
『兄を持ち運べるサイズに』の舞台挨拶付きプレミア上映会が11月12日(水)にTOHOシネマズ新宿で行われ、柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、中野量太監督が登壇した。
宮沢りえ主演『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞など多くの映画賞を席捲、二宮和也主演『浅田家!』では国内の大ヒットのみならずフランスでも大ヒットを記録した中野量太監督が5年ぶりにメガホンをとった最新作は、作家・村井理子が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセイ「兄の終い」をもとに映画化した『兄を持ち運べるサイズに』。絶縁状態にあった実の兄の突然の訃報から始まる家族のてんてこまいな4日間の物語を描く。マイペースで自分勝手な兄に幼いころから振り回されてきた主人公の理子を演じる柴咲コウ。家族を振り回す原因となる、映画史上稀にみるダメな兄ちゃんを演じるのはオダギリジョー。兄と一時は夫婦でありながらも、ある理由で離婚した元嫁・加奈子を演じるのは満島ひかり。兄と加奈子の娘で両親離婚後は母と暮らす満里奈を演じるのは青山姫乃。二人のもう一人の子供で最後まで兄と暮らした息子・良一を演じるのは味元耀大。
昨年撮影された本作の公開まで約2週間と迫る中で「早く公開されて欲しい反面、去年の撮影の準備段階からずっとこの作品に関わらせていただいて、自分の家族のことをこれほど考えたことあるかなというくらい勝手に考えちゃう魅力が詰まった作品。送り出すちょっとした寂しさが不思議とある感覚」と心境を語った。
ダメな兄を演じたオダギリは「監督から、『今回の役はオダギリさんにピッタリですよ』と言われて、どういう捉え方をされてるだろうなと思って」と笑いを誘いつつ、「自分自身ダメなところはいっぱいあるし、社会に適合できないタイプの人間だと自覚しているので監督が思うことも納得はできるんですけどね」と理解しつつも「こういう役だからこそ自分のダメな部分とか、許されない部分を許してもらいたいと思いながら演じています」と振り返り、会場には笑いがこぼれた。そのオダギリについて「僕が知っている中で、ダメな人を演じたら一番の人」という中野監督だが「ダメだけれはなくて、素敵な温かさも表現しなきゃいけなくて、それもできるダメな人はなかなかいない」と称賛した。
既に試写で鑑賞した人からは“嫌悪感でいっぱいになるけど優しい気持ちになった”という声も寄せられているというが、上映前の舞台挨拶ということもあり「(これから鑑賞して)嫌悪感を持たれるんだなと思うと嫌ですね、この場にいるのが。ほとんどの方が嫌悪感持つんでしょ?嫌だな」とうつむきながら答え、笑いを誘った。
また、「家族って知っているようで知らないことがたくさんあったり」というオダギリは「特に親のこととかほとんど知らない。どういう人生を歩んできたのかとか聞いてこなかったし。興味も持っていなかった。この作品を通して家族をもう一度考えたくなるような気持にする映画を作ること自体に意味がある」と思いを語った。
さらに、「その時の素直な気持ちは聞けてないし、自分も言えてなかった。内に秘めてしまう家系(笑)」と話す柴咲は「本当はどう思っているか聞きたかったけど怖くて聞けなかったというのもあるし。照れ臭いみたいなものもあって、自分自身も好き、愛してると全然言ってこなかったなと。それって後悔になるなと思って。でもまた同じ状況になったら恥ずかしくて言えない。家族との距離って難しい」と親しいからこそ聞けない部分もあったことを明かした。
【写真・文/編集部】
『兄を持ち運べるサイズに』は2025年11月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
脚本・監督:中野量太
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
































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