水崎綾女、藤竜也、河瀨直美監督、永瀬正敏、神野三鈴、イブラヒム・マーロフ
©Kazuko Wakayama

第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている『光』の公式上映とレッドカーペットがグランドシアターリュミエールで行われ、河瀬直美監督、永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、イブラヒム・マーロフが出席した。

今回、日本映画として唯一コンペティション部門に選出された本作『光』。8度目のカンヌ国際映画祭への出品となる河瀨直美監督、日本人初の3年連続の参加となる永瀬正敏のほか、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、音楽を担当したイブラヒム・マーロフが参加して行われた公式上映と上映前のレッドカーペット。会場となる2,300席を誇るグランドシアターリュミエールは完売となり、100台以上のカメラが集まった。

レッドカーペットに河瀬監督らが登場すると一斉にフラッシュがたかれ、監督とキャストは沿道の歓声に応えながら笑顔で歩いた。河瀬監督は、作品のイメージに合わせて“風を受けて光を放つイメージ“のTAE ASHIDAによるドレスに、ブルガリの宝飾を身につけ登場。3年連続で出演作がカンヌ国際映画祭に出品という快挙を果たした主演の永瀬と、1976年の主演作『愛のコリーダ』が、カンヌ国際映画祭で上映され本年度のクラシック部門でも再上映された藤が河瀬監督の両隣を囲んだ。

公式上映の終盤、『光』のタイトルがスクリーンに現れた瞬間には拍手喝采となり、エンドロールの最中も続いた拍手は場内が明るくなってからも、スタンディングオーベーションと歓声とともに10分間鳴り止まなかった。永瀬の号泣する姿がスクリーンに映し出され、劇中で“心臓”と呼んだローライ・フレックスを抱きしめる姿、そして監督やキャストとの熱い抱擁は会場の涙を誘った。

今回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映が行われたことについて河瀬監督は「言葉にならないものが込み上げてきて、今まだ整理できていませんが、もしかしたらこの映画は言葉にならないものを人々に届ける、そんな力を持っているのかなと思います。映画は作ったものですが、生き物なんだなと思えた時に、込み上げるものがありました。会場の一体感に、同じ世界に自分たちが存在している喜びを感じたのかもしれません。映画を作ることも生きることも孤独なので、瞬間でも一体感をもてたことの喜びは掛け替えのないことだと感じています」と感慨深く語った。

永瀬は「エンドロールが終わって、何回も拍手をいただいて、その後あんなに長いスタンディングオベーションをいただいて、エンドロールが終わって立ち上がるときは格好良く立ち上がろうと思っていたのですが、ダメでした。あんなに温かい拍手は初めていただいたと思います」と興奮が冷めない様子。藤は「外国の方にも文化の壁を超えて、日本人と同じく感動してくれたというのが、感動しました」と語った。

上映後の観客より「今までに観た中で一番良い映画だった」という感想があったことを伝えられた河瀬監督は「最高です。混沌とした時代で、表現をする時も混沌としたものを描いてしまう時代。そんな中で必死に“光”を見つけられる映画を作れた。観客の皆さんが今の時代だからこそ一番良い映画と言っていただけるのであれば、私は人間に未来があるんじゃないかと思います」と作品への思いを滲ませた。コンペティション部門の授賞式は、クロージングセレモニーが行われる5月28日(日)[現地時間]に実施される。

河瀨直美監督がオリジナル脚本で送り出す本作。主演は、国内外で活躍する俳優・永瀬正敏。2度目のタッグとなる本作では、弱視の主人公・雅哉を演じ、葛藤の中で希望の光を求めさまよう男を演じている。さらにヒロインには、新進女優として注目されている水崎綾女。バリアフリー映画の音声ガイドとして、その光の中に生きる意味を見出していく女性・美佐子を演じる“映画”というもうひとつの人生を観客と共有するべく音声ガイドの制作にたずさわる美佐子は視覚障碍者向け映画のモニター会で弱視のカメラマン、雅哉と出逢う。映画の光に導かれるように二人は、衝突を繰り返しながらも互いの心をゆっくりと通わせていく―。

イブラヒム・マーロフ、神野三鈴、永瀬正敏、河瀨直美監督、藤竜也、水崎綾女
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神野三鈴、藤竜也、河瀨直美監督、永瀬正敏、水崎綾女
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水崎綾女、藤竜也、河瀨直美監督、永瀬正敏、神野三鈴、イブラヒム・マーロフ
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映画『光』は2017年5月27日(土)より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国で公開!
監督・脚本:河瀨直美
出演:永瀬正敏、水崎綾女/神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘/藤竜也
配給:キノフィルムズ
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