第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門『栄光のバックホーム』の舞台挨拶が11月1日(土)にヒューリックホール東京で行われ、松谷鷹也(横田慎太郎役)、鈴木京香(横田まなみ役)、高橋克典(横田真之役)、前田拳太郎(北條史也役)、山崎紘菜(横田真子役)、加藤雅也(金本知憲役)、見城徹(製作総指揮)、秋山純監督が登壇した。

10月27日(月)から11月5日(水)の10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第38回東京国際映画祭。2013年、阪神タイガースにドラフト2位指名され、翌年からプロ野球界でプレーした、横田慎太郎選手。若きホープとして将来を嘱望されるも、21歳で脳腫瘍を発症。引退を余儀なくされた彼が最後の試合で魅せた“感動のラストプレー”は、野球ファンのみならず、多くの人々の心に今なお、深く刻み込まれている。主人公の横田慎太郎選手を演じるのは、元高校球児でもある新人・松谷鷹也。W主演で慎太郎の母・まなみ役を演じる鈴木京香。揺らぐことのない息子への愛を強く、優しく演じる。阪神タイガースの先輩選手・北條史也役に前田拳太郎、慎太郎の想い人・小笠原千沙役に伊原六花、そして、慎太郎の姉・真子役に山崎紘菜、スポーツ紙の野球担当記者・遠藤礼役を草川拓弥と、旬な若手演技派が顔を揃えた。野球に生き、仲間に支えられ、家族に愛され28年の生涯を駆け抜けた横田選手と、彼を支え続けてきた人たちの実話の感動の映画化。

秋山監督は、本作が生まれた経緯について、元阪神タイガースの横田慎太郎さんが脳腫瘍からの復活を目指す姿に感銘を受け、「必ずスクリーンに君の人生を」と言葉を交わしたというが、横田さんは映画の完成を見ることなく2023年に逝去。「元気なうちに映画館に来るのを楽しみにしてるって言ってくださっていたので、その約束を果たせなかったことがすごく悔いが残ります」と、無念の表情を浮かべた。それでも「こうやって実現したこと、これが本当に奇跡だと思います」と映画が完成したことへの感謝を口にし、「この場にこうやって立てていることが一番の奇跡です。本当にありがとうございます」と締めくくった。

続いて、横田慎太郎さん役を務めた松谷は、感極まった様子で「慎太郎さんと出会って4年くらいになるんですけど、一緒に歩んできたこの4年間というのは、僕にとって宝物のような時間でした」と振り返り、「こうして映画が完成して、一人でも多くの方に慎太郎さんのことを知っていただけるように、公開まで自分にできることを引き続き全力でやっていきたいと思いますので、引き続き見守っていただけたらうれしいです、と(横田慎太郎さんに)伝えたいです」と力強く語った。横田さんの人柄を問われると、「本当にまっすぐな人で。でもどこか天然というか、少し抜けているようなところもあったんですけど、本当に目の前のことにただ一生懸命、一つ一つ目標を立てて、一日一日大切に生きていたような、そんな方だったと思います」と、あふれる敬愛の念を込めて語った。

慎太郎の母・まなみ役を演じた鈴木は、オファーを受けた当初は「野球一筋に打ち込んできた青年の、そして志半ばで病と闘うことになってしまった慎太郎くんのお母さん。私に務まるのだろうか」と不安を感じたという。しかし、「慎太郎さんの素晴らしい、ひたむきな生き方に感動して、ぜひやらせていただきたいと返事をしました」と、出演を決意した胸の内を明かした。撮影現場の雰囲気については、「現場では鷹也くんがいつも慎太郎くんのままでいてくれたので、私たち家族が、役を考えるとかお芝居に悩むということよりも、『慎太郎くんってこういう子だったんだ』『こんな素敵な男の子だったんだな』と、誇らしい気持ちになって現場にいることができました」と語り、松谷が作り出した空気感が、横田家の絆を自然に育んだと振り返った。息子を全力で支える母親像を体現した鈴木の言葉は、作品に流れる温かい愛情そのものを感じさせた。

【写真・文/編集部】

『栄光のバックホーム』は2025年11月28日(金)より全国で公開
企画・監督・プロデュース:秋山純
出演:松谷鷹也、鈴木京香
 前田拳太郎、伊原六花・山崎紘菜、草川拓弥
 萩原聖人、上地雄輔
 古田新太、加藤雅也、小澤征悦
 嘉島陸、小貫莉奈、長内映里香、長江健次、ふとがね金太
 平泉成、田中健
 佐藤浩市、大森南朋
 柄本明/高橋克典
配給:ギャガ
©2025「栄光のバックホーム」製作委員会

第38回東京国際映画祭は2025年10月27日(月)~11月5日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催