リザとキツネと恋する死者たち

レビュー

『リザとキツネと恋する死者たち』

ハンガリー生まれのヘンテコ映画

とにかくヘンテコな映画。もうこの一言に尽きる。レビュー終わっちゃう(あかんあかん)。

元日本大使未亡人マルタの専属看護師として住み込みで仕える主人公リザの心の拠り所は、日本のベタな恋愛小説と、彼女にだけ見える日本人歌手トミー谷の幽霊。彼はいつも楽しい歌(昭和の日本歌謡)と軽快なダンスで孤独なリザを癒してくれる。30歳の誕生日に2時間だけ外出を許されたリザは小説を携え憧れのハンバーガーショップに向かうが、外出している間にマルタが不慮の事故で亡くなってしまう。一人残されたリザ。新しい人生を歩もうと小説のような恋を探すリザだったが、出会う男はみんなヘンテコな奴ばかり。しかも恋を始めようと思うと相手の男は次々と謎の死を遂げるのであった-。と、あらすじを書いている私ですら、なんじゃこりゃー!となっています。なんじゃこりゃ・・・。大丈夫?ちゃんと伝わってる?しかもこれ、ハンガリー映画。ハンガリー。どこにあんの?ハンガリー?と思ってググったら、中央ヨーロッパだった。ドイツとかフランスとかイタリアとかギリシャとかポーランドとかウクライナとかルーマニアとかに囲まれてる内陸の小さい国だ。首都はブダペスト。日本との接点が見当たらねぇ・・・。なのにこの設定。このストーリー。

とにかくもう、トミー谷を見て頂きたい。謎の日本人歌謡歌手。軽快過ぎるダンス。魅惑の歌声。パーマの七三ヘアに黒縁メガネ。変な色のスーツ。もう、この人見るためだけに1800円払っても惜しくないと思います。パッと見は、レトロアンティークなハンガリーのお洒落映画に見えるのに(そしてビジュアルはまさにそうなのに)、蓋を開けたらお口あんぐりのヘンテコなこの作品、どんどん見てる方を置いてけぼりにしてっちゃうし、話は二転三転するし、ちょっぴりミステリーやホラーな要素もあるし、とにかくトミー谷が怪し過ぎるし、でもリザがとびきりキュートでなんだか応援したくなっちゃう、ヘンテコだけど、この湧いてくる愛しさはクセになるんじゃないかなー?そして見終わった後はなんだかニヤリとするこの感じ、ぜひ体験してみて欲しいなー!!!

(text:Hiro Sano)

『リザとキツネと恋する死者たち』
(原題:Liza, The Fox-Fairy)
2015年12月19日(土)より新宿シネマカリテほか全国で順次公開!
ハンガリー/2014年/98分
監督:ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ
出演:モーニカ・ヴァルシャイ、デヴィッド・サクライ
配給:33 BLOCKS

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