たった1日の旅が2人の人生を変えていく――山田洋次監督『TOKYOタクシー』の場面写真が解禁された。
ある日タクシー運転手が乗せたのは、人生の終活に向かうマダム。東京から葉山へと向かいながら、彼女の思い出の地をめぐるうち、彼女の壮絶な人生が明らかになっていく。他人同士だった2人の人生が交差し、やがて想像もしなかった“奇跡”が訪れる―。長きにわたり日本映画界で活躍し続け山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉。さらに蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、イ・ジュニョン、笹野高史など多彩な豪華キャストが集結。フランスで初登場新作1位を獲得、2023年に日本でも公開しヒットしたフランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市・東京を舞台に、人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。
今回、倍賞千恵子が演じる終活に向かうマダム・高野すみれと、木村拓哉演じる鬱々とした日々を送るタクシー運転手・宇佐美浩二の“たった1日の旅”の瞬間と、優香が演じる浩二の妻・薫と中島瑠菜が演じる娘・奈菜が楽しげに笑顔を見せる場面写真が解禁された。
タクシー運転手の宇佐美浩二は、ある日85歳の高野すみれを東京・柴又から、神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになった。人生の終盤を迎えたすみれは、「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがある」と浩二に頼み、幼少期から現在まで人生のターニングポイントとなった思い出の場所を寄り道することに。タクシーで旅を共にするうち次第に心を許したすみれは、初対面の浩二に、喜びと悲しみを織り交ぜた壮絶な人生を語り始める。そんな“たった1日の旅”が偶然出会った2人の心、そして人生を大きく動かしていく―。
解禁された場面写真には、“ただの送迎”だったはずの道のりが、やがてすみれと浩二にとってかけがいのない“たった1日の旅”へと変わっていく様子が写し出されている。紫のコートにサングラスをかけおしゃれをするすみれだが、タクシーから外の様子を眺める表情を捉えたカットからはどこか物寂しさが滲んでいる。そして、浩二が険しい表情を浮かべながらハンドルを握るカットからは、仕事や家のことで悩みながらも家族のために働く父としての哀愁が漂っている。
そんな2人がレストランで食事をするシーンや、イルミネーションに囲まれた街中を笑顔で楽しそうに歩くシーンも切り取られ、2人にとってかけがえのない特別な1日となったことが伝わってくる。そして、浩二の妻・薫と娘・奈菜が楽しそうに笑顔を溢すカットも。一人娘の奈菜は憧れの音大の附属高校に進学したいという夢を持っているが、その裏で浩二と薫は高い学費を払うため家計のやりくりに四苦八苦する…という、山田作品らしい家族愛と人情に溢れたハートフルな物語を予感させる。
そんな本作だが、物語の多くがタクシー車内の会話劇で進んでいく。タクシー運転シーンのロケ撮影は、山田組らしく『男はつらいよ』シリーズの寅さんが生まれ育った土地でもお馴染みの柴又から始まった。すみれと浩二の旅のスタート地点でもある柴又帝釈天での撮影では、テストから木村本人がタクシーの運転を行い、本番も一発OK。二人の旅路は誰もが知る東京の名所を巡っていくが、車内シーンの多くは渋滞が多発する東京の交通事情を鑑みて、車窓の風景を映したLEDパネルの中にタクシーを置いて撮影し、本物さながらの映像を実現するVP(バーチャルプロダクション)という技術を採用。劇場公開作品91作目にして、いまなお新しい撮影スタイルに挑み続ける山田洋次監督にも注目だ。
『TOKYOタクシー』は2025年11月21日(金)全国公開
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、木村拓哉
蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、
神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ、北山雅康、木村優来
小林稔侍、笹野高史
配給:松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会