スピッツの名曲「楓」を原案にした映画『楓』の本編映像が解禁された。

時代を超えて愛される国民的バンド・スピッツの楽曲が、デビュー34年にして初の映画化。「楓」は、1998年にリリースされた8thアルバム『フェイクファー』の収録曲で、同年にアルバムからシングルカットされ、その後数多くのアーティストにカバーされながら、27年が経った今も愛され続ける名曲。ボーカルで作詞・作曲も担当する草野マサムネが綴る歌詞と心揺さぶるメロディーは、聴く人それぞれに寄り添い、大切な人との別れや想い出を包み込む。本作で監督を務めるのは、多様な恋愛映画を手がけてきた行定勲。そして、オリジナルストーリーを書き上げたのは、『ソラニン』『東京リベンジャーズ』などジャンル問わず常に評価される脚本家・髙橋泉。音楽は、藤井風など様々なアーティストの作曲や編曲、プロデュースを務め、優れた楽曲をCM・映画・ドラマなど多方面に提供するYaffleが担当する。大切な人を失う運命に向き合う2人の主人公を演じるのは福士蒼汰と福原遥。

今回解禁された本編映像は、涼(福士蒼汰)と亜子(福原遥)の日常を切り取っており、朝の光のなかで2人が穏やかに過ごす“モーニングルーティン”が映し出され、本作が持つ柔らかな温度が伝わる微笑ましい映像となっている。

映像は、鏡の前で慎重に眼鏡をかけ、弟の姿に寄せようとする涼を映したシーンから始まる。「恵ちゃん、手伝って」と呼ぶ亜子の声に、涼はそっと微笑み、2人で仲良く朝食の準備を始める。正反対の性格の双子という設定もあり、弟は左利きである。福士は利き手が右手であるので、自身も何度も訓練を重ねたと語っている。弟になり切っている涼は料理を作りながら、愛おしそうな表情で亜子を見つめる。料理を運び「いただきます」と声を合わせる姿は、穏やかな日常を慈しむようだ。

仕事に向かう道中では、亜子が提案した“外来語禁止ゲーム”に2人で挑戦。楽しげな雰囲気のなか、亜子の仕掛けに涼が思わず「やられた~」と笑うやり取りや、「まず私が15点先取ね」「テニスの点数じゃないんだから」と交わす軽妙な掛け合いが描かれ、無邪気な亜子と、それに優しく寄り添う涼の関係性が幸福感に満ちた時間として切り取られている。一見、恋人のように見える2人の空気感は、このシーンを通じてより鮮明になる。しかし、2人の抱える秘密が明かされると、その見え方は一変する。福士はこの “外来語禁止ゲーム”のシーンが一番好きだと明かし、弟のフリをしている涼が戸惑いながらも亜子の期待に応えようとする姿に胸がキュンとする。「2回観たらこのシーンの切なさがもっと分かるので、ぜひ注目して観てほしい」とコメントを寄せている。

また、2人が暮らす部屋には、星や天体にまつわる小物、花や観葉植物が散りばめられ、温かみのある空間が印象的だ。その装飾の一つひとつに制作陣の想いが込められている。本作で美術を担当したのは、『そばかす』(22)や『若き見知らぬ者たち』(24)など、多数の映画作品を手がける美術デザイナー・福島奈央花。福島は「全体を通して“楓”の木や、自然をイメージする世界をテーマにしていました」とコンセプトを語る。

さらに、「2人が結ばれているのは天体や星を見ることがベースになっているので、星に関係するものを生活に散りばめることをすごく大事にしています」と、涼と亜子の関係性や趣味嗜好を丁寧に汲み取ってデザインしていることを明かした。細部に宿る温度感やこだわりが詰め込まれており、本作の世界観に深く没入できる仕上がりとなっている。こうした日常の細やかな描写や、美術に込められた丁寧なこだわりが重なり合うことで、涼と亜子の関係性や物語の温かさがより豊かに伝わってくる。

本編映像

『楓』は2025年12月19日(金)より全国で公開
監督:行定勲
出演:福士蒼汰、福原遥
 宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗  
 大塚寧々、加藤雅也
配給:東映 アスミック・エース
©2025 映画『楓』製作委員会