
第38回東京国際映画祭センターピース作品『TOKYOタクシー』の舞台挨拶が10月29日(水)にヒューリックホール東京で行われ、倍賞千恵子、木村拓哉、山田洋次監督が登壇した。
10月27日(月)から11月5日(水)の10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第38回東京国際映画祭。ある日タクシー運転手が乗せたのは、人生の終活に向かうマダム。東京から葉山へと向かいながら、彼女の思い出の地をめぐるうち、彼女の壮絶な人生が明らかになっていく。他人同士だった2人の人生が交差し、やがて想像もしなかった“奇跡”が訪れる―。長きにわたり日本映画界で活躍し続け山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉。さらに蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、イ・ジュニョン、笹野高史など多彩な豪華キャストが集結。フランスで初登場新作1位を獲得、2023年に日本でも公開しヒットしたフランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市・東京を舞台に、人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。
今回のイベントでは、第38回東京国際映画祭において特別功労賞を受賞した山田洋次監督に、東京国際映画祭の安藤裕康チェアマンからトロフィーが授与された。
「長生き下からたくさん映画を撮ってきてしまった。そのことで褒めていただいてこの賞をいただけたと戸惑いながらも思っています」と話す山田監督は「僕が昔映画界に入ったころ、70年近く前の日本映画は充実していた。日本映画の黄金時代だと思います」とテレビなどが普及した現在とは異なる環境であったことを踏まえ、「映画には大勢の観客が集まり、娯楽の王者といってよかった。その頃の映画界は今思うと豊かだったな、とてもゆとりがあったなと思います」と振り返った。
その上で「その時代から比べると今は厳しい時代で、今の映画人はとても苦労しながら映画を撮っている。時々かわいそうだと思うこともあります。そういう時代であるからこそ、こういう映画祭が催されて、映画ってなんて素晴らしいんだということをもう一回日本はもちろん、世界中の人たちと一緒に考える、映画を鑑賞する、映画を称える、そういう催しがあることを感謝しています」と語った。
また、「山田さんの熱い思いがひしひしと伝わってきました」という倍賞は「これからもおいしいものをたくさん食べて、『はい、本番いくよ』となかなかいかない本番なんですけど、大きい声で仕事場でお会いできることを楽しみにしています」と伝えた。
「幼少期に柴又に住んでいたことがありまして」と話す木村は『男はつらいよ』の撮影を見たこともあったそうで「撮影中に『見ていたんですよ』と監督に言わせていただいたら、『そうなのか、君はいたのか』と言葉をいただいた」と明かし、「(本作の)撮影の時も、街の方々が山田組がまたここで作品を撮影してくれるというスタッフだけではない、組のものだけではない現場全体の空気感が脈を打ち出した感じがして」と山田監督作品ならではの現場の空気を感じた様子を明かした。
さらに今回の受賞について「いろんなことに興味と愛情があるからこそ現役なんだなと。その現役が今回の賞にも繋がっているんだなと監督の斜め後ろから考えていました」と話す木村は「こういう先輩がいるともう一回やる気出ますよね」と語ると、山田監督は「ありがとう、木村くん」と笑顔を見せた。
【写真・文/編集部】
『TOKYOタクシー』は2025年11月21日(金)全国公開
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、木村拓哉
蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜
神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ、北山雅康、木村優来
小林稔侍、笹野高史
配給:松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
第38回東京国際映画祭は2025年10月27日(月)~11月5日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催















