『スウェーデン映画祭2015』

スウェーデンの映画を集めた「スウェーデン映画祭2015」が9月19日(土)から25日(金)まで渋谷のユーロスペースで開催される。

本映画祭では、世界的巨匠イングマール・ベルイマンの傑作『ファニーとアレクサンデル』のオリジナル版とメイキング・ドキュメンタリー映画をはじめ、5つのテーマで合計11本のスウェーデン映画を上映する。

最新作『フレンチアルプスで起きたこと』が日本でもヒットしたリューベン・オストルンド監督の東京国際映画祭でも監督賞を受賞した『プレイ』のほか、『インボランタリー』など劇場未公開作品が上映されるなど見ごたえのあるラインナップ。

コンテンポラリー・スウェディッシュ・シネマ

『同窓会/アンナの場合』《 日本初上映 》
アーティストとして名声を得たアンナは、20 年ぶりに開かれた同窓会でいじめられていた過去についてのスピーチを始めるが―。実は、その同窓会は、実際の同窓会の招待状が届かなかったアンナが、撮影のために役者を雇って演じた架空のものだった。後日、アンナは元同級生たちを訪ね、その映像を突き付ける。本作が長編デビュー作となるアンナ・オデルの実体験を元にした、フィクションとノンフィクションの世界が入り交じる異色の問題作。
2013年/89分
監督:アンナ・オデル

『ストックホルム・ストーリー』《 日本初上映 》
突然恋人に家を追い出され途方に暮れるアンナ。一方アンナを追い出したトマスは自分宛の不可解な手紙の送り主を探していた。その手紙の主であるジェシカは養子縁組に失敗。父親の支配から逃れようともがく上流階級の青年ダグラス。”光と闇”に関する持論に囚われた若い作家、ヨハンは、それを証明するためにある実験を行う―。11 月、雨のストックホルムを舞台に、5人の男女の人間模様を映し出すヒューマン・ドラマ。
2014年/97分
監督:カリン・ファレーン

『ホテルセラピー』《 日本初上映 》
もしも、朝、別の誰かとして目覚めることができたら―。エリカの順風満帆な人生は、出産をきっかけに突然崩壊してしまう。精神のコントロールを失ったエリカはグループ・セラピーに参加。そこで出会った仲間たちとともにホテルを転々としながら毎日自分とは違う人格を演じるセラピーを開始するが―。新星リサ・ラングセット監督が、デビュー作”Pure”(2009) に引き続き、国内外で活躍中のアリシア・ビカンダーを主演に迎え、トラウマを抱えた人々の再生を追う。
2013年/97分
監督:リサ・ラングセット

リューベン・オストルンド監督特集

『プレイ』
黒人グループが、白人の少年たちの携帯電話を取り上げ、難癖を付け始める。それは、彼らにとってのゲームの始まりだった―。暴力は振るわず、脅し役となだめ役を分担するという巧妙な手口で、ターゲットを心理的に追い詰めて行く。ワンシーン・ワンカットで捉えられた映像は、リアルタイムに事件を目撃しているような錯覚を起こさせるだけでなく心痛すら感じさせる。2000年代半ばに実際に起きた連続恐喝事件をもとに、移民問題と大人の無関心を描いた衝撃作。
2011年/118分
監督:リューベン・オストルンド

『インボランタリー』《 日本初上映 》
パーティーで、自らが火を付けた花火で顔面に火傷を負ってしまうホスト。同僚の体罰を告発しても受け入れてもらえない女教師。セクシーなポーズで自撮りする10代の少女たち。トイレを壊した犯人が名乗り出るまで長距離バスを走らせない運転手。仲間同士でふざけあう若者たち。集団の中で、自分の意図しない(インボランタリー=不随意な)限度運意は知ってしまう人々の悲劇的で喜劇的な5つのエピソード。2008年のカンヌ映画祭でプレミア上映された。
2008年/102分
監督:リューベン・オストルンド

マスターピース! ―イングマール・ベルイマン監督編―

『ファニーとアレクサンデル』
1907年のクリスマス。劇場オーナーであるエクダール家の邸宅では、親戚、使用人一同揃っての華やかなパーティーが夜通し続いている。一家の2年に及ぶ物語の幕開けであった―。故郷ウプサラを舞台に繰り広げられる、映画監督ベルイマンの集大成ともいうべき傑作。完成後ベルイマンは「映画作りの面白さを味わいつくした。以後映画は撮らない」と宣言。当時、スウェーデン映画史上最大の制作費をかけた本作は、アカデミー賞4部門受賞、世界的大ヒットとなった。
1982年/319分
監督:イングマール・ベルイマン

『ベルイマンの世界/ドキュメント「ファニーとアレクサンデル」』
『ファニーとアレクサンデル』の公開から4年後にリリースされた、ベルイマン自身によるメイキング・ドキュメンタリー。細やかな演出のために始終しゃべり続けるベルイマンの表情は、穏やかで優しく、喜びに満ちている。撮影前の顔合わせから打ち上げにいたるまでの、傑作が生まれる現場の記録。映画に対する巨匠の愛情と、その仕事術が映し出されていく。日本国内未ソフト化、権利切れの貴重な本作を、新たな字幕を付けて特別上映。
1986年/110分
監督:イングマール・ベルイマン

スウェディッシュ・ドキュメンタリーの今日

『苦いバナナ(仮題)』《 日本初上映 》
米国のある巨大食品産業が使用していた禁止農薬で被害を受けたニカラグアの12人のバナナ労働者が訴訟を起こす。裁判を請け負ったヒスパニック系弁護士ホアン・ドミンゲスは画期的な闘いを挑む。多国籍化する食料生産の政治の闇に新たな光を投げかけたサスペンス・ドキュメンタリー。
2009年/87分
監督:フレドリック・ゲルテン
配給:きろくびと(2016年公開予定)

『触らぬバナナに祟りなし(仮題)』
2009年、米国のある巨大食品産業の裏の顔を描いた前作『苦いバナナ(仮題)』が完成し、国際映画祭への参加決まったところ、企業側は映画祭での上映中止を求め、スポンサーに圧力をかけるなど、過激ともいえる対抗策を展開。企業は、自社ブランドを守るためにどこまでやるのか。その顛末を追う。
2011年/87分
監督:フレドリック・ゲルテン
配給:きろくびと(2016年公開予定)

リンドグレーンが描いた子どもたち

『劇場版:長くつ下のピッピ』
ピッピは力持ちで破天荒な 9 歳の女の子。幼い頃にお母さんを亡くし、船長のお父さんは行方不明になって、たった1人でごたごた荘に住んでいる。ある日、隣に住む兄妹トミーとアンニカは、お母さんに怒られて家出を決意する。ピッピも一緒に行くことにするが…。
ピッピと仲間たちの大冒険を『なまいきチョルベンと水夫さん』のオッレ・ヘルボム監督があたたかいまなざしで瑞々しく描く。
1970年/99分
監督:オッレ・ヘルボム

『いたずら天使ミッシェル』〔日本語吹替え版〕
好奇心旺盛なミッシェルは、毎日あちこちで騒動を巻き起こしている。そのはちゃめちゃぶりは、困った村人がお金を集めてアメリカに追いやろうとするほど。そんなミッシェルも、大好きなアルフレッドが病気になって、どうにもできな いことがあることを知るけれど―。主人公の名前が「ミッシェル」と訳された西ドイツとの合作版を16mmフィルムの吹替え版で上映。原作シリーズは、スウェーデン語の「エーミル」で紹介されている。
1972年/80分
監督:オッレ・ヘルボム

『同窓会/アンナの場合』

『同窓会/アンナの場合』

『ストックホルム・ストーリー』

『ストックホルム・ストーリー』

『ホテルセラビー』

『ホテルセラビー』

『プレイ』

『プレイ』

『インボランタリー』

『インボランタリー』

『ファニーとアレクサンデル』

『ファニーとアレクサンデル』

『ベルイマンの世界/ドキュメント「ファニーとアレクサンデル」』

『ベルイマンの世界/ドキュメント「ファニーとアレクサンデル」』

『苦いバナナ(仮題)』

『苦いバナナ(仮題)』

『触らぬバナナ(仮題)』

『触らぬバナナ(仮題)』

『劇場版:長くつ下のピッピ』

『劇場版:長くつ下のピッピ』

『いたずら天使ミッシェル』

『いたずら天使ミッシェル』

期間中には一部の作品上映後にトークショーも予定されている。イベント開催日時は 公式サイトに記載。

■スウェーデン映画祭2015
期間:2015年9月19日(土)~25日(金)
場所:渋谷/ユーロスペース
料金:前売り券・・・3回券 3,600円/当日券・・・一般 1,500円、大学・専門学生 1,300、シニア・ユーロスペース会員 1,200円
※『ファニーとアレクサンデル』のみ特別鑑賞券が必要/前売り 2,000円、当日券 2,500円

『プレイ』『インボランタリー』
©Coproduction Office
『苦いバナナ(仮題)』『触らぬバナナに祟りなし(仮題)』
©WG Film, Sweden
『ホテルセラピー』
© Dan Lepp
『ストックホルム・ストーリー』
© Chamdin & Stohr Film
『同窓会』
©Photo Jonas Jorneberg