長谷井宏紀監督、UA、村上虹郎

『ブランカとギター弾き』の大ヒットを記念したトークイベントが8月7日(月)にシネスイッチ銀座で行われ、長谷井宏紀監督、監督と長年にわたり交友のあるUAと、その長男で俳優の村上虹郎が登壇した。

本作が長編映画監督デビュー作となった長谷井宏紀監督。今回のイベントには、親子で表現者として活躍し、共に長谷井監督の友人であるUAと村上虹郎が登壇し、3人による貴重なトークが披露された。

本作を鑑賞したUAと村上は、親子で本作について語り合ったといい、UAは「最近は子供と一緒に観られないような映画に対してアンチになっていた」と、4人の子の母親としての視点からコメント。「“何でそこで殺すねん”、“何でそこでエロいねん”、って思ってしまう、そういう映画が多い。だから『ブランカとギター弾き』みたいな映画に大賛成。時代を越えているね」と絶賛。さらに「今時の映画はたくさんあるけど、私は本当の名作に出会いたい。『ブランカとギター弾き』には、(長谷井監督が)今後名作を生むことができるっていう可能性を感じた」と本作が長谷井監督に確かな才能を見出したことを明かした。

海外生活を送るゆえに飛行機に乗ることが多いUAは「機内で色んな映画が観られるけど、もうすぐ2歳になる末っ子や、その上にいる5歳や8歳の子を連れていると、見せたくないようなシーンが乗客の席の画面に映っている。“これってどうなんだろう?”っていつも思っていた」と吐露し「『ブランカとギター弾き』は家族と一緒に、皆で安心して観られる」と語った。UAの感想を大きくうなずきながら聞いていた長谷井監督が「これまでにもらった映画の感想で特に嬉しかったのは、この映画には悪い人は出てくるけど、絶対的な悪じゃない、っていう感想だった」と伝えると、UAも「そうだよね。根源的な悪は、この星には存在しないはず」と希望にあふれた世界の見方を明かした。

続けて海外での生活について話が広がると、高校時代にカナダ・モントリオールに留学していた村上は「今は母と仲良くしているけど、カナダ留学を決めた頃は、自分の家に帰りたくない、別々に暮らしたいという気持ちがあった」と思春期に抱いた母への反抗心について明かしつつ「ただ、カナダに行ってから、実は僕はそんなに英語が上手くならなかった。英語を勉強するにも、英語によって何を学ぶのかとか、何がしたいのか、誰と話したいのかとか、そういうことがしっかり固まってないとなかなか伸びない。カナダにいた時は、日本の映画やアニメを一番たくさん観ていた時期でもあるんだよね、部屋に引きこもって。母がいるところで言うことじゃないけど(笑)」と語った。

長年にわたり交流を続けているUAと長谷井監督。村上のことも、長谷井監督は彼がまだ幼い頃から知っており、最初の出会いについてUAが「この子はまだ小さかった。(長谷井監督は)どういうわけか、顔中にフェイスペインティングをしていた」と振り返った。しかしそれを全く覚えていない様子の村上に「この人は幼少の記憶がほとんどないの。今を生きる男なんだね!」と言い会場の笑いを誘った。終始和やかな空気のイベントの最後に長谷井監督が「いつか一緒に映画をやってみたいね。(UAと村上がかつて暮らしていた)沖縄の映画もちょっと考えているよ」と村上に声をかけると「沖縄顔ですよ、僕!」と村上はやる気満々の姿勢を見せ、UAも「沖縄の映画、楽しみにしてるよ!」と言葉をかけ、長谷井監督の新作に期待を膨らませるなかでイベントは幕を閉じた。

“お母さんをお金で買う”ことを思いついた孤児の少女ブランカは、ある日、盲目のギター弾きピーターと出会う。歌でお金を稼ぐ孤児の少女ブランカと、盲目のギター弾きの“幸せを探す旅”―。どんな人生にも勇気を持って、立ち向かう価値があることを教えてくれる、心温まる感動作に仕上がった。日本人初のヴェネツィア・ビエンナーレ&ヴェネツィア国際映画祭の出資を得て製作された長谷井宏紀の第一回監督作品がついに日本凱旋。演技初挑戦となるブランカ役のサイデル・ガブデロの美しい歌声と演技力は観る者を強く惹きつける。

映画『ブランカとギター弾き』は全国で順次公開中!
監督・脚本:長谷井宏紀
出演:サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ
配給:トランスフォーマー
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