『遠い山なみの光』の公開直前大ヒット祈願イベントが8月24日(日)に神田明神で行われ、広瀬すず、松下洸平が登壇した。

2017年にノーベル文学賞を受賞し、「日の名残り」「わたしを離さないで」など、映画化作品でも非常に高い評価を受ける作家カズオ・イシグロが、1982年に綴り、王立文学協会賞を受賞した⻑編小説デビュー作品「遠い山なみの光」。自身の出生地⻑崎を舞台として繰り広げられる本作は、戦後間もない1950年代の⻑崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー作品。監督を務めるのは石川慶。主人公の悦子を務めるのは、抜群の演技力と表現力で映画・ドラマと幅広く活躍する広瀬すず。

浴衣姿で登場した2人だが、お互いの浴衣姿について、松下は広瀬に対し「綺麗ですね。素敵です」と称賛。続けて「帯が初めて見るタイプ。後ろ、皆さんにご覧になっていただきたい」と促すと、広瀬は後ろを向き、美しい帯結びを披露した。

いよいよ9月5日の公開が迫る中で、現在の心境を聞かれた広瀬は「去年の夏、ちょうど1年前に撮影をしていて、カンヌ映画祭に行かせてもらった、結構前からこの作品の公開に向けて動き始めていたので、まだ公開してないんだ、という感覚になるほど。楽しみです。どんどん見てくださる方が増えていくというのは、ドキドキしますけど、すごく楽しみです」と語った。

続いて松下も「僕もこの作品は多く出番があったわけではないんですけれども、これだけ多くのイベントや完成披露だったりにたくさん参加させていただいて、とても嬉しいです。カンヌ国際映画祭にも行かせていただきましたし、贅沢な時間を過ごさせていただいているなと思うので、あとは公開されて、お客様に見ていただいて、皆様のお声を聞くのが本当に楽しみです」と期待を寄せた。

本作で夫婦役として初共演を果たした2人。撮影現場での互いの印象について、松下は「素の広瀬すずのままですね、現場でも。ヘラヘラしているんですよ、ものすごく」と明かすと、広瀬は「わかる」と笑いながら同意。松下は「本番始まる2秒ぐらい前までヘラヘラしているんですけど、本番『よーい、スタート』になった瞬間、パッと悦子の顔になり、すごい方だなと改めて思いました」と、その切り替えの速さを絶賛した。

一方、広瀬は松下について「私もそう(ヘラヘラしている)ですけど、松下さんも松下さんでずっとふざけてるんですよ」と暴露。「私にしか聞こえないような声で、ずっとボケ続けてくるんです」と話すと、松下は「そんなことないですよ」と否定し、会場の笑いを誘った。続けて広瀬は「でも、すごく器用で、表現とかすごく繊細で。監督とお話ししながら二郎さんという人物像を作っていく中で、すごく真面目で器用な方なんだろうなと思いながら、心地の良いリズム感でいさせていただけて、すごく楽しかったです」と、俳優としての姿勢を称えた。

1950年代の夫婦を演じたことについて、広瀬は「今の時代を生きている自分からするとちょっとギャップを感じたりとか。すごく面白い部分でもありました」とコメント。松下も「やはり時代的にも、男は仕事に邁進して家庭のことは妻にっていう時代背景があったので、そこはリアルに出せればなと思いました」と役作りを振り返った。

また、夏の思い出に話が及ぶと、広瀬は「夏に真冬の格好をした撮影を久々にしまして。それで自転車を漕ぐ」と過酷な撮影を回顧。「役者さんって汗をかかないって言うじゃないですか。死ぬほど汗かきました。びっしゃびしゃで。もう笑っちゃうくらい汗かきました」と明かした。松下も「僕も今年、スペインに仕事で行きまして。連日38度とかで、暑いときは40度近くある中、僕も裏起毛のパーカー着て。上下セットアップの。暑いなあって言いながら笑いながら撮影しましたね」と語った。

【写真・文/編集部】

『遠い山なみの光』は2025年9月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督・脚本・編集:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平/三浦友和
配給:ギャガ
©『遠い山なみの光』製作委員会