『1001グラム ハカリしれない愛のこと』初日舞台挨拶(ベント・ハーメル監督)

昨年の「第27回東京国際映画祭」でコンペティション部門に出品された映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』が31日(土)に公開初日を迎え、都内で行われた舞台挨拶にベント・ハーメル監督が出席した。

ノルウェー国立計量研究所に勤める主人公マリエが、病に倒れた父に代わって”キログラム原器”を携えて出席したパリのセミナーでひとりの男性と出会う。パリで見つけた、今までの幸せの基準を一新する心のハカリとは―。『ホルテンさんのはじめての冒険』『キッチン・ストーリー』で愛すべきオジサン主人公たちを生み出した名称ベント・ハーメル監督が、初めて美しい女性を主人公に描く最新作。

1キログラムの基準となる”キログラム原器”をテーマにしている作品だが、そのキログラム原器について監督は「知らなかった。給油所にシールが貼ってあって、そのシールに書いてあったのを見た」と、映画のワンシーンを振り返りながらコメントした。また、メキシコシティで「ノルウェーの研究所の建築家に出会って、ノルウェーに帰ってから連れて行ってもらった」ことがきっかけになったと語った。

現在、人工物の原器で定義を決めるのは重さだけで、この”キログラム原器”は最後に残った唯一の人工物の原器。しかし、人工物であるため微量ではあるが質量が変化することがあり、そのことが本編中でも描かれている。監督は「最初に作られた原器40個でもすでに問題があり、証明書を付け忘れたものがあった」と明かし、人間が作るものに完璧なものはないということを語った。

ベント監督の作品では男性を主人公にした作品が多かったが、本作の主人公を女性にした理由を聞かれると「よく効かれるが、今回も期待に沿ってオジサンにしたほうがよかったのかな」とジョークを交え、「主人公が男性でもアプローチは変わらない。結局は人間の話」と答えた。

最後に監督は本作のテーマである”ハカリ”について「生きるうえで計れる指標を求めている。もしかしたらある程度指標が必要なのかもしれない」とし、「ちょっとした小さなこと、1000グラムではなく1グラムの部分が伝わればいい」とコメントした。

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』初日舞台挨拶(ベント・ハーメル監督)

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』初日舞台挨拶(ベント・ハーメル監督)

映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』はBunkamuraル・シネマほか全国で公開中!
配給:ロングライド

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