長尾謙杜×山田杏奈 W主演『恋に至る病』の公開後舞台挨拶が11月17日(月)にTOHOシネマズ日本橋で行われ、中川翼、真弓孟之(AmBitious)、廣木隆一監督、田辺圭吾プロデューサーが登壇した。

原作は、ミステリ・サスペンスジャンルと恋愛ジャンルを縦横無尽に横断する俊英作家・斜線堂有紀による小説『恋に至る病』(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)。2020年3月末に発売されるとTikTokの書籍系アカウントによる紹介動画の再生回数が200万回を超える大反響を記録し、30回を超える重版を繰り返している話題作を実写映画化した本作。メガホンをとるのは廣木隆一監督。内気な男子高校生・宮嶺望をなにわ男子の長尾謙杜、宮嶺が出会い、初恋に落ち、彼の人生を大きく変えることになる寄河景を山田杏奈が演じる。2人の不器用で一途な初恋を軸に、同級生の不審死や恋人への恐ろしい疑惑が入り混じる“この秋、最もピュアで刺激的なラブストーリー”――。

熱気あふれる観客を前にした中川は「公開から約3週間、あっという間でしたが、こんなにもたくさんの方が今でも見ていただけて、とても幸せです」と感慨深げな様子で挨拶。続く真弓が「前髪切りすぎてオン真弓!」と自己紹介ギャグを披露するとドッと沸いた会場内。「これはちゃんとスタッフさんに許可を得てやってますからね」と自己フォローを入れつつも、「この作品をやってから、いろんな友達からメールをもらったんですけど、終わってからも考察してしまうような映画に出させていただくのが初めてだったので。すごくいい刺激になりました」と晴れやかな顔を見せた。

主人公・宮嶺と景の同級生となる木村を演じるにあたり、「木村民雄という男の子は、金魚のフンみたいな解釈でいいんですかね?」と撮影前に中川が尋ねると、廣木監督は「うん、そう」と即答されたよう。「この映画はサスペンスもラブストーリーも絡んでくるため、どういったテイストの作品なのか、まだ分かってない段階で参加するのがすごく緊張してたんですけど、やっぱ金魚のフンを演じればいいんだという思いで一直線でやったおかげで、無事に金魚のフンになってたんじゃないかなと思います」と振り返った。

本作で長編映画初出演を果たした真弓は、この日が映画の舞台挨拶が初めてだといい「いつもは今、皆さんが見ているお客さんの目線だったんですけど、このスクリーン目線で立つのが初めてなんで。めちゃくちゃ新鮮な気持ちですね。スクリーンってこんな気持ちなんやなという」という初々しいコメントに会場からも笑い声が。映画初出演ということで当初は緊張していたようだが、「顔合わせの時に廣木監督に『僕、初めてなんですけど大丈夫ですかね』と言ったら、『台本さえ覚えてきてくれれば、あとは僕がどうにかするから大丈夫』と言ってくださって。その言葉を胸に頑張りました」と振り返る。だが、記憶になかったのか、首をかしげる仕草をみせる廣木監督に、「絶対に覚えてないじゃないですか」とボヤいてみせた真弓の姿に会場は笑顔に包まれた。

撮影の中でも大阪出身の真弓が悩んだのが、「消しゴム」という言葉のアクセントだった。「関西弁と標準語で『消しゴム』のアクセントが違って、めちゃめちゃ難しかったんです。そうしたら共演者さんやスタッフさんが一丸となって指導してくれて。すごく温かい現場でした」と振り返る。

そんな真弓の姿を見ていた田辺プロデューサーは「それこそ真弓くんは映画での演技が初めてだと伺っていたんですけど、本当に落ち着いていて、堂々としていました。あとお土産も、関西でしか売ってないスナック菓子を持ってきてくれたりと、すごくリラックスして参加されているなと思いました」と振り返ると、廣木監督も「こんなおじさんが10代の映画を撮るのはすごいプレッシャーなので。2人が感じているものをそのまま出してくれればいいなというか、それを出してほしいなと思って、場所作りをしてました」と続けた。

本作の最大のテーマである「この恋は純愛なのか、それとも洗脳なのか」という問いについて、中川はこう語る。「公開後、高校の同級生と会ったんですけど、文系の子は『純愛』、理系の子は『洗脳』だという感想に分かれたんです。ちなみに僕も理系で、最初は『洗脳』だと思っていました。でも2回目に観た時、これはやっぱり『純愛』だなって思ったんです」。

この話を受け、廣木監督が「じゃあみんなに聞いてみる?」と提案。会場の観客に拍手でアンケートを取ることに。「洗脳だと思った方」の拍手がやや多めだったが、SNSでも議論を呼んでいる通り観客の受け取り方はほぼ真っ二つに分かれる結果になった。

あらためて「僕のシーンはいじめなど暗いシーンが多かったので、和気あいあいという感じではなかった」と撮影現場を振り返った中川は、主演の長尾と真弓たちがうらやましかったと語る。「本当にそこの空間だけ、ふたりが輝いてるんですよ。ダークな現場と、キラキラしてるエンジェルのような現場という差がありましたね(笑)」とボヤくと、「それで言うと、僕も長尾くんと喋ってはいたんですけど、ほぼ向こうが喋ってくださっていて。言わばボケの捌け口だったんです(笑)。現場で目についたことを全部ボケ風に喋っている長尾くんに僕がツッコむという感じだったので。中川くんが入ってきてくれれば、僕のツッコミの負担も減ったかも…(笑)」と明かした真弓。思わず笑顔になった中川は「これからはエンジェル真弓、エンジェル中川でお願いします!」とうれしそうに呼びかけた。

また、現場を振り返った真弓は、顔合わせの際に廣木監督から「君は目を見せた方がいいよ」と言われたことを明かす。「それから僕は前髪を意識的に上げ始めたんです。そうしたら結構まわりのスタッフさんやメンバーからの評判が良くて。今、AmBitiousで全国ツアーをやらせてもらってるんですけど、その全国ツアー中でもめちゃくちゃ前髪上げてます。ビジュアルが変わるきっかけをくれた作品であり、監督さんやなと、身にしみて感じております」としみじみ。それを聞いた中川は「僕も言ってほしかったな。僕の髪型は『上げちゃっていいんじゃない? やっぱ悪ガキだから』みたいな感じですぐ決まったんで。だから僕も『やっぱり目を見せた方がかっこいいから上げていこう』みたいに言ってもらえたら、もうちょっとキラキラ演じられたかもしれない(笑)」と冗談めかして、会場を沸かせた。

W主演・長尾と山田の印象を聞かれた中川は「長尾謙杜さんには僕が“いじめる側”として向き合うシーンがあったのですが、長尾さんが“本気で来ていいよ”と言ってくださって。お芝居に本気で向き合っているからこその一言で、ありがたいし、すごくかっこいいなと。憧れます」と感謝の気持ちを述べた。さらに山田については、「普段は自然体な印象なのですが、ダークなシーンに入ると一瞬で目の色が変わる。スイッチの切り替えがとにかくすごい。長尾さんもそうで、取り調べのシーンは特に印象に残っています。僕もダークな役をやりたいです」と話すと、廣木監督も「これからいろんな役をやってほしい」と期待を寄せた。一方、真弓は「長尾くんは、カメラが回っていない時はずっと僕にボケてくれていたのに、アクションがかかった瞬間に“いじめられっ子の宮嶺”になっていて本当にすごかった」と驚きを語る。続けて山田については、「役柄もあって現場で口数がめちゃくちゃ多いわけではないんですが、気づけば話の中心にいて、カリスマ性があふれ出ている方なんやなと思いました」と印象を明かした。しかし、映画初出演の真弓は、「長尾くんは切り替えられるかもしれんけど、僕はできない。だから長尾くんを見て、“さっきまでボケてたやん!”って思いながら撮影してました」と振り返り、会場を大いに沸かせていた。

また、今後の展望について質問された中川は「真弓さんはしっかり役作りをされていたから、本当に学級委員みたいにビシッとされていて。僕もそういう役もやりたいなと、新しい道が開けた作品でもあります。それと僕は今、NHK大河ドラマ「べらぼう」で横浜流星さんの横にいることが多くて。その背中を見ていると、いずれ僕も大河ドラマで主演を張れるような俳優さんになれたらなと心の底から思ってます」と展望を語ると、真弓も「僕は初めての映画作品でしたけど、事務所の先輩である長尾くんのことはデビューする前から知っていました。だからこうやって役者としての道を駆け抜けている長尾くんに、僕もいつか追いつきたいなと思いますし、そういう存在感を放てるような役者さんになれたらなと思います」と笑顔で意気込んだ。

最後に真弓は「未熟なところはまだまだありますが、演技をしていたら、こんな素晴らしい作品に出会えるんだなと気づかせていただきました。もっともっとスクリーンに出られるように、これからも精進してまいりますので、役者としての真弓孟之も見守っていただけたら」と語ると、中川も「この作品は、回数を重ねるごとに視点が変わると思うので。解釈の違いなども楽しんで、最後まで何回も見ていただけたら」と呼びかけた。さらに廣木監督が「今日はこんなにいっぱいお客さまに来ていただいて、すごく嬉しいです。2人も、本当に素直な、いい芝居をしているので、何度でも見てあげてください」と会場に呼びかけ、イベントを締めくくった。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『恋に至る病』は全国で公開中
監督:廣木隆一
出演:長尾謙杜、山田杏奈
 醍醐虎汰朗、中井友望、中川翼、上原あまね、小林桃子、井本彩花、真弓孟之(AmBitious)/忍成修吾 河井青葉/前田敦子
配給:アスミック・エース
©2025『恋に至る病』製作委員会