ホワイトゴッド 少女と犬の狂詩曲

レビュー

『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』

離れ離れになった少女と犬が再び出会ったとき、衝撃の瞬間を迎える・・・

カンヌ国際映画祭のある視点部門でグランプリを受賞した本作。舞台は、雑種犬を排除するために飼い主に税金をかける法律が制定された都市。威圧的な父親の手により捨てられた、少女リリの愛犬ハーゲン。ハーゲンはリリの元に帰ろうとし、リリはハーゲンを探すが出会えず。ハーゲンは闘犬場に駆り出され、獰猛な野生に目覚め、何百という犬を連れて人間への反乱を起こす。まさに犬版『猿の惑星』のようだ。

この映画が訴えているのは、まさに人間の理不尽さ。自分勝手に動物を飼い、捨てる人間の未来が描かれているような気がする。サスペンスであり、ドラマでもある、さらにスリラー映画でもあるのは、犬の心境心理の移り変わりで映画のイメージが変わるからだろう。恐怖すらも感じるリアリティの原因は、CGに頼ることなく描かれている犬たちの動きだろう。動物保護施設から連れてこられたという犬たちをトレーニングしたというが、それはまさに人間の俳優のようにいい演技をしている。当たり前だがとてもリアルだ。さらにハーゲンの飼い主であった少女リリは本作が映画デビューのジョーフィア・プショッタが演じている。犬たちとのコミュニケーションが素晴らしく必見だ。

本作では、ハンガリーという国で、そしてヨーロッパ全体で、一握りの階級がその他大勢を支配するという構図への懸念を表しているという。これはハンガリーだけの話ではなく、そういった問題が、このような作品が生まれるきっかけにもなっているということを危惧すべきなのかもしれない。

(text:編集部)

『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲ラプソディ
(原題:Feher isten/英題:White God)
2015年11月21日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開!
ハンガリー、ドイツ、スウェーデン合作/2014年/119分
監督:コーネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プショッタ、シャーンドル・ジョーテール/ルークとボディ


2014©Proton Cinema, Pola Pandora, Chimmey

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