『惡の華』作品レビュー

レビュー

期待を裏切らない注目の2人

山々に囲まれた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つけ、衝動的に盗んでしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し始める。そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村に感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に人生が変わるような大事件を起こしてしまう・・・。

本作は押見修造による漫画が原作であり、2013年に既にアニメ化もされている。そして今回ついに待望の実写映画化に至った。メインキャストを努めるのは今大注目の2人、伊藤健太郎と玉城ティナ。初めてキービジュアルが公開された時は期待と衝撃が走った。原作
もアニメも知っていた自分から見ても、それは紛れもなく春日と仲村だったからだ。玉城ティナのあの可愛らしい雰囲気から一転、この作品においての彼女は限りなく「仲村さん」であり、それは劇中においても期待を裏切らない。伊藤健太郎も持ち前のビジュアルを生かし、中学生役を見事に演じている。

クラスの変わり者・仲村さんに「変態」という実体を突きつけられた時、周りとは逸脱した存在になりたいと密かに思う春日は自ら「変態」に歩み入ってしまう。何者かも分からないつまらない自分を、何かしらにカテゴライズしたいという気持ち、思春期時代を超えてきた身としては分からなくはないだろう。しかもその結果生涯かけて封じ込めたくなる様な過去を生んでしまうなんてことは、もしかしたら誰にでもあるのかもしれない。この作品はその一部始終を可視化したようなものとも言える。原作を見ていないと突拍子も無い描写に所々驚いてしまうかもしれない。しかし原作ファンからしてみると「あのシーンをよくもここまで!」と評したくなるのだ。つまりこの映画は、近年でも屈指の「本当の意味での実写化」なのかもしれない。

【文/編集部】

予告編

作品情報

映画『惡の華』は2019年9月27日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督:井口昇
原作:押見修造「惡の華」(講談社「別冊少年マガジン」所載)
出演:伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨/飯豊まりえ、北川美穂、佐久本宝、田中偉登、松本若菜、黒沢あすか、高橋和也、佐々木すみ江、坂井真紀、鶴見辰吾
配給:ファントム・フィルム
©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

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