
綾野剛主演最新作『星と月は天の穴』の場面写真、特別映像が解禁された。
キネマ旬報脚本賞に5度輝いた⽇本を代表する脚本家・荒井晴彦。⾃ら監督を務めた作品では⼈間の本能たる“愛と性”を描き、観る者の情動を掻き⽴ててきた。最新作『星と月は天の穴』は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っている。主人公・矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』(23)でもタッグを組んだ綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露、過去のトラウマから、女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを生み出した。矢添と出会う大学生・紀子を演じるのは咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる。矢添のなじみの娼婦・千枝子を田中麗奈、さらに柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが脇を固める。
今回、綾野剛演じる小説家・矢添と矢添が書く小説の主人公A(=綾野二役)の心を翻弄する女たちにフォーカスしたスペシャル動画が解禁された。咲耶演じる画廊で出会った大学生・紀子、田中麗奈演じるなじみの娼婦・千枝子。そして矢添が綴る小説のヒロインB子、千枝子と同じ店の新人の女、そして娼家の女主人と、矢添を様々な形で翻弄する女性が登場する。
「君はいくつなんだ?」という矢添の問いに、答えていく女たちの答えは嘘か、本当か。不惑の年齢に差し掛かった矢添を惑わす「やっかいな年頃」の女たちであることに違いはない。妻に捨てられた過去のトラウマ、抱えている自身のコンプレックスから女性との関係性に一線を引きたい、でも愛されたい…。
そんな矢添の心と体の矛盾を見透かすかのように、彼女たちはズケズケと彼の日常に入り込んできたり、呆れながら寄り添ったり…。「俺は1人の女と生活していく決心をつけることができるのか」そんな矢添の内省をも「自惚れてるのね」と一笑に伏すだけだ。いつの時代も男は愛をこじらせる――昭和の時代に、矢添の日常に登場する女たち。前述の咲耶、田中麗奈、さらには、岬あかり、MINAMO、そして大御所・宮下順子がモノクロの世界を鮮やかに彩っている。
瀬川紀子:咲耶
綾野演じる矢添と画廊で偶然出会った大学生。車で送ってもらう途中、彼女の“粗相”がきっかけで情事に至り、2人は奇妙な関係に。女性と一線を引きたい矢添の日常に無邪気なのか、計算なのか、ずかずかと足を踏み入れていく紀子。いきなり自宅に電話をかけたり、部屋を訪れたり…。さらに自分には同世代の彼氏がいるという。
矢添と体を重ねていくうちに女性としての欲望に目覚めていき、2人の関係性に変化が訪れていく。紀子を演じるのはオーディションでヒロインの座を勝ち取った俳優 咲耶。個性派俳優の広田レオナを母、吹越満を父に持つ彼女が、本作でついにベールを脱ぎ、魅力を解き放つ。
千枝子:田中麗奈
田中麗奈が演じるのは矢添のなじみの娼婦・千枝子。矢添を憎からず思っており、彼に対し他の客以上の“情”がある。しかし関係は進展することなく、時だけが流れ、女として自身の人生の選択をする時であることを自覚している女性だ。愛をこじらせている矢添に決して踏み込むことなく淡々と寄り添う一方で、矢添の一番の理解者であることも見受けられる。さらには、己の幸せのために大きな決断を下していく千枝子の姿は切なくも軽やかで、咲耶演じる紀子とある種対照的な人物像となっている。千枝子が持つ矢添へのある種の愛と諦念、複雑な女心の内が物語に与える影響は大きく、少なからず特に女性の共感を呼ぶことだろう。
小説の中のB子:岬あかり
同じく綾野が演じている“小説家・A”。矢添が執筆する小説の主人公であり、彼を投影したキャラクターだ。矢添は20歳も年下のB子との恋愛を綴ることで「精神的な愛の可能性」を探っている。
B子はAの行きつけの銀座のバーでアルバイトをしている女子大生。女性と見ればすぐに「寝ること」を考えるようなAが、B子に対しては大事にしたいという気持ちが湧き起こる。“精神的な愛”だ。しかし、若々しい彼女の躰と比べAの老いに対するコンプレックスは心のうちに次第に広がり、ある時2人の関係はB子の“赤い口紅”をきっかけに変化していく――。B子を演じたのは岬あかり。2歳で子役デビューし、「七瀬ふたたび」(2008/NHK)や「JIN-仁-」(2009/TBS)「ハガネの女」シリーズ(2010~2011/EX)などTVドラマなどを中心に活動。次第にAの心と体の矛盾を凌駕するように“女”として目覚めていく様子はスクリーンで強いインパクトを残している。
娼家「乗馬倶楽部」の女:MINAMO
田中麗奈演じる矢添なじみの娼婦・千枝子との関係に変化をもたらすのが娼家「乗馬倶楽部」の“新人の女”だ。
矢添の家に「乗馬倶楽部」の女主人から電話がかかってくる。いい女の子が入った、たまには千枝子以外の女の子と遊んでみてはどうかというのだ。それも16歳だという眉唾な話だが、矢添は「3時間後に行く」と電話を切る。
もちろん16歳などではないようだが、女主人は彼女の素性については多くを語らないものの「あの子、俳優の養成所に通ってるんですよ。スターになるかもしれませんよ」と明かす。矢添は執筆中の小説の“B子”に彼女を重ね書き綴っていく。この“女”を演じたのはMINAMO。圧倒的な透明感と大胆さで人気を博しており、ランジェリーブランドとのタイアップも話題に。荒井組は『花腐し』に続く参加となる。
娼家「乗馬倶楽部」女主人:宮下順子
そして、なんといっても圧倒的な存在感でスクリーンに登場するのは娼家「乗馬倶楽部」の女主人だ。恋愛の酸いも甘いも噛み分け、本人たちですら気づいていないかもしれない矢添の迷いや千枝子の焦りに少しだけスパイスを加えるような人物。演じたのは、宮下順子。『四畳半襖の裏張り』(73/神代辰巳監督)や初期荒井脚本の代表作であり、今も国内外で高い評価を得ている『赫い髪の女』(1979/神代辰巳監督)といった傑作に出演、日活ロマンポルノを支えた大女優である。彼女の荒井監督作品への出演は日本映画ファンにとっては嬉しい邂逅だろう。
特別映像
『星と月は天の穴』は2025年12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国で公開
脚本・監督:荒井晴彦
出演:綾野剛
咲耶、岬あかり、吉岡睦雄 MINAMO 原一男/柄本佑/宮下順子、田中麗奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2025「星と月は天の穴」製作委員会












