音楽劇『エノケン』がシアタークリエで開幕するのに先駆けて、10月6日(月)に行われた公開ゲネプロの前に市村正親、松雪泰子、本田響矢、豊原功補が取材に応じた。
戦前・戦中・戦後と、昭和の日本をとびきりの笑いで照らしつづけ、“エノケン”の愛称で親しまれた榎本健一。彼は、東京・浅草の小さなレビュー劇団「カジノ・フォーリー」の舞台に登場し、一躍注目されると、わずか数年のうちに、座員150人、オーケストラ25人を擁する日本一大きな劇団「ピエル・ブリヤント(エノケン一座)」の座長となった。当時流行していたジャズと、スピーディーでナンセンスなギャグにあふれたその舞台は、エノケンの天賦の感性と体技、音楽性なくしては実現できない、まったく新しい喜劇として人気を博した。浅草のエノケンは、やがて数々の喜劇映画がヒット、日本劇場、東京宝塚劇場、芸術座などの名だたる劇場で喝采を浴び、日本における喜劇俳優の第一人者となった。喜劇俳優エノケンの波乱の人生を又吉直樹が新作戯曲として書下ろし、市村正親が主演する新作舞台に仕上げた。
主人公の喜劇王エノケンを演じる市村は「僕は悲劇が多いんですけど、一生懸命勉強して。年齢に負けないようにパワフルにエノケンを演じております」と笑いを誘いつつ、「出ずっぱりなので全部見せ場です」と笑顔を見せた。
「彼(エノケン)の私生活や根底の部分は知られていないので、しっかりと演じていきたい」と話す市村だが、「僕自身が役者を目指そうと思っていたころの精神を思い出しながらやってる部分がある」と自身に重ねる部分もあるようで「やっていくうちにエノケンが生きた世界に僕もいきはじめていると感じています」と明かした。
「エノケンさんは歌って踊って芝居の人。基本は舞台の人なので、僕も歌って踊って芝居で。だんだん踊れなくなってきて。エノケンさんはもっとひどい目に合うんですけど、実感としてやれるので、途中からエノケンなのか自分なのか」と役柄への思いを語る市村は「実感でやれている部分はかなりあります」と自信を見せた。
「エノケンという素晴らしい人間がいて、彼を取り巻く人たちの物語です。とてもいい感じにし上がっていると自負しております。期待していてください」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
音楽劇『エノケン』
東京 10月7日(火)~26日(日) 日比谷シアタークリエ
大阪 11月1日(土)~9日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
佐賀 11月15日(土)・16日(日) 鳥栖市民文化会館 大ホール
愛知 11月22日(土)~24日(月・祝) 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
川越 11月28日(金)~30日(日) ウェスタ川越 大ホール