『シェッド・スキン・パパ』

第29回東京国際映画祭
作品レビュー
コンペティション部門『シェッド・スキン・パパ』

映画監督のティエン・リッハンは災難続き。自身で経営している映画会社が倒産、妻には離婚を迫られ、その上80歳を過ぎた認知症の父・ヤッホンの面倒も見なければならない。そんなある日・・・父が毎日脱皮を始めた。1回の脱皮に10歳は若返っていく。リッハンは、どんどん若返っていく父との忘れていた思い出から見たことのない姿を見ていく。中国映画ながら原作は日本人脚本家の佃典彦による『ぬけがら』。舞台演出家として輝かしいキャリアを築いているロイ・シートウ監督が、自らの演劇賞受賞作を映画作品として初監督した。ダブル主演には、3年連側で最も稼ぐ香港スターの1位に輝いているルイス・クー。コミカルなドタバタ・アクションから、シリアスな語りまで、本作のなかで文字通り七変化の活躍を見せるフランシス・ンの豪華俳優陣が演じる。

父が脱皮をしてしまうという新しい形の家族映画。しかも、1回ではなく6回も!テンポが良いコミカルな作りで物語が進んでいく、シュールでコメディ仕立ての作品。場内は終始笑いに包まれ作品の虜になっていた。お葬式のシーンなど中国ならではのしきたりも登場するので新たな発見をすることもできる。父(ヤッホン)役のフランシス・ンは脱皮をしながら若返る役を1人で演じている。初めは認知症の父を見て自分もこうなりたくないと思うリッハンだが、父の生きてきた様々な時代を見ることにより人生の見方が変わってくる。母のことが大好きな父、一緒にサッカー場に通っていた父、帰ってくることがあまりなかった父、夢を追いかけていた父。自分の親の表面しか見ていなかった人も深くまで知りたくなる物語。人生のどん底で父に教わり、思い出したものは家族だった。そして、父が最後に残してくれたものは―。

【文/片岡由布子】

『シェッド・スキン・パパ』 © Magilm Pictures Co., Ltd. Dadi Century (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved

『シェッド・スキン・パパ』
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