『アマンダ(原題)』作品レビュー

作品レビュー
コンペティション部門
『アマンダ(原題)』

『アマンダ』
© Nord-Quest Films


風景と物語が美しく調和し、悲しくもせつなく、そして優しく描く
主人公のダヴィッドは姉サンドリーヌ、姪のアマンダと小さい家族ながらも仲良く幸せに過ごしていた。だが姉の突然の死によって彼の人生は無残に壊れていく。周りに助けられながらもダヴィッドはショックを乗り越え、まだ幼い姪っ子アマンダの世話をしながら自分を取り戻していく。

フランスの美しい街並み、幸せな家族ゆっくりと流れる平和な日々。そんな普通だが幸せな日々を突如として起こる事件に巻き込まれて奪われてしまう。物語を見ながらこの幸せな家族からなにも奪わないで欲しいと思わず願ってしまう。24歳とまだ若く、自由に生活していたダヴィッドには父親役はあまりにも突然の出来事で、戸惑いながらも懸命にアマンダを支え、またアマンダも母の死を受け止めようと必死に葛藤する二人の姿が心に響く。パリ・ロンドンの風景、キャスト、ストーリー全てが美しく調和し辛く悲しい物語を優しく描いている。また、ダヴィッドがパリで出会ったレナとの恋愛の行方も見どころの一つだ。家族を失ったという事よりもその後の残された家族や事件に巻き込まれた人々の送らなくてはならない日々に焦点を当てて描いているようで、ダヴィッド、アマンダだけでなく登場人物の心情が伝わってくる物語だ。

【文/片岡由布子】

コンペティション部門『アマンダ(原題)』
上映日:10月28日(日)21:20[EX]、10月29日(月)14:55[SC2]
監督:ミカエル・アース
出演:ヴァンサン・ラコスト、イゾール・ミュルトゥリエ、ステイシー・マーティン
2018/107分/フランス
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