綾野剛主演最新作『星と月は天の穴』のクランクアップ写真が公開された。

キネマ旬報脚本賞に5度輝いた⽇本を代表する脚本家・荒井晴彦。⾃ら監督を務めた作品では⼈間の本能たる“愛と性”を描き、観る者の情動を掻き⽴ててきた。最新作『星と月は天の穴』は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っている。主人公・矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』(23)でもタッグを組んだ綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露、過去のトラウマから、女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを生み出した。矢添と出会う大学生・紀子を演じるのは咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる。矢添のなじみの娼婦・千枝子を田中麗奈、さらに柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが脇を固める。

2024年4月に撮影された本作。『花腐し』(23)に続いて2度目の荒井組参加となった綾野剛は、矢添の部屋で小説を書くシーン、小説のタイトルに「星と月は天の穴」と書くシーンでまさにクランクアップとなった。直後、荒井監督と交わした固い握手からは、撮影中座長としてチームを牽引した綾野への荒井監督の厚い信頼が見て取れる。2人のさわやかな笑顔が印象的だ。

咲耶は、高く高くブランコを立ち漕ぎするシーンでクランクアップ。「絶対に自分が演りたい」と強い思いで挑んだオーディションから、全身全霊をかけて臨んだ撮影の日々。プレッシャーで涙が止まらなくなる日もあったというが、クランクアップを迎えたその表情は達成感に満ちている。このブランコ立ち漕ぎシーンはエンドロールで登場するので、本編最後までお見逃しなく。

また、田中麗奈のクランクアップは矢添との公園での別れのシーン。若い同僚に馴染みだった矢添の興味が移っていくのを感じながら、また自分も違う男から結婚を申し込まれ、娼婦という職業を一生隠し通す生活を送っていくのだという覚悟をするというまさに岐路。それまでは「矢添さん」と呼んでいたのに、初めて彼の下の名前を呼んだ。「さようなら。……矢添克二さん」という一言に愛おしさが詰まって、どうしようもなく泣けたと田中は語る。このシーンは、女性の情念が切ないほど胸に迫ると話題となっている。

『星と月は天の穴』は全国で公開中
脚本・監督:荒井晴彦
出演:綾野剛
 咲耶、岬あかり、吉岡睦雄 MINAMO 原一男/柄本佑/宮下順子、田中麗奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2025「星と月は天の穴」製作委員会