第36回山本周五郎賞候補にもなった浅倉秋成の小説を山田篤宏監督が実写映画化した『俺ではない炎上』の本編映像真が解禁された。

原作は、ジャンプSQ.で連載中の漫画「ショーハショーテン」の原作・脚本や、第43回吉川英治文学新人賞候補になり映画化もされた「六人の噓つきな大学生」などの浅倉秋成の同名小説。SNSで根拠の乏しい情報が<真実>となり大きな事件へと発展する現代の冤罪の恐怖を描いた意欲作。ある日突然SNSで身に覚えのない事件の犯人に仕立て上げられ逃亡をはかる主人公・山縣泰介を演じるのは阿部寛。彼を取り巻く登場人物には、山縣泰介を追う謎の大学生・サクラに芦田愛菜、大学生インフルエンサー・住吉初羽馬に藤原大祐、取引先企業の社員・青江に長尾謙杜、そして泰介の妻・芙由子に夏川結衣らが集結した。

本作は、“大手企業のごく普通の営業部長”である山縣泰介(阿部寛)が、突如 SNS で個人情報をさらされ、殺人犯として追われることになる逃亡劇が描かれる。今回、山縣泰介が逃亡の果てに行き着いた崖から意を決して降りていくシーンが解禁された。身に覚えのないSNS炎上で日本中から追われることとなった山縣は逃げ場を失い、崖から降りることに……。山縣は着ていた服を脱ぎ、繋ぎ合わせて木に括り付けると、それを命綱にして慎重に崖を降りはじめる。パンツ1枚、ほぼ裸の状況に「何やってんだ、俺…」と呆れ返るやいなや、服で繋いだ心もとない命綱はミシミシと音を立てはじめる。決死の覚悟で繋いだ命綱にも見放された山縣の運命やいかに―。

メイキング写真

このシーンの撮影を振り返った阿部は「あれは心細かったですね…(笑)そういうシーンなのですが、パンツ一丁で気持ちも心細くなってしまって。崖から降りるのも初めてだったと思うので、“大丈夫かな”と思いながら挑みました。しかも寒くて体もガチガチだったので、“もし落ちたら大変だな”と震えながら、降りていました。」と、自身にとって初挑戦となる崖からの落下アクションに加え、真冬にパンツ一丁という過酷な状況であったことを明かしながらも、「そんな追い込まれた人間が最後にする表現としては、非常に面白いな。と思って、真面目に演じました。」と、役作りへのプロ意識を覗かせた。そして、引き締まった肉体美について触れられると、「普段からジムには行っているんですが、撮影の日は寒すぎて硬直していた記憶があります。それで余計に引き締まって見えていたのかもしれませんね(笑)」と、謙虚にコメントを寄せた。

メイキング写真

これまで数々の役柄を演じきってきた阿部だが、今作を通じて初挑戦だったことという質問に「(命綱が切れて)後ろから落ちていくシーンは初挑戦でしたが、一発OKだったかな。あとは、“誰だか分からない多数”に追われる・狙われること、どこから何が出てくるか分からない恐怖は初めてでした。泰介は死体を見る前に追われてしまうので、余計なことを考えずただ逃げることに徹することができた。」と、役柄からくる演技への新しい発見があったことも明かす。

匿名の群衆がSNS上でこぞって個人情報を特定し日本中から追いかけ回される、まさに“炎上”の渦中にいる山縣泰介を見事に演じ切った阿部だが、真剣に逃げ回っているのにどこかユーモアが感じられる山縣について「笑わせようとしてはダメだと思うんです。お客さん自身がみて笑う・泣く、自分は真剣にただ演じるだけ。」と、役作りへのこだわりを語った。

本編映像

『俺ではない炎上』は2025年9月26日(金)より全国で公開
監督:山田篤宏
出演:阿部寛
 芦田愛菜、藤原大祐、長尾謙杜
 三宅弘城、橋本淳、板倉俊之、浜野謙太、美保純、田島令子
 夏川結衣
配給:松竹
©2025「俺ではない炎上」製作委員会 ©浅倉秋成/双葉社