小さな家具屋の店主が世界最大の家具販売店の創業者を誘拐する『ハロルドが笑う その日まで』が16日（土）より公開される。

本作は、“北欧家具”を生涯の生業としながらも、まったく異なる人生をたどってきた人物たちの交流をユーモラスに描いたハートウォーミングドラマ。ノルウェーで40年に渡り、クオリティが高くぬくもりを感じる家具にこだわり続けてきた小さな家具屋の店主ハロルド。しかし、目の前にオープンしたのは、世界最大の家具販売店イケア。一変して閉店に追い込まれたハロルドは、最愛の妻も失い、自暴自棄になる。そしてイケアの創業者であるイングヴァル・カンプラードへの復讐を決意する。

いち早く見た映画評論家たちが「よくイケアがこの映画の製作を許可したね」と口をそろえて言う本作。存命するカンプラードそっくりの俳優を起用し、彼にまつわるエピソードや、彼に対する実際の報道の内容をそのまま劇中で紹介している。さらに、驚くことにイケアの外観はもちろん、店内での撮影も行われている。本作についてイケアは「私たちは家具を作りそれを売るのが仕事で、君たちは映画を作り公開するのが仕事だ。それぞれがそれぞれのベストを尽くせばいいんじゃないか」と快く撮影を快諾したという。さすがの寛大さを見せる世界規模の会社だが、そのおかげもあり、よりリアリティにあふれた作品に仕上がっている。映画では、カンプラードとはまるで対照的なハロルド、二人の立場を超えた奇妙な交流が描かれており、北欧映画ならではのシニカルさと、ウィットに富んだ作品となっている。