劇場アニメーション『この本を盗む者は』の公開記念舞台挨拶が12月27日(土)に新宿バルト9で行われ、片岡凜(御倉深冬役)、田牧そら(真白役)、土屋神葉(春田貴文役)、朴璐美(御倉たまき役)、福岡大生監督、黒澤桂子(キャラクターデザイン/作画監督)が登壇した。

行こう、盗まれた真実をつかまえに―。本泥棒を追って呪われた物語を旅する“謎解き冒険ファンタジー”。「本なんて、読まなければよかった……!」書物の街・読長町に住む高校生の御倉深冬。曾祖父が創立した巨大な書庫「御倉館」を代々管理する一家の娘だが、当の本人は本が好きではなかった。ある日、御倉館の本が盗まれたことで、読長町は突然物語の世界に飲み込まれてしまう。それは本にかけられた呪い――“ブックカース”だった。呪いを解く鍵は、物語の中に――町を救うため、深冬は不思議な少女・真白とともに本泥棒を捕まえる旅に出る。泥棒の正体は一体誰なのか?そして、深冬も知らない“呪い”と“御倉家”の秘密とは……?2人の少女が“本の世界”を旅する、謎解き冒険ファンタジーが開幕。すべての呪いが解けるとき、あなたは奪われた真実と出会う―。

本作で声優初挑戦となった片岡と田牧。普段は実写作品を中心に活躍する片岡は、今回のアニメーション映画での演技について「普段はもう出来上がっている現場のセットの中で、自分がそこに感情を乗せて世界に入り込んでいくんですけど、今回は絵の中で、決められた尺と表情の中でのお芝居でした。本当に180度違って、日々いろいろな難しいことも経験していたんですが、その難しさがすごく心地よくて、幸せな収録でした」と、声優という新たな表現方法への挑戦を振り返った。

同じく本作が声優初挑戦となった田牧も「私もすごく緊張して、ドキドキの収録でした」と当時の心境を吐露しつつも「ずっと片岡さんと一緒に収録させていただいたり、監督やスタッフの皆さんもすごく優しく演出してくださったので、楽しみながらアフレコをすることができました」と語り、共演者やスタッフの支えがあってこその演技だったことを明かした。

収録も2人同時に行われたといい、さらに「真白、行くよ」というセリフのシーンでは「監督からのご提案で、実際に手を繋いで、こうやって(手を引く動作を)しながら『真白、行くよ』って」と、身振りを交えて当時の様子を再現し、朴や土屋を驚かせていた。

さらに、福岡監督からのユニークな演技指導についても明かされた。監督が「どう演技指導していいか悩んだ結果」と考え、田牧に壁ドンをするような心情での演技を求めたという。これに対し田牧は「初めて壁ドンしたんですけど、本当に気持ちがイケメンになったような気がして、すごくありがたかったです」と笑顔を見せた。感謝。このエピソードに朴は「なんで私にもやらせてくれなかったんですか(笑)」と会場の笑いを誘っていた。

イベントではまもなく迎える2026年の抱負を発表。片岡は「来年も、表現をしながら生きるということですかね」と切り出し、「役を愛したり、大事に思いながら理解してあげるということに徹したいなと思います。そうしたら『いつかそれが大きくなるよ』と事務所の社長さんが教えてくれました」と語った。

一方、来年20歳を迎える田牧は「来年20歳になるんです。なので、自立した大人の女性になりたいです」と力強く宣言。すると、それに続く形で土屋が「来年は私、30になってしまうんです。なので、自立した大人になりたいと思います」と田牧のコメントを真似て会場を沸かせると、さらに朴も「54になるんで、自立した大人になれるように頑張りたいと思います」とまさかの“自立宣言”を重ね、キャスト陣の見事なチームワークに会場は大きな笑いに包まれた。

最後に片岡は「今日この作品を見てくださって思ったことや感想を、皆様のご家族や大切なお友達にシェアしてほしいなと思います」と呼びかけ、田牧は「この作品はすごくいろんな見方ができる作品だと思うので、1回だけではなく、何度でも楽しんで見ていただけたらなと思います」とアピールした。

【写真・文/河野康成】

『この本を盗む者は』は全国で公開中
監督/コンテ/演出:福岡大生
配給:角川ANIMATION