奈良を舞台にジュリエット・ビノシュ×永瀬正敏W主演で描く河瀨直美監督最新作『Vision』が2018年の公開に向けて撮影開始された。

初めて手がけた劇映画『萌の朱雀』を発表した1997年から20年。世界で高い評価を受ける河瀨直美監督が、生まれ故郷である奈良県を舞台に、世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したフランスの名女優ジュリエット・ビノシュ、そして日本が世界に誇る俳優・永瀬正敏をW主演に迎えた本作。全編奈良で撮影を敢行する本作は、世界中を旅して紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌと、自然豊かな神秘の地・吉野の山々を守る山守の男・智が出会い、言葉や文化の壁を超え、心を通わせていく物語。ジャンヌはなぜ奈良を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来とは―。

ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、河瀨直美が運命的な出会いを果たしたのは、今年5月の第70回カンヌ国際映画祭。本作のプロデューサーであるマリアン・スロットが映画祭の公式ディナーで河瀨監督と同席し、国籍や言語の違いを越えた“映画への愛”をキーワードに河瀨監督とビノシュを引き合わせた。以前よりお互いをリスペクトしていた二人は意気投合し、翌6月には制作が決定。河瀨監督はすぐにオリジナル脚本を執筆し、この出会いからわずか3か月で新たな船出を迎えた。

W主演を務めるジュリエット・ビノシュは、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭の世界三大映画祭すべてで女優賞を受賞した日本をはじめ世界中のファンから愛され続けるフランスの名女優だ。そんな彼女が51本目の出演作としてラブコールを送ったのは、史上最年少でカンヌ国際映画祭のカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した日本を代表する女性監督・河瀨直美。ビノシュは、出演作『ゴースト・イン・ザ・シェル』のキャンペーンで今年3月に来日し、今回撮影のために約半年ぶりに来日して奈良での撮影に臨んだ。

そして、同じくW主演の永瀬正敏。1983年の『ションベン・ライダー』で鮮烈な銀幕デビューを飾って以来、山田洋次や行定勲、石井岳龍といった日本映画界の並居る監督たちと作品を世に送り出してきた。さらにアメリカ、イギリス、台湾など、世界中の監督からも愛され続け、海外作品を含め90作品以上の映画に出演。2014年に公開された台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』では、中華圏以外の俳優では史上初となる金馬奨最優秀男優賞にノミネートされるなどアジアでの確固たる地位と評価を得ている。また、ジム・ジャームッシュ監督最新作『パターソン』への出演も話題を呼んでいる。

河瀨直美(監督・脚本)コメント

今年のカンヌでジュリエット・ビノシュに出逢い、彼女とともに「映画」を創りたいと思った瞬間から、全ての準備がパズルのピースように次々と奇跡的にはまっていき、カンヌから帰国して 3ヶ月ほどで、ゼロからの企画がこうして立ち上がりました。ジュリエットの映画に対する姿勢とフレームの中の存在感は圧倒的です。彼女もやらなければいけない映画という使命と運命を感じてくれていて、日本の奥深い森に来るのは永年の夢だったと聞きました。これからの撮影が楽しみです。

ジュリエット・ビノシュ コメント

今年のカンヌ国際映画祭で初めて河瀬監督に会い、彼女の存在感に圧倒されました。監督の作品は拝見していますが、作品で彼女はいつも自然に寄り添い、人のことを愛していますね。フランスで河瀬監督の作品は非常にリスペクトされていて、彼女が紡ぐ表現方法などとても独特で素晴らしいと感じていました。私は昔から、日本の、特に地方を訪れてみたいと思っていました。その土地に住んで、その地域の人たちの生活に触れてみることを夢見ていましたが、今回、その夢が叶いましたね。都会では何も感じることができないけれど、こうして人間のルーツに戻るべきだと改めて思いました。今作の撮影で、実はハリウッド映画の撮影に入っていたのですが、自然のタイミングに合わせスケジュールを調整しました。ここ奈良では自然に囲まれた中で最高に贅沢な時間を味あわせてもらっています。神様へのお祈りにも参加させていただき、地球、世界と繋がっていることを再認識することができ、とても感動しました。

永瀬正敏 コメント

まず再び奈良の地で河瀨監督の世界に浸らせて頂ける事、とても光栄です。今年のカンヌ国際映画祭で偶然にも出逢った3人が、僅か3ヶ月後同じゴールを目指し未来へ向かっている、、、。日本を代表する、フランスを代表する、と言う肩書きにはもはや収まらない河瀨直美監督とジュリエット・ビノシュさんと共に、しっかりとその未来を見つめたいと思っています。

世界中を旅しながら紀行文エッセイを執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)。とあるリサーチのため、アシスタントと共に奈良の吉野を訪れ、杉の木立が連立する山間で生活をしている山守の男・智と出会う。二人は言葉や文化の壁を超え、次第に心を通わせていく。ジャンヌはなぜ自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来とは―。

映画『Vision』は2018年に全国で公開!
監督・脚本:河瀨直美
主演:ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏