撮影/河野康成
『クスノキの番人』の完成披露試写会が1月14日(水)に都内で行われ、高橋文哉、天海祐希、齋藤飛鳥、宮世琉弥、大沢たかお、伊藤智彦監督が登壇した。

東野圭吾原作作品、初のアニメーション映画となる本作。理不尽な解雇により職を失った青年・直井玲斗は、追い詰められた末の過ちで逮捕される。運に身を委ね、将来を思い描くことも、人生の選択を自ら決める意志もなかった。そんな彼に運命を変える出会いが訪れる。依頼人の指示に従うなら、釈放する――突如現れそう告げる弁護士の条件を呑んだ玲斗の前に現れたのは柳澤千舟。大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献してきた人物であり、亡き母の腹違いの姉だという。「あなたに、命じたいことがあります」それは、月郷神社に佇む<クスノキの番人>になることだった。戸惑いながらも番人となった玲斗は、さまざまな事情で境内を訪れる人々と出会う。クスノキに定期的に足を運び続ける男・佐治寿明。その娘で父の行動を不審に思う女子大生・佐治優美。家業の継承に葛藤する青年・大場壮貴、彼らや千舟と関わるうちに、玲斗の世界は、少しずつ色を帯びていく。――だが、玲斗はまだ知らなかった。クスノキが持つ<本当の力>を。やがてその謎は、玲斗の人生をも巻き込みながら、彼を思いもよらぬ真実へと導いていく。

本作の主人公・直井玲斗を演じた高橋は、東野作品初のアニメ化という記念すべき作品への出演が決まった際の心境について「東野先生の初のアニメーション作品ということにすごく惹かれた自分もいれば、その言葉によってすごくドキドキした自分もいた」と、喜びと同時にプレッシャーを感じていたことを明かした。主演として選ばれたことに「すごく嬉しいなと率直に感じた」と語る高橋は、原作を読んだ際には「東野先生が描く小説の文字一つ一つに、情景描写がすごく丁寧で魅力的で、一人一人のキャラクターを愛させる能力がある」と原作の持つ力に圧倒されたという。「これがアニメーション映画になるとどういうものになるんだろうとすごくワクワクした」と、当初から作品への期待感が高かったことを振り返った。

出演の経緯について伊藤監督から丁寧なメールを受け取ったという天海は「私ごときにこんなご丁寧なと思って、もし私が少しでも力になるならぜひ」と快諾したという。原作を読み「本当に情景が自分の中でふわっと広がるような東野先生の文章で、この中の千舟さんという方をやはり真摯に演じられたらいいなと思った」と、役柄への誠実な向き合い方を語った。

また、大沢は、出演が決まった際、「素晴らしい台本で、すごく心に染みる、それぞれのキャラクターがみんな何か共感できるような素晴らしい原作だった」と絶賛。オファーの経緯については「自分の古い旧友からの連絡だったので、何か縁を感じて参加させてもらった」と明かした。

アフレコ時のエピソードに話題が及ぶと、高橋は天海との共演シーンについて触れた。「実写のお芝居に近づけるという気遣い」があったという髙橋は、伊藤監督から「面と向かってこのシーンはやってみましょう」といった指示があったという。天海の顔を見ながら芝居ができたことは強く記憶に残っていると語る一方で、高橋一人の収録時にはユニークな工夫も凝らされていたようだ。「ガタイのいい大きいスタッフさんがいて(笑)伊藤さんが『今から大きいスタッフを入れるので、その人と取っ組み合いをしてください』って言うので、リアルで取っ組み合いをしながらセリフを言って」と裏話を披露した。天海も、2人で向き合って芝居をしたシーンについて「こっちのテリトリーに来たと思って(笑)顔を見ながらお芝居をさせていただいて、声を走らせて、それはすごく印象に残っています」と、高橋との掛け合いの手応えを語った。

完成した作品を観た感想として、「圧倒されましたね」と感嘆の声を漏らした高橋。アフレコの段階ではまだ絵が動いていなかったり色がついていなかったりしたが、完成形を見た際に「色でも楽しめるし、映像美ももちろんそうなんですけど、音楽も相まって、目でも耳でも心でも楽しめる作品」だと実感したという。特にクスノキが登場するシーンについては「そこの存在感みたいな部分と、ファンタジー要素もありながらも、どこかにこんなものがあるのかなと思わされるリアリティ」を感じたという。

天海は「自分でもびっくりするぐらい泣いてしまって」と告白。「きっと誰の心の中にもクスノキはあるんだろうなと思いながら、何かを受け取って誰かに伝えられたらいいななんて思いながら」と語った。

【写真・文/河野康成】

『クスノキの番人』は2026年1月30日(金)より公開
監督:伊藤智彦
キャスト:高橋文哉/天海祐希
 齋藤飛鳥、宮世琉弥/大沢たかお
配給:アニプレックス
©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会