完全なるチェックメイト

レビュー

『完全なるチェックメイト』

国の威信をかけた対決に巻き込まれた天才の行く末は―

狂気の天才を描く映画はあるが、本作の主人公はチェスの天才であるがために、自らの人生だけではなく、国の将来をも巻き込む。アメリカとソ連の冷戦時代、武力で戦わない代わりに、あらゆることでプライドをかけた戦いがあった。長年に渡り世界チャンピオンの座に君臨したソ連だが、アメリカで生まれた天才にして変わり者のボビー・フィッシャーに脅威を感じていた。さらに、アメリカも理解ができない彼の行動に苦しみつつも、国の威信をかけてプレッシャーを与え続けるー。

主人公ボビー・フィッシャーを演じるのは、製作にも名を連ねるトビー・マグワイア。全ての行動をリサーチし、学んだというその演技は、まさに圧巻だ。幼い頃から孤独を感じていたフィッシャーさながら、トビー・マグワイアの目にもどこか孤独を感じることができる。さらに天才でいて理解に苦しむ行動を取るシーンなどまさに狂気とも言える。しかし、トビーはその狂喜乱舞している様子を、まるでフィッシャーに乗り移ったかのように演じている。そんなフィッシャーと対比される関係にあるのが、ソ連代表で絶対的王者のボリス・スパスキー。演じるのは、リーヴ・シュレイバー。フィッシャーとは異なり、国からの手厚いサポートを得ている彼は落ち着き払った紳士だ。スパスキーの存在が、よりフィッシャーを狂気じみているように見せている。

メインテーマでありハイライトでもある世紀の対決が行われるのは1972年。本作では、幼い頃からのフィッシャーの成長が描かれており、50年代、60年代と物語が進むが、街の雰囲気やカラーがとても素晴らしく、思わず見とれてしまう。さらに多くの人物が着ているスーツだが、時代背景と非常にマッチしていてプライドを感じる姿を見せている。フィッシャーに関して言えば、少し他の人とは違う様子を見受けられるが、それは彼なりの個性なのだろう。物語はまさに”苦悩”と”狂気”に満ちているが、当時の様子を見事に再現している美術や演技に注目して見るのも本作のひとつの楽しみ方とも言える。

(text:編集部)

DATA

『完全なるチェックメイト』
(原題:Pawn Sacrifice)
2015年12月25日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開!
2015年/アメリカ/115分
監督:エドワード・ズウィック
出演:トビー・マグワイア、ピーター・サースガード、リーヴ・シュレイバー
配給:ギャガ

TRAILER

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