ビヘイビア

レビュー

『ビヘイビア』

過酷な環境下に生きる少年と、愛情あふれる教師のドラマ

キューバで薬物中毒の母親と暮らす11歳の少年の物語。母親を支えるためにお金を稼ぐ必要があり、少年チャラは闘犬の訓練をしている。非常に大人びた印象を受けるのはこういった家庭環境があるからだろう。少年が部屋の外で闘犬を飼い、その犬を母親の恋人が闘犬場に連れて行く。稼ぐためとは言え、なかなか苛酷な環境である。そんな環境に置かれた少年は学校でも素行が悪く、問題児として扱われる。教師はそんなチャラを理解しようとはせずに、再教育をするための学校に転校させてしまう。

ここで登場するのが担任の教師であるカルメラ。チャラたち生徒にとってはまさしくヒーローだろう。自分たちを理解してくれる大人として、お互いを信頼し合っている様子が伺える。すでに定年を迎えているカルメラだが、その厚い信頼のもと教師を続けている。彼女は闇雲に生徒をかばうわけではなく、教師として、正しい道へ導こうとしている。だからこそ生徒たちから絶大な人気を誇っているのだろう。彼女はこの作品においての第2の主人公であると言っても過言ではないほど物語を支えている。普段はチャラに優しく接するカルメラだが、注意すべき時は厳しく接する。参考にしたくなるほど素晴らしい大人である。

もうひとつ、この作品において重要な出来事がある。それは生徒たちのいわゆる”恋愛トーク”。小学生とは思えない、とても大人びたアプローチをしようとするチャラ。それをかわすイェニ。その流れをニヤニヤしながら見ているチャラの友人。過酷な環境下ではあるが、こういったシーンを見るとほっこりしてしまう。時に強引にいこうとするチャラを見ていると、違うよって思わず言いたくなってしまうほど応援してしまう。

『ビヘイビア』
(原題:Conducta)
2015年7月20日(月・祝)・24日(金)にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015で上映
2014年/キューバ/108分
監督:エルネスト・ダラナス・セラーノ
出演:アリーナ・ロドリゲス、アルマンド・バルデス・フレイレ、シルビア・アギラ、ユレット・クルス、アルマンド・ミゲル・ゴメス、アマリ・フンコ、ミリエル・セハス

©RTV COMERCIAL, Ernesto Daranas & Alejandro Perez

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