『マリリンヌ』

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『マリリンヌ』

『マリリンヌ』


女優を目指す姿が“非常に”リアルに描かれるドラマ
本作で監督を務めるのはフランスで俳優としても活躍するギヨーム・ガリエンヌ。監督作品は2013年の『不機嫌なママにメルシィ!』以来、本作が2作目で、さらに前監督作では主演も務めていたため、監督のみを務めるのは本作が初だ。4年ぶりの監督作となる本作の主人公は、女優を目指すマリリンヌ。マリリンヌはその魅力からオーディションに通るが、理不尽な扱いに納得がいかずに我慢の限界にきてしまう。マリリンヌは果たして女優になれるのか―。物語の舞台としてはガリエンヌ監督としてはよく分かっているであろう映画の世界。役者である監督ならではのリアルな描写は感情移入せずにはいられない。

本作の見どころは何と言ってもマリリンヌを演じるアデリーヌ・デルミー。これまでにも数本の映画に出演をしているデルミーは、本作で主演デビューを果たしている。そう、それこそが本作の肝でもあり、リアルな描写に重みを増している。マリリンヌが魅力的なのは、もちろんデルミーの演技が魅力的だからこそ。セリフこそ少ないが、その表情からは切なさや喜び、悩みを感じ取ることができ、思わず応援したくなってしまうほど惹きつける演技を見せてくれる。デルミーはコメディ・フランセーズというフランスの国立劇団の若手女優で、同じくコメディ・フランセーズの看板俳優であるガリエンヌ監督により抜擢された。さらに本作には、最近では『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』で娘のリリー=ローズ・デップと共演して話題を呼んだフランスの女優ヴァネッサ・パラディも出演している。登場時間に対して存在感のある演技を見せている。俳優として25年以上のキャリアがあるガリエンヌ監督の手によって描かれる、田舎の村に住む一人の女性が大都市パリで女優を目指す本作。それはサクセスストーリーになるのか?注目女優の初主演作が日本上陸となる。

【文/河野康成】

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