
第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門『兄を持ち運べるサイズに』の舞台挨拶が10月31日(金)に丸の内ピカデリーで行われ、中野量太監督、オダギリジョーが登壇した。
10月27日(月)から11月5日(水)の10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第38回東京国際映画祭。宮沢りえ主演『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞など多くの映画賞を席捲、二宮和也主演『浅田家!』では国内の大ヒットのみならずフランスでも大ヒットを記録した中野量太監督が5年ぶりにメガホンをとった最新作は、作家・村井理子が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセイ「兄の終い」をもとに映画化した『兄を持ち運べるサイズに』。絶縁状態にあった実の兄の突然の訃報から始まる家族のてんてこまいな4日間の物語を描く。マイペースで自分勝手な兄に幼いころから振り回されてきた主人公の理子を演じる柴咲コウ。家族を振り回す原因となる、映画史上稀にみるダメな兄ちゃんを演じるのはオダギリジョー。兄と一時は夫婦でありながらも、ある理由で離婚した元嫁・加奈子を演じるのは満島ひかり。兄と加奈子の娘で両親離婚後は母と暮らす満里奈を演じるのは青山姫乃。二人のもう一人の子供で最後まで兄と暮らした息子・良一を演じるのは味元耀大。
今回、第38回東京国際映画祭において、ガラ・セレクション部門で公式上映されることについて、中野監督は「映画は作ってたくさんの人に観てもらうのが一番うれしいことで、映画祭でやってもらうというのは本当にご褒美みたいなものだといつも思っていて。それも日本で一番大きな東京国際映画祭でやってもらえるというのは、最大のご褒美を今いただいているなという感じでございます」と、万感の思いを口にした。
そんな本作へのオファーを快諾したというオダギリは、その理由について問われると「脚本がとても面白くて素晴らしくて。読んで、すぐに監督にメッセージを送って、『素晴らしい脚本、また書き上げましたね』って送ったのを覚えています」と脚本を絶賛。当時、中野監督がニューヨークの映画祭に参加していたことにも触れ、「『もしこの映画に参加してもらえると嬉しいです』みたいな返信が来て」と、出演が決まるまでの経緯を明かした。そして、「引っかかることなく、すぐにやりたいと思える作品でした。本当に素晴らしい作品だと思っています」と作品への自信をのぞかせた。
一方で、オダギリを兄役に起用した理由について、中野監督は「どうしようもなく、だらしなくて、人に迷惑をかけて、でも愛される憎めない人という兄の役なんですけど、僕が半世紀近く映画の仕事をして一人しか思い浮かばなかったんです、この人しか」と熱弁。続けて「さんざん、そのだらしないダメ人間をやり尽くしてきてたから。ミスターダメ人間みたいな」と冗談めかして語ると、オダギリは即座に「いやいやいや」と否定し、会場の笑いを誘った。
さらに中野監督は、「『またやるの』みたいになったら嫌だなと思いましたけど、でも、そのだらしない憎まれないにしても、僕の中では今までなかった、さらに新しいそういう感じの役だなと思ったので絶対にやってもらいたいと思ってオファーを出したら『イエス』と来ました」と明かした。
中野監督作品への出演は『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)以来となるオダギリだが、中野監督の変わらない点について「相変わらず、すごく作品に対して誠実に真面目に。たまに冗談が通じないぐらい、こっちはちょっとこれ面白いかなと思って出すアイデアを(出すと)、たまに本気で怒り出すような雰囲気があって」と、その真摯すぎる一面を明かし、「作品にかける想いとか、監督がイメージする完成像に対して真摯に、常に本気で向き合う方だと思っています」と称賛した。
終始和やかなムードで行われた今回の舞台挨拶。時折笑顔で2人で話す場面もあり、お互いの深い信頼関係を感じさせるイベントとなった。
【写真・文/編集部】
『兄を持ち運べるサイズに』は2025年11月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
脚本・監督:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
第38回東京国際映画祭は2025年10月27日(月)~11月5日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
















 
