累計2000万部突破のエンターテインメント時代小説『居眠り磐音』が松坂桃李主演で映画化されることが決定した。

明和9(1772)年4月、3年間の江戸勤番を終えた坂崎磐音は幼なじみの二人と共に、九州・豊後関前藩に戻った。だが帰藩早々に起きた“事件”により、磐音は1日にして二人の友を失い、祝言を間近に控えていた許婚の小林奈緒を残したまま関前を後にすることになってしまう。江戸に辿り着いた磐音は、六間掘の金兵衛長屋で長屋暮らしを始める。不慣れな浪人暮らしを送る中、磐音は昼は鰻割きとして、夜は両替商・今津屋で用心棒の仕事を始めることになり―。江戸下町の人々との心温まる交流、颯爽と悪を斬る磐音の剣、胸をしめつける男女の恋模様を描く、全く新しい本格時代劇エンターテインメントが誕生する。

主演は、映画『キセキ -あの日のソビトー』『不能犯』『孤狼の血』『娼年』など数々の話題作に出演し、ドラマ「この世界の片隅に」での演技も記憶に新しい演技派俳優・松坂桃李。江戸で浪人暮らしをしながら、昼間はうなぎ屋で働き、夜は両替屋の用心棒として悪と戦う、“時代劇史上最も優しい主人公”坂崎磐音を演じる。松坂にとって本作が時代劇初主演となる。「居眠り磐音」の呼び名は剣を構えた様子が「居眠りをしている猫のよう」と評されたことに由来しており、颯爽と悪を斬る磐音の鮮やかな剣さばきを、時代劇初主演となる松坂が魅力たっぷりに演じる。

原作は、10を超える全シリーズの売上累計が4500万部を突破している佐伯泰英。その佐伯の最高傑作であり、2002年に双葉社から文庫が刊行され、シリーズ51巻で驚異の累計発行部数2000万部を突破した本作は、“平成で最も売れている時代小説”シリーズとして多くの時代小説ファンの心を掴み、2007年にはNHKでドラマ化もされ、待望の佐伯作品初の映画化となった。監督は、『ゲゲゲの鬼太郎』『超高速!参勤交代』シリーズ、『空飛ぶタイヤ』の本木克英。

今回、映画化決定と合わせて、ティザービジュアルが解禁された。眩しい陽光の中、優しい眼差しでこちらを振り返る姿の松坂桃李と、「彼は、優しさで、あなたを守る。」のコピーが磐音の<優しさの中に強さを持った>人柄と物語への期待を感じさせるビジュアルとなっており、両A面となるもう一方のビジュアルでは、岩の上に腰をかけ、そばにいる猫とともに穏やかに佇む磐音の様子を描いた対照的なものとなっている。本作は2018年3月よりクランクインし、大分県杵築市や京都近郊での撮影を経て4月にクランクアップ。現在はポストプロダクション中。

松坂桃李(坂崎磐音役)コメント

僕が演じた坂崎磐音は穏やかで静かな空気を纏いつつ心の奥底に青い炎を燃やしている、そんな男です。
年寄り猫のような磐音、彼の中で時間がゆっくり流れているような。
クランクイン前に殺陣や所作に加えて、鰻捌きの練習をしてきましたが、非常に難しく心が折れそうになりました。
本木監督はじめ、アクションチーム、京都のスタッフさん、共演者の皆様に支えていただき、何とか最後まで演じきることができました。
幅広い世代の方に楽しんで頂ける作品になっていると思いますのでよろしくお願いいたします。

佐伯泰英(原作)コメント

「居眠り磐音」は、時代小説としては異例の51巻の長大シリーズだ。松坂桃李君主演で映画化されることになった。
私にとって映画化は初めてなら、松坂君にとっても時代劇初主演だそうだ。
私はなぜか初物に強い。文庫書下ろし時代小説という出版形態を確立したのも私である(いささか強引過ぎるかもしれぬが)。これほどの「初物」づくしの撮影現場を京都の太秦松竹撮影所に見物に行った。何十年ぶりだろう、映画スタジオに足を踏み入れたのは。その瞬間、数十年の空白(日芸映画科卒業、撮影助手が最初の仕事だ)が掻き消えて、現場の高揚感と緊張感が私の身を包み込んだ。磐音役の松坂君も初々しかった。初物づくしの映画は、ビギナーズ・ラックを生み出すに違いない、そう原作者は確信している。

本木克英監督 コメント

あたかも娯楽時代劇の傑作に観入るかのような佐伯泰英原作の読み心地を、映画でも現出したいと思いました。
松坂桃李さんという新鮮な才能を得て、本格派の時代劇がよみがえりました。

ストーリー

江戸勤番を終え九州・豊後関前藩に三年ぶりに戻った坂崎磐音と幼馴染の小林琴平、河井慎之輔。三人は同じ道場に通う修行仲間であり、琴平の妹・舞は慎之輔に嫁いでいたため二人は兄弟でもあった。また磐音も、琴平と舞の妹・奈緒と祝言を控えており、三人はただの幼馴染以上の深い絆で結ばれた関係であった。ところが、これから磐音と奈緒との祝言という運びになったとき、大変なことが起こる。なんと慎之輔が「妻・舞が不貞を犯した」という噂を聞き、舞を斬ってしまったのだ。それに激高した琴平は慎之輔に噂を吹き込んだ人物、さらには慎之助本人を斬るという凄惨な展開に。琴平は罰せられることとなり、なんと磐音が琴平を討ち取るよう命じられてしまった。決死の闘いで琴平を討ち取った磐音は、実の兄を殺した以上奈緒と一緒にはなれないと、奈緒を残し脱藩することを決意。すべてを失い、江戸へ向かった―。豊後関前藩を後にして江戸で浪人として長屋暮らしを始めた磐音は、収入源がなく家賃の支払いも滞るようになるが、見かねた大家の金兵衛に鰻割きの仕事や、両替商・今津屋の用心棒の仕事を紹介してもらいなんとか事なきを得る。穏やかで優しいのにいざという時には剣が立つ磐音は次第に周囲から頼られる存在になっていき、今津屋の女中で金兵衛の娘・おこんにも好意を持たれるなど江戸暮らしも様になって来た。そんな折、今津屋が南鐐二朱銀をめぐる騒動に巻き込まれる事件が起き、磐音は用心棒として今津屋を守るために立ち向かう。

映画『居眠り磐音』は2019年5月17日(金)より全国で公開!
監督:本木克英
原作:佐伯泰英「居眠り磐音 決定版」(文春文庫刊)
出演:松坂桃李
配給:松竹
©2019映画「居眠り磐音」製作委員会