小学生の頃は野球をやっていて、卒業したらやることがなくなりました。それからずっと映画を観ていて、メイキングを観たりして、映像の専門学校に行って、勉強するうちに映画に魅了されました。
―本作の着想が思いついたのはいつ頃ですか?
中学校を卒業する頃に、秋葉原無差別殺傷事件が起きましたが、同時期に親しかった人が自殺で亡くなりました。関係のない事件ですが、ずっと引っかかっていました。それで映画の専門学校に入って、今回の長編映画の短編版を作りました。いつか長編で作りたいなと思っていて、社会人になって、なんとなくできるような気がしたので、話しを進めました。
―撮影期間はどれくらいですか?
2か月から3か月くらいですね。
―今回、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のコンペティション部門に選出されたときのお気持ちをお聞かせください。
すごくうれしかったですね。作った以上、誰かに見ていただかないと自己満足だけで終わってしまうので、人に見ていただける機会ができたことが一番うれしく思います。
―篠崎さんと安城さんのキャスティングについてお聞かせください。
篠崎さんが出ていたアイドルグランプリで、僕がカメラマンをしていました。200人くらいがオーディションに来ていて撮っていたんですけど、篠崎さんが“いろいろな思い”があってアイドル活動をしていると言っていて、今回の映画で僕が考えていたことにリンクしていた。お名前などは知っていましたが、どういう方かは知らないまま脚本を書いて、観てもらった時に、事件の被害者という以外は同じ生い立ちだったという偶然がありました。そこから篠崎さん自身がどのように生きてきたかというのを脚本に入れていきました。
―先に制作された短編とは違ったものになった?
テーマは同じですが、少し膨らみがあるものになりました。秋葉原の事件を肯定する気は全くないんですけど、殺人犯は悪い人だと一方的に見えちゃうのは違うのではないかと思いました。決めつけちゃう前に、想像することが大事なんじゃないかなと思ってそれを一番のテーマにしている。想像することで答えが見えてくるのではないかと思います。
―撮影のエピソードはありますか?
秋葉原と大田区のこうじやというところの2か所で撮りました。トラブルだらけでしたね(笑)お金もないのでどうしようかなと・・・。家も3軒使いました。予算ない割にやたらと登場人物が多くて、撮影場所も多い。そういうことを考えずに脚本書いちゃったので、いざ予算表を作ったら全くはまらなかった。スタッフの家とか食事をどうにかただにするしかなかったので、企業に電話して、タイアップのような形で使わせていただいたりを、ひたすらやりました。
―地下アイドルの世界が描かれていますが、以前からご存じだったのですか?
取材もしましたが、僕自身も地下アイドルと仕事をすることがあって、意外と身近でした。地下アイドルの世界もアンダーグランドとみられることが多いけど、今回のテーマとリンクしている部分があった。意外とその世界に行くと、地上で活躍しているアイドルにはできないこともあると思います。地下アイドルだからこそ、枠にとらわれないというのが魅力的だなと思った。それは自主映画でもそうだと思う。予算が少なくて、自主映画だからこそできることがあったり、そういうところに可能性を感じました。
―小橋賢児さんが出演するまでの経緯を教えていただけますか?
もともと大ファンだったので出てもらいたいなと思っていたんですけど、撮影監督の岸さんにお話したら、SKIPシティ映画祭で会って仲良かったと聞いた。それでお会いして、小橋さん自身の言いたいこと、やりたいことがリンクしたのでやらせていただきました。脚本段階からご一緒しました。劇場公開をいい形で迎えられるようにお話をしています。
―小橋さんはSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で賞を受賞していますが、撮影に関するアドバイスなどはありましたか?
「ここはこうするんだよ」という教え方ではなくて、自分自身が感じたことや、監督と俳優が一番遠いとよく言ってらっしゃった。現場が大きくなると遠のいていくと体験からお話をいただいた。そういったアドバイスはいただきました。
―脚本自体は監督と小橋さんでお書きになったのですか?
いろんな方が関わっていますが、僕が考えてメールで返信をいただいてというのを何か月も行いました。
―削らざるを得ない部分はありましたか?
もっといっぱい撮っていますが、バランスを考えると。僕自身はもっと入れたいところはありました。脚本にはもっといっぱい書いています。それでも長いんですけどね(笑)
―布施さんも出演されていますが、出演の経緯は?
キャスティングを行った方がマネージャーさんとお知り合いでオファーしました。結構お話をしていたので、口説けるように頑張りました。長い期間付き合っていただいたので嬉しかったですね。
―本作のアピールポイントを教えてください。
自分自身もどこがアピールポイントか分からないんですけど・・・。同い年もそうですし、僕らの同世代が観るのと50代、60代が観るのと違う意見があるので面白いとおもいました。音楽やアイドル、いろいろな方向から楽しめる作品ではないかと思います。いろんな方に見てもらいたいなと思います。実体験に合わせて、出来るだけ嘘をつかずに撮ったので、そこを観てもらいたいです。
―次の作品は決まっていますか?
いろいろ企画は動かしています。東南アジアで撮りたいなと思っています。中国とかフィリピンでやりたいと思っています。フィリピンは、日本のバブル期みたいな状況で、今後経済的に発展すると言われている。そこに可能性を感じています。テーマはいろいろあるんですけど、まだ話せる段階ではないです。