Netflixシリーズ『イクサガミ』が、韓国・釜山で開催中の第30回釜山国際映画祭オンスクリーン部門にて9月18日にワールドプレミア上映が行われ、岡田准一、藤﨑ゆみあ、藤井道人監督が登壇した。
原作は、第166回直木賞をはじめ数々の賞を受賞してきた時代小説家・今村翔吾が、武士の時代の終焉を迎えた明治を舞台に描き、”最高のエンタメ時代小説”とも各界から称される同名小説『イクサガミ』シリーズ。時は明治11年、深夜の京都・天龍寺。莫大な賞金を得る機会を与えられた腕に覚えのある志士たち292名がこの地に群がった。告げられたのは、各自に配られた木札を奪い合い、東京に辿り着いたものに賞金が与えられる〈こどく〉という名のゲームのルール。主人公・嵯峨愁二郎(岡田准一)は、妻と子を病から救うため命がけの遊戯ゲームへの参加を決意するのだったー。「無意味に生きる愚か者たち。殺し合え、最後のひとりまで。」時代に取り残されし志士たちの超ド級のバトルロワイヤル―。
正式招待が決定された際には、映画祭から「バトルロワイヤルを思わせる設定、迫力あるアクションシーン、そして混沌とした時代における権力闘争の見事な描写が際立っており群を抜いて素晴らしい。本作は日本のドラマ制作におけるゲームチェンジャー(業界を変革しうる作品)として高く評価される可能性を秘めていると感じます」と評されていた本作は、本日、主演・プロデューサー・アクションプランナーを務める岡田准一、圧倒的な存在感でヒロインへ・双葉役へ抜擢された藤﨑ゆみあ、そして藤井道人監督が揃ってワールドプレミアに出席した。
世界からの注目度も高いNetflix日本作品の最新作とあって、映画祭のメイン会場になる「ハヌルヨンシアター」には幅広い世代の観客が来場。第1話&第2話の上映が終了すると同時に、会場全体から大きな拍手が沸き起こり、その拍手に包まれながらステージに登壇した。
まず、話に上がったのは「プロジェクトへの参加の経緯」について。本作で、主演・プロデューサー・アクションプランナーと3役を担う岡田は、どの時点でこのプロジェクトに魅力を感じたのかと聞かれると「14歳で仕事を始め、44歳になったらプロデュースを一度引き受けたいと考えていた」と語り、それは、日本の時代劇は「型」がある一方、次第に新しい姿を観客に見せるような試みが求められていると感じたからだという。そのような考えが自身にある中で原作に出会い世界観に共感し、若い世代/広い世代にアピールできるのではないかと感じ、プロデュースを手掛ける決意をしたと明かす。
そして藤井は、企画が持ち上がった際に原作者の今村翔吾からも「ドラマとして面白いものを作ってほしい」という強い思いを受け取り、岡田と共に脚本づくりを始めていった。「どうすればこの面白いストーリーを、この日本で、アクションを大きく取り入れたエンターテインメントとして昇華できるか」という点に重きをおきながら製作をはじめたという。
ヒロインに大抜擢された藤﨑は、台本を読んで心を奪われたという。普段から本を読むのが好きであるものの、時代モノへのハードルは少なからず感じていたそうだが、「エンターテイメント性に優れていて、読み進めるほど次がどうなるのか気になる魅力」がこの台本から感じたと語り、「是非出演したい」という強い思いで、熱心に撮影に取り組んだという。
本格的に製作が進んでいく中、作品作りには「(日本の)文化が込められていること、シンプルであること、キャラクター性」の3つの要素が重要であったと語る岡田。愛着の湧くキャラクターづくりには、「この人とこの人が戦うのか」「この人はもしかしたら死んでしまうのではないか」と引き込まれるような展開を作ることが重要であり、そのキャラクターたちを最終話まで追いかけたくなる、「止まらずに走り続けるエネルギーを持続させること」に監督は非常に拘りぬいた。さらに「時代劇」という言葉に対して、過去に黒澤明監督が「時代劇は一番カッコよく、時代を先取りするものだ」と放った言葉を引用しながら、「いかにカッコよく、強力なキャラクターとストーリーで描くか」という点をこだわった。
作品に込められた時代性・文化という点において、藤井は「コレラが蔓延し、武士としての身分を失って苦境に陥る人々が、現代におけるコロナ禍で職を失い、困難に直面する我々の姿と重なるのではないかと感じた」と作品の時代設定と現代との共通点を強く感じたという。その共通点こそが、「なぜ戦わなければならないのか」という原作から継承した作品の命題を観る者にストレートにぶつけることができるのだ。
岡田、藤井を中心に、このような強い思いを抱えた現場は緊張感と気迫に溢れていたという。新人女優としてこの現場に挑んだ藤﨑も「壮大な覚悟を固めて現場に挑んだ」というが、実際に現場に入るとスケール感に最初は気圧されたという。しかし、多くの先輩たちの支えに助けられていく中で「集中し続け、監督の演出や先輩方からの言葉に耳を傾け、一つでも多くのことを吸収し学ぼう」と必死に演技に挑み、駆け抜けていったという。
企画の立ち上げから完成までを、観客とのQ&Aを挟みながらトークは進み、最後に藤井は「昨年1年間、全身全霊を込めて作り上げた作品であり、一度見始めれば最後まで走り切ってしまうような作品にできた」と、岡田は「作品が放つ情熱と強い波が、多くの人々に広がり、見る人からまた別の人へと広がることを期待している」と、作品の完成に強い自信をみせた。そして1&2話を見終えたばかりの観客たちは、この先のストーリーが気になり過ぎて仕方ない様子で、その熱量に答えるように岡田は、「ひとつだけ言っておくと、“ぼく燃えます”」という意味深な発言をのこした。
世界中の映画人が一堂に会する韓国・釜山で、本作に注がれる大きな期待と熱量を肌で感じ、幅広い世代から高い評価を受けた今回のワールドプレミア。キャストと監督にとって、11月13日の世界配信スタートに向けて確かな手応えを感じる機会となった。
Netflixシリーズ『イクサガミ』はNetflixにて11月13日(木)より世界独占配信
監督:藤井道人、山口健人、山本透
出演:岡田准一
藤﨑ゆみあ、清原果耶、東出昌大
染谷将太、早乙女太一、遠藤雄弥、岡崎体育、城桧吏
淵上泰史、榎木孝明、酒向芳、松尾諭、矢柴俊博、黒田大輔、吉原光夫
一ノ瀬ワタル、笹野高史、松浦祐也、宇崎竜童
井浦新、田中哲司、中島歩
山田孝之、吉岡里帆、二宮和也
玉木宏、伊藤英明
濱田岳