第38回東京国際映画祭コンペティション部門『恒星の向こう側』の舞台挨拶が11月2日(日)にヒューリックホール東京で行われ、中川龍太郎監督、朝倉あき、久保史緒里が登壇した。

10月27日(月)から11月5日(水)の10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第38回東京国際映画祭。『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(15)、『四月の永い夢』(17)で鮮烈な印象を残した中川龍太郎監督が挑む三部作の最終章。母の余命を知り故郷に戻った娘・未知は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子と衝突を重ねる。夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知。母の遺したテープから“もうひとつの愛”を知ったとき、彼女は初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく。

上映後の舞台挨拶に登場した3人。朝倉は「若い頃の、音楽の先生をやっていた頃の万里を演じさせていただきました。北海道に移ってからの様子も少しお芝居させていただきました」と自身の役柄を説明し、「今日、皆様と映画の余韻の残るなか、感じたことを共有できる時間をご一緒できてすごく嬉しいです。この後の質問コーナーでも、皆さんがどういう風に感想を持たれたのか楽しみです」と観客との交流に期待を寄せた。

続いて、未知と同僚として働く唯を演じた久保は「ついにこうやって皆様にこの映画をお届けできて、私としてもすごく嬉しいです。実は今日、朝倉さんとは初めてお会いすることができまして。お伺いしたいこととかもたくさんあるので、皆さんと共に作品のお話を聞けたらなと思います」と語った。

朝倉と久保の起用について問われた中川監督は「最初の最初からもうこの2人のキャスティングは決めていて」と明かし、朝倉については「僕が監督として生きていける道の重要な作品にいつも朝倉さんは出てくださっていたので、これは絶対、朝倉さんに万里をやっていただきたいなというのはもう最初からありました」とその理由を語った。

一方、久保については「5、6年前に『静かな雨』の時に衛藤美彩さんから久保さんを紹介していただいたんです」と、元乃木坂46の衛藤を介しての出会いであったことを明かした。「僕の『四月の永い夢』とか『わたしは光をにぎっている』を見てくださって、すごく作品を気に入ってくださったということで、そこから5年くらいご一緒する機会はなかったんですけど」と当時を振り返りつつ、今回の起用に至った経緯を説明した。

中川監督は、主人公である未知と可那子の関係性を描く上で、「普通に、なるべくフラットに生きていた人が、実人生の暴力に触れる。暴力と自分との距離感という描き方なんです。その時に、暴力というものを持っている存在として、朝倉さんが演じる万里という役と、久保さんが演じる唯という役が必要だったんです」と、2人の役柄の重要性を力説した。そして、「そういう目を持っているということではないけれど、そういうものを表現する上でのお2人が素晴らしいと思ってお願いしたということです」と、キャスティングへの信頼を語った。

5年越しのオファーを受けた久保は「もともと中川監督の作品を観させていただいていて、そのタイミングで先輩(衛藤)が監督の作品にご出演されると聞いて、映画も観させていただいて、私もいつか監督とご一緒したいなと思っていたので、その経緯を後に私は聞いたので、5年経ってご一緒できると聞いたときは素直にすごくうれしかったです」と感慨深げな様子を見せた。

【写真・文/編集部】

予告編

『恒星の向こう側』
監督・脚本・編集:中川龍太郎
出演:福地桃子、河瀨直美、寛一郎、朝倉あき、南沙良、三浦貴大、久保史緒里、中尾幸世
©2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

第38回東京国際映画祭は2025年10月27日(月)~11月5日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催