『とれ!』の公開記念舞台挨拶が1月16日(金)にテアトル新宿で行われ、コウイチ監督、中島瑠菜、まいきちが登壇した。

YouTubeチャンネル「kouichitv」で人気沸騰の動画クリエイター、コウイチが監督・脚本を務めた初の長編映画『とれ!』。コウイチ監督は「kouichitv」チャンネルを運営し、若者を中心に熱狂的なファンがつく動画クリエイター。コウイチが監督を手掛けた初の短編映画「最悪な1日」が札幌国際短編映画祭で特別賞を受賞、短編映画「消えない」は、2021年にYouTubeで公開されるやすぐさま話題となり、再生回数は460万回を越え、新作のショートムービー「バニーキッチン」が配信中、そして今回、監督・脚本のオリジナル作品で初の劇場長編映画監督デビューを果たす。ジャンルは得意とするホラー。主演は彗星の如く現れた期待の新星・中島瑠菜。本作で長編映画単独初主演を飾る。ほかに、まいきち、和田雅成、宮地真緒、奥菜恵という個性豊かなキャストが顔を揃える。

映画上映後、ステージに中島たちが登壇すると会場からは大きな拍手とともに歓声がわき起こった。だが彼女たちの背後には劇中に登場した“神様”がたたずんでおり、一瞬ザワついた会場内。そんな神様の存在について、中島とコウイチ監督は「見えますよ」と語るなど、しっかりと認識している様子だったが、一方のまいきちは「え、何がですか?何かいる感じですか?」と神様の存在を認識できていない様子。ということで、この日のイベントは、劇中の主人公・美咲と同様、神様に見守られながら行われることとなった。

長編映画監督デビュー作となった本作が初日を迎えた思いを尋ねられたコウイチ監督は「撮影してから1年半以上はたっているので、それまで誰も不祥事もなく無事に公開までたどり着けて、本当に安心しております」とコメントし、ドッと沸いた会場内。一方、本作が映画単独初主演作となる中島も「撮影当時は本当にみんな必死でやっていたんですけど、いざこうして皆さまに見てもらえることになって。ようやく実感が湧いてきましたし、正直にうれしいなと思います」と笑顔。さらにまいきちも「私はお芝居のお仕事の2作品目が『とれ!』だったので。それが公開されるんだと思ったらドキドキで、昨日は眠れなかったです」と語るも、初日を迎えたことに感激した様子だった。

映画の企画が立ち上がってから、脚本執筆、撮影、編集、プロモーションなどを経て、ようやく公開となったということでコウイチ監督は「今までいろいろ映画は見てきましたけど、いざ自分が長編映画の監督をやるとなった時に、どの監督もすごかったんだなというのを実感しました。奇想天外な監督でさえ、みんなこんなにも地道な作業をやっていたのかと。いろいろと学びはありました」としみじみ。またプロモーションに関しても「全然YouTubeとは違う」と感じたとのことで、「どうやったら見てもらえるんだろうというのは、今でもずっと考えています。今日も家を出る前に7本くらい告知動画を撮ったんですけど、あんまり伸びてないです(笑)」と苦笑いのコウイチ監督だったが、それゆえに観客の口コミに期待を寄せている様子だった。

神様に取り憑かれる高校生という本作について「ホラーとは聞いて脚本を読んでいたんですけど、まさか自分が神様に取り憑かれるなんて」と振り返った中島は、本作の主人公・美咲の役作りについて「私に似ている部分も多かったので、そのままというか、学生らしくやっていました」と振り返った。また美咲の親友で、劇中で実際に霊に取り憑かれてしまうシーンもあった皐月を演じたまいきちは「取り憑かれるところ以外は結構そのままでした。でも取り憑かれたシーンのところでは、3時間くらいずっと泣いていました」と告白。「めちゃくちゃ頑張りました。その日はほぼ覚えていないくらい集中していました」と付け加えると、中島も「まいきちちゃんがずっと泣いているから、私もつらくなってきちゃって。2人で見えないところで泣いていました」と述懐。そんな2人の告白にコウイチ監督も「廃虚のシーンが多かったので、申し訳ないことをさせてしまったなという気持ちです。なんて脚本を書いてしまったんだと思いました」と反省するひと幕もあった。

そんな美咲と皐月のやり取りは非常に自然体でかわいらしく、グッと引き込まれるところがあったが、撮影現場では「結構フレッシュさというか、学生の『やっちゃいまーす!』みたいな感じをどう出すかという話はしました。『ここでこうリアクションしていい?』とかを相談していました」と振り返ったまいきち。コウイチ監督も「撮影の前に本読みを結構やっていて。重要なシーンをメインに『皐月はもうちょっとテンションを高くしてほしい』とか『美咲は逆にもうちょっと落ち着いて』とか。そういうやり取りを事前にしていました」と振り返った。本作は青春ホラー作品ということで、2人の高校生の成長していく姿、フレッシュな姿を見ることができる作品となっているが、そんな本作について中島も「私も受験期だったので、進路と向き合う時間を大切にしていた時期でした。美咲の『これからどうしていくんだろう』という葛藤は自分とリンクするところがあったなと思います」と振り返る。

そして“神様に憑かれる”という設定について質問されたコウイチ監督は「僕が前に撮った『消えない』という短編で『いるけど何もしない霊』というのを出していて。僕の中の心霊観として『いるけど特に何もしてこない』というものがあったので、たたずんでいるだけという。あと神様という設定は、あまりないかなと思ったので。一応幽霊は出しつつ、神様という全く別物の怪異を同系列で出す。そういう変なものに取り憑かれている、という話にしようかなと思いました」と説明。

さらに「第何形態みたいに形状が変化していくのはやりたかった」と付け加えたコウイチ監督は「このステージにいる神様は初期型なんです。気づいた人がいるかわからないですが、戦闘体制に入る時は顔の線が赤くなるります。それと最初はこんな長髪にするつもりはなかったのですが、衣装合わせの時にウィッグをかぶってもらって『なんかいいな』と思い、こうなりました」と神様の特性について解説するひと幕も。すると神様が見えていないという、まいきちは「全く見えてなくて残念。ロン毛なんだ、というのは今初めて知りました」と残念そうに語った。

そんな神様を見ることができなかったと語るまいきちだが、劇中のカフェのシーンでは逆に“何か”を感じることがあったという。「ちょっと気持ち悪いなと感じることはあって。一緒に出ていた霊媒師役の和田雅成さんも、3人のシーンで『何か感じるよね』と言って。パッと見た場所がわたしと同じだったんです。そこには誰もいないんですけど……不思議な体験をしました」と返答。神様は見えるも、その“何か”については感じることはできなかったと振り返る。一方のコウイチ監督は、そのシーンでは、カフェの店員役で出演していたということもあり、「僕は幽霊どころじゃなかったですね」と笑う。「一個しかないパフェを運ぶことに集中したんです。『これを落としたら、もう代えがないです』と言われ失敗ができない状況で、しかもパフェがめちゃくちゃ重くて、ガタガタ震える状態でした。さらに監督業もやらなきゃいけなかったから」と振り返った。

映画のテーマにちなみ、「想定外だったこと」について質問を受けた中島は「いろいろ考えたんですけど、思い浮かばなくて……逆に皆さんの答えを聞きたいと思いました」と返答。そこでまいきちが自身の名前について「本名は“まいあ”なんですが、10年前にネット名を軽い気持ちで“まいきち”にしたんですけど、ここまでバズるとは思っていなかったので……今でも“まいきちさん”と呼ばれるのは想定外で、“まいきちさん”と呼ばれるたびにハッとなります」と苦笑い。コウイチ監督は「僕の人生そのものが想定外みたいなもの」と返答。「映画監督をやってこのステージに立っていること自体が想定外で。小学生の頃はYouTuberみたいな職業になるなんて思っていなくて、ゲームを作る人になりたかったんですけど、気づけばこうなってましたね」と自身のキャリアについてしみじみと振り返った。

最後にまいきちは「映画『とれ!』、SNSでたくさん拡散してください。よろしくお願いします」と会場に呼びかけると、中島も「『とれ!』はちょっと怖くて、でもちょっと温かいお話になっていると思います。ぜひSNSで感想をいただけたらなと思いますし、怖いのが苦手だよと言っている子にも『面白かったよ』と伝えてもらえたら」とメッセージ。コウイチ監督が「映画、楽しんでいただけましたでしょうか?」と尋ねると会場から拍手が。その様子に笑顔を見せたコウイチ監督は「しばらく上映しているので、気が向いたらもう一度観に来たり、友達を誘って観に行ってくれるとうれしいです」と観客に呼びかけ、イベントを締めくくった。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『とれ!』は全国で公開中
監督・脚本:コウイチ
出演:中島瑠菜、まいきち、和田雅成、宮地真緒、奥菜恵
配給:KADOKAWA
©2025 「とれ!」製作委員会