ふたつの親子が贈る感動のミステリー『望郷』の原作者・湊かなえのインタビューが到着した。

『告白』『少女』「リバース」など、数々のヒット作を生み出すミステリー作家・湊かなえの「望郷」を映画化した本作。「望郷」は、全六編で構成される連作短篇集で、今回映画化されたのは、その中から「夢の国」「光の航路」。監督は、第36回モントリオール世界映画祭にて正式出品された『ディアーディアー』(2015)で華々しいデビューを飾り、本作が長編監督作の三作目となる菊地健雄。主演に貫地谷しほり、大東駿介を迎え、木村多江、緒形直人ら実力派俳優が名を連ねる。

今回、映画化にあたり原作者の湊かなえからコメントが到着した。自身の故郷の因島を舞台にした「望郷」の執筆経緯について「ずっと島で生まれ育った自分にしか書けない世界を書きたいと思い、島を舞台にしました」と明かした湊。島での生活に縛られながら、本土にあるドリームランドに憧れを抱く夢都子の物語“夢の国”は、修学旅行で憧れのテーマパークに行けると思っていたら、旅行先がスキーに変わってしまい惜しくもそのテーマパークには行けなかったという自身の体験に基づいているという。「その時は人生たった一度のチャンスを潰されたと思っていたけど、大人になったら簡単にそのテーマパークに行けて、自分が捉えていた世界が狭かったのかと感じました。自分が島に育ちながら都会に対して思っていた気持ちを込めることができた作品だと思います」と語っている。

“光の航路”については、造船会社に勤務していた湊の父と、実際に行われていた進水式での思い出がある。「知らない方は豪華客船の進水式ばかりをイメージするかもしれないけれど、ごく小さい船にも進水式があります。それと同じように、どんな人生にもそれぞれの『進水式』がある、そう思えたんです。この作品を通じ、海や造船にに縁のない生活をしている人にも自分の人生と重ねて頂けたらと思っています」と自身の思い出を振り返りつつ、作品への思いを語った。本作では、島で育った幼馴染の夢都子と航が二つの物語を通じ、共にそれぞれの親子の過去と未来をつなぐストーリーが完成した。

これまで湊の小説は数々の作品が映画やドラマで映像化され、その多くが話題作となり世の人々を魅了してきた。自身の作品の映像化に関し「映像化は、普段本を読まない方が本を読んでくださる、その大きな入り口を作って頂くことだと思っています。自分が生まれ育った場所でのロケなので、その映像を観た島の子たちが、本を読むだけでなく自分も作る仕事をしてみたいなど、夢を膨らませてくれるんじゃないかと思いますし、住んでいるところがどんなに良いところか、気づいてもらえるきっかけになると思うので嬉しいです」と期待があふれる様子を見せた。

ロケ地である瀬戸内海の生口島・瀬戸田中学校を訪問した湊。この中学校の図書館には湊作品の特設コーナーもあるそうで、自身のサイン本を献本したという。著者の思いに込められたメッセージがどのように映像化されるのか―。

映画『望郷』は2017年9月16日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で拡大上映!
監督:菊地健雄
原作:湊かなえ「夢の国」「光の航路」(「望郷」文春文庫 所収)
出演:貫地谷しほり、大東駿介/木村多江、緒形直人
配給:エイベックス・デジタル
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