愛を知らずに育った3人の若者たちの青春と闇ビジネスから抜け出す3日間を描く逃亡サスペンス映画『愚か者の身分』が第30回釜山国際映画祭コンペティション部門に選出、北村匠海、林裕太、綾野剛の3人が揃ってThe Best Actor Award(最優秀俳優賞)を受賞したことが発表された。

第二回大藪春彦新人賞受賞作、西尾潤の「愚か者の身分」(徳間文庫)を、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」や『幽☆遊☆白書」(2023)などの話題作を手掛けるグローバルコンテンツを創造するプロデューサー集団 THE SEVENが初の劇場作品として映画化。監督は人間ドラマを巧みに描くことに定評のある永田琴、主演に北村匠海、共演に綾野剛、林裕太の豪華実力派キャストを迎え、現代日本に生きる若者たちと隣り合わせにある“闇”をテーマに描いた逃亡サスペンス。

第30回釜山国際映画祭において新設されたコンペティション部門。その歴史的な節目に同部門に選出された『愚か者の身分』から、主演のタクヤを演じた北村匠海、タクヤと共に闇ビジネスに手を染める若者・マモルを演じた林裕太、タクヤの兄貴的存在・梶谷を演じた綾野剛の3人が、同部門に出品された作品の中で、卓越した演技を見せた俳優に贈られるThe Best Actor Award(最優秀俳優賞)を揃って受賞した。

審査員からの受賞理由として挙げられたのは「それぞれ個性がありながらも完璧に調和した、この 3 人の若い俳優たちの演技は、セリフに若々しいエネルギーを吹き込み、観客が登場人物と共に笑い、涙し、成⻑できる特別な力を示していた」こと。国際的な舞台で数多くの作品を目にしてきた審査員たちが、このように高く評価を寄せたことは、本作での彼らの存在感と演技がいかに強い印象を残したかを物語っている。

受賞したことに対して北村は「率直に3人でとるっていうのが、すごいこと」と感激。綾野も「3人で1人の感情として捉えてもらえたことがとても嬉しい」とコメント。林も「まだ実感がわかない」「僕たちの作った映画が釜山で評価され、称賛され、それが形になったっていうのがすごく嬉しい」と喜びもひとしお。

なお、本日の授賞式には、ワールドプレミアと同じく林裕太が代表して参加。北村、綾野は東京で林の晴れ舞台を見守ることになったが、北村は「しっかり胸を張って行ってきてください」、綾野は「光を失った男と、光を諦めた男と、それでも光を追い続ける男のマモル役をやった裕太くんが、本当の意味でも輝かしい場所に立ってる姿を想像するだけで胸にくるものがあります」「何よりも楽しんでほしいなと思います」とエールを送り、林は「その2人の思いを背負って、釜山の晴れ舞台で堂々と胸を張って楽しんでいければいいなと思います」と胸を張って答えていた。

そんな北村、綾野の力強い言葉を胸に、3人を代表して授賞式に登壇した林裕太。永田監督と森井耀プロデューサーが見守る中、花束とトロフィーを受け取り、緊張しながらも堂々としたスピーチを披露。「選択肢のない人が愚かなのか、それとも選択肢を確保しないその環境が、世の中が愚かなのか」「ただ、この映画において最も大切なことは、生きようとすることは決して愚かな選択肢ではないということです」と想いを語る。そして「たとえ大きな夢や、何か大きな意義を見出さなくても、自分を支えてくれる誰かがいるなら、ここに生きる意味は大いにあるということだと僕は思っています。それを教えてくれたのがこの映画であり、今日来られなかった北村匠海さん、綾野剛さんです」「今日のこの特別な瞬間を、この特別な感情を、日本に帰って3人で分かち合いたいなと思います」と共に受賞を果たした先輩たちへの感謝を吐露。最後は、日本から持参して“お守り”にしていたと言う北村匠海、綾野剛のアクスタを披露して会場を和ませて締め括った。

コメント映像

『愚か者の身分』は2025年10月24日(金)より全国で公開
監督:永田琴
出演:北村匠海
 林裕太、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏
 綾野剛
配給:THE SEVEN、ショウゲート
©2025映画「愚か者の身分」製作委員会