「ニッポン・コネクション」マーティン・ブレゲンツァー プログラム・ディレクター

インタビュー
 「ニッポン・コネクション」マーティン・ブレゲンツァー プログラム・ディレクター
―今回、日本の映画祭からの招待ですが、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭に来てみていかがでしたか?
 この映画祭のことは以前から知っていましたが、会場に来て参加したのは今回が初めてです。東京国際映画祭には今までに何度も行っていて、そこでこの映画祭のプログラミング担当の長谷川さんと知り合いました。いい関係を築けていて、我々の映画祭で「SKIP CITY SHORT」という部門でSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映した短編を上映しています。今日これから観る一本を残して、日本映画は全部観ました。興味をひかれた映画もありました。

―ちなみに興味をひかれた映画はどの作品ですか?
 『三尺魂』です。面白いなと思いました。インディペンデント映画として、舞台や設定が今までにないもので、テーマやアプローチがこれまでとは違った点に興味をひかれました。

―「ニッポン・コネクション」についてお伺いします。6つの部門の中にはコンペティション部門があります。日本映画を特集上映している映画祭でコンペティションを行っている理由は?
 コンペティションの成り立ちですが、メッツラー(Bankhaus Metzler)というプライベートバンクからアプローチをいただき、自分たちの名前を冠した賞をあげたいという話がありました。それはもちろん助けになるので始まりました。また、インディペンデントの部門に関しては、日本文化普及センター(The Japanisches Kultur – und Sprachzentrum)から出る賞金があって、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)から「次回監督作品の字幕をつける」という賞もあります。映画祭としては監督を応援したいので、そういったコンペティションがあります。

―一つの国に絞った映画祭が17年間も続いていることに驚かされます。なぜ続いていると思いますか?
 映画祭が発足した当時からのメンバーはディレクターのマリオン・クロムファスだけです。私は6年目で、中には1~2年という方もいます。数年間行われた映画祭やほかのアジアを含めた映画祭はありますが、日本だけに特化した映画祭として続いているのは、非常に献身的なスタッフがいるからだと思います。スタッフは70名くらいいて、ボランティアを含めたら100名以上います。常駐している有償スタッフが1人いて、会計担当が1人いますが、それ以外は全員ほかの仕事と掛け持ちのボランティアです。

―メジャーからインディペンデントまで日本の多くの映画が観られる。日本でもやって欲しいほど魅力的なラインナップです。特に人気が集まるジャンルはありますか?
 やはり大作ですね。有名な監督作品に人気があります。ただインディペンデントも人気があります。おもしろいのは全然日本と縁がない方や、私の仕事を知らない方に「こういう映画祭をやってるので観に来てください」と言うと、「知ってる監督いたかな?」と日本映画を観るには知識がないと分からないという目で見られることがあります。ただ一度映画祭に来るとそういったことを関係なく観られます。「予備知識なく観れるんですよ」と言っています。

―ドイツで人気の映画の傾向はいかがですか?
 若い人はハリウッド映画をよく見て、ドイツ映画はあまり見ないと思います。ドイツ映画でヒットしているのはシリーズ作品だったり、児童文学でずっと人気があって続いているというものです。いわゆるアート系の作品は若い人は見ないし、割と年配の方が多いです。最近だと『ありがとう、トニ・エルドマン』はヒットしています。

―今回の「ニッポン・コネクション」で特に人気が高かった作品はありますか?
 『永い言い訳』が賞を取りました。誰にでも受ける映画ではないと思ったので、私は嬉しかったです。その前の年に受賞した北野武監督の『龍三と七人の子分たち』は分かりやすかったです。ただお客さんと言ってもいろいろなタイプの方がいらっしゃるので、園子音監督や黒沢清監督といった監督を分かっていて観にいく方、また好きなアイドルが出ているから観に行くという方もいます。

―今回はNMB48のドキュメンタリー映画『道頓堀よ、泣かせてくれ!』なんかもありますね。
 私たちは映画祭として、ポピュラーなカルチャーだったり、日本好きというよりは映画に学術的なアプローチを持っているという方が多いので、オタク寄りなものを特集しようと思っているわけではありません。ただ、NMB48のドキュメンタリーについてはとても興味深い点が、業界の人によって業界を暴くという、知られざる点を映し出しており、いわゆるアイドル業界で行われていることが描かれているます。本作の舩橋淳監督はベルリン国際映画祭などにも出品していて、その監督が撮っているという視点からもおもしろいです。

―これからの日本映画に期待することはありますか?
 前よりいい映画が出てきてくれると嬉しいです(笑)特定のものを期待しているわけではありませんが、我々の使命としては偏らないものを見せていきたいなと思っています。日本の現代を映し出すものを上映していきたいと思います。

マーティン・ブレゲンツァー

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