで、そこの負荷は大きい。結局どちらもヘビーです(笑)」と少し笑いも交えて語りつつ、「映画はやりたいこと全てを入れ込めないので、取捨選択が必要な反面、TVアニメはすべきことがどんどん手から溢れていく感覚なので、最後に何を残すのかが大切になると思います」と語っていた。
また本作の企画の成り立ちについて、堀川は、「オリジナルを作る時に必ず“問い”を1つ立てるんです。今回だと、若者が社会に出ていく時に何に息苦しさを感じるのかということ。そういったことを考えていた時、アリスの日本初の映像化についてお話をいただき、「アリス」が若い女性を中心に望まれていることをお聞きしたので、“アリス×若者の人生”で組み合わせたものとして制作していきました。そして篠原監督が、これまでの作品からも女性の繊細な気持ちを描くことに長けていることもありお願いしました」と明かした。しかし、そんな本作の制作は難航したようで、篠原は「大体週1くらいのMTGを2年近く繰り返していました」と明かすと、堀川も「オリジナル作品はそういったものなんです」と同調していた。
またこれまでの制作と比較しての違いや工夫した点について、堀川は「作り手としては、いつも同じようなものにはしたくないんです。本作で新たにこだわった点で言うと、背景美術だと思っていて、通常の世界とワンダーランドを全く違うテイストにしたかったので、そこの部分での表現は挑戦した部分になります」と説明。そしてスタジオ創設25周年と今後の展望については「やはり、全作品の6割がオリジナル作品であることは通常よりかなり多いのですが、今後も熱量高く、皆でアイデアを出し合いながら作品を作っていくことは大切にしていきたいなと思っています」と力強く宣言。
そして最後に石原は「アリスの世界観はもちろんのこと、主人公りせの悩みや葛藤だったりなど、観てくださる方が共感し理解してくれる瞬間がたくさんあると思います。りせが前に進んでいく物語は皆さんの力にもなっていくはずですし、ぜひ劇場でご鑑賞いただきたいです!」、堀川「本日はありがとうございました。25周年を迎えた中、篠原監督らしいアリスの作品であるとともに、P.A.WORKSらしい作品にきっとなっているはずなので、ぜひ劇場でお確かめください」、篠原監督は「観ている人も映画に参加しているように感じられる作品作りを心がけてきましたので、あまり情報を入れずに体感でご鑑賞いただけると嬉しいです」とメッセージを送った。
【提供写真、オフィシャルレポート】
『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』は2025年8月29日(金)より全国で公開
監督:篠原俊哉
声の出演:原菜乃華、マイカ ピュ
山本耕史、八嶋智人、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)
山口勝平、森川智之、山本高広
木村昴、村瀬歩、小野友樹、花江夏樹/松岡茉優
間宮祥太朗、戸田恵子
配給:松竹
©「不思議の国でアリスと」製作委員会