東映京都撮影所での様子


周防正行監督4年ぶりの最新作『カツベン!(仮)』がクランクインし、キャストが発表された。

周防正行監督、4年ぶりの最新作の主人公は“活動弁士”。今からおよそ100年前、「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった頃、日本では楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘い、そして、熱狂させる【活動弁士】、通称“活弁”(カツベン)が大活躍した。他にはない日本独自の文化が花開き、映画を観に行くよりも活動弁士のしゃべりを聞きに行くほど。本作はそんな時代を舞台に、活動弁士を夢見る青年が、とある小さな町の映画館に流れついたことからすべてが始まる【アクション】×【恋】×【笑い】の要素を織り交ぜたノンストップエンターテインメント。超満員の映画館、隣町のライバル映画館、再会を果たした初恋相手、大金を狙う泥棒、ニセ活動弁士を追う警察までもを巻き込み、やがて事態は誰もが予想もしなかった展開へ・・・。

本作の主人公に抜擢されたのは、「MEN’S NON-NO」専属モデルとして活躍し、大ヒットした『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』への出演などで活躍する成田凌。本作が映画初主演となる。ヒロインには若手実力派女優の黒島結菜。さらに永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊と超実力派俳優が脇を固める。また、竹中直人、渡辺えり、小日向文世をはじめとする周防作品おなじみのキャストも登場し、周防作品史上“一番映画愛に満ち溢れた、笑えて、泣けて、ハラハラドキドキする”最高傑作が始動する。

東映京都撮影所にてクランクインした本作。本作を撮ろうと思ったきっかけについて周防監督は「日本映画の無声映画時代には“活動弁士”という存在がいて、映画を解説しながら上映していた時代があり、これは世界でも日本独自の文化でした。日本映画の始まりの物語をエンターテインメントとしてみなさんに知っていただき、日本映画の歴史というものを感じてもらいたかったという気持ちが一番強かった」と作品に対する熱い思いを語った。成田を主演、黒島をヒロインに抜擢した理由については「二人ともオーディション(3か月にわたり男女100名ずつ実施)で選びました。日本映画のはじまりの頃はまだみんなが初々しく、そのような初々しさを二人に感じました。また成田さんは会った時の素直な感じ、そして活動弁士として映画を解説している姿がオーディションを通じて想像できたので、その才能を信じてキャスティングさせてもらいました。黒島さんは役でも駆け出しの女優を演じる、その役柄にふさわしい初々しさと可愛らしさを感じました」と語った。

本作で映画初主演となる成田は「映画初主演を周防組で行えるということで、この世界にいる人間としては誰もが羨むようなことだと思っており、もちろんプレッシャーも感じておりますが、何より安心感と信頼があるので、何があっても、這いつくばってでも真ん中に立っていようと思っています」と意気込みを語った。役どころについては「活動弁士に憧れる青年で、真っ直ぐに、素直に、でもやんちゃな部分も持ちつつ、愛するものに突き進んでいく役です」と語り、実際に活躍している活動弁士の方からは「練習をしてから2か月半程度経つのですが、堂々と自信を持ってやればいい!というアドバイスをしていただきました」とコメント。周防監督が「撮影が始まる前に、他の語り芸を絶対に見た方がいいと思い、講談や浪曲を(成田さんと)一緒に観に行きました。あとは、活動弁士としての基本的なことを磨いて、この映画のあとはアルバイトとして活動弁士ができるようになってほしいなと思います(笑)」と話すと、成田は「活動弁士という仕事の楽しさを分かってきた。今後機会があれば本当にやってみたいなと思っています」と答え、笑いを誘った。

ヒロインの黒島は「女優に憧れる女性で、非常に素直で純粋で、小さい頃に活動写真というものを見て、女優になりたいと思う一途な女の子です」と役どころを明かし、「今回オーディションで選んでいただいて、なんで私なんだろうという不思議な気持ちがあったのですが、素直に嬉しいです。あまりオーディションで受かることが今までなかったので(笑)みなさんと良い作品を作っていけるというのは、今後の私の女優人生の中でも非常に貴重な経験になると思うので、撮影を頑張りたいなと思っています。」と意気込みを語った。

続けて、竹中が「まあ、私の役どころは全て渡辺えりが知ってますので!ここに来るまでの間に全部説明してくれたので!説明されて新たな発見がたくさんありました」とコメントすると、渡辺が「いや、台本に書いてあるところを自分がちゃんと読んでないだけじゃない!」とツッコミを入れる場面もあった。竹中は「渡辺から『あんたは婿養子よ?あんた婿養子だからね?』と、いろいろ言ってくれて、なので私は婿養子らしいです」と、周防監督作品『Shall we ダンス?』からの息の合った掛け合いに会場は笑いが溢れた。

共演者として永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、小日向文世、竹野内豊がいるが、共演するにあたって成田は「錚々たる方々がいる中で、主演という形で携わらせていただきますが、主演だからと変に気構えることなく、監督を信じ、共演者の方々を信じて一生懸命やっていきたいです」と語った。

本作をどのようにしていきたいかを聞かれた周防監督は「私の作品に欠かせない方もいれば、初めての方もたくさんいるので、どんな風に私の映画の中で輝いてもらえるかを考えるのは非常に楽しみですし、いつにもましてハジけた映画になると思います。大正時代の空気を感じさせつつ、映画自体の味わいとしては無声映画時代のアクションを意識して作るので、お芝居も普段やっている雰囲気とは違う形をみなさんに要求していこうと思っています」と作品作りに対する意気込みを語った。

京都の太秦を始め、ロケセット等の手応えを聞かれた周防監督は「劇中のサイレント映画も全て、かつてあったものを使うのではなく、新たに撮影し、それを劇中のサイレント映画として公開します。それに先立って時代劇部分をこの太秦で撮影させていただきました。役者を始めスタッフも時代劇を長年やってこられた分かっている方々なので、非常に助かりました。今回は大正時代のお話ですが、太秦にある時代劇に対する蓄積というものを上手にこの映画の中で活かして、なおかつ東映が今まで持ち続けてきた技術や情感というものにも助けていただけるのではないかと思っておりますので、そういう楽しみもあります。私自身も現代劇を離れるという初めての体験であり、日本映画についての映画でもあるので、その培ってきた技術というものを私自身もここで体験し、勉強したいと思っています」と、クランクインしたばかりの状況の中、早速手応えを感じさせるコメント。

活弁の具体的な練習内容について成田は「活動弁士の方に男、女、説明部分の声色をいろいろと作っていただいたり、独特な話し方を教えていただいて練習しています」とコメント。さらに竹中、渡辺との共演について「昔から見ていた方々で、絶対に共演したいと思っていたお二人でしたが、一緒にやってみるとやっぱりさすがだなと感じることばかりです。『Shall we ダンス?』が23年前の作品なので、私が1歳のときからすでに活躍をされていると思うと本当にすごいと」と、共演できることの喜びを語った成田。

最後に黒島は「日本映画界の中でもオリジナルで、珍しい作品になると思っており、キャストの方々も素晴らし方々ばかりなので、みなさまの足を引っ張らないようにしがみついていきたいなと思っています。日本映画の始まりの話でもあるので、たくさんの方々に絶対見ていただきたいなと思っておりますので、精一杯頑張っていきます」と、本作に対する意気込みを熱く語った。

映画『カツベン!(仮)』は2019年12月より全国で公開!
監督:周防正行
©「2019カツベン!(仮)」製作委員会