松永大司監督、行定勲監督


日本を含むアジアの気鋭監督3名がひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクト『アジア三面鏡』シリーズの劇場公開を記念した記者会見が10月3日(水)に日本外国特派員協会で行われ、行定勲監督と松永大司監督が登壇した。

日本を含むアジアの監督3名が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する本プロジェクト。アジアに生きる人々を独自の視点から描くことで、それぞれの国の社会や文化を三面鏡のように映し出し、アジアに生きる隣人としてお互いがお互いを知り、理解し、共感し、アジア人としてのアイデンティティや生き方を模索する契機になることを目指す。3名の監督は、他のアジアの国と何らかの形でつながりを持つ人々を登場させること、そして撮影はアジアの国のどこかで行うこと以外は自由にそれぞれのスタイル で、テーマに沿った作品を仕上げる。

今回行われた記者会見には、第1弾『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』より『鳩 Pigeon』の行定勲監督と、第2弾『アジア三面鏡2018:Journey』より『碧朱』の松永大司監督が登壇、東京国際映画祭フェスティバル・ディレクターの久松猛郎、国際交流基金理事長の安藤裕康、第31回東京国際映画祭「Japan Now」部門のプログラミング・アドバイザーを務める安藤紘平も登壇した。

マレーシア・ペナン島を舞台に、マレーシアの映画人とともに『鳩 Pigeon』を撮った行定監督。自身がアジア映画から影響を受けていたことで「恩返しの気持ちもあった」と明かし、さらに「自分の映画と融合したらどうなるのか楽しみだった」と、現地のキャストやスタッフとのタッグを楽しみにしていた様子。実際の撮影は暑い日中にも行われたが、「昼間に働いてるのは日本のカメラマンと僕だけ」と笑いながら話しつつ、「そういうものにイライラしたりせず、一緒にやっていく良さに慣れてくると非常に楽しい」と振り返った。

同作では、今年の8月に逝去された津川雅彦さんが主演を務めているが、「津川さんは海外での撮影が大嫌いなので、オファーしたときは『多分ダメ』」と望みが薄かったようだが、実際には「参加していただけた」と明かした行定監督。最初に「『死と生のはざまに存在するような役なんだね』とおっしゃっていた」と話したといい、マレーシア入りしたときには津川さんは7~8㎏痩せてきたという。さらに海辺での撮影では「死と生のはざまでは、結局人は何もできないもんだな」と津川さんがつぶやいていた姿が忘れられないという行定監督。

そして今回、第2弾ではミャンマーで撮影を行ったという松永監督。本作を撮影する前に、長編第2作の『ハナレイ・ベイ』をハワイで撮影しており、その時の経験が大きかったという。そして、その経験を踏まえて「海外のクルーとやっていくことが、自分の作家性を広げていく可能性だと思いました。言葉が通じないことが多かったですが、映画を作ることについて勉強になりました。もっとそういう環境で映画作りをして、成長していきたい」と語った。また、津川さんは「マレーシアのキャストやスタッフから愛されていた」と明かした。

このほか、会見では久松フェスティバル・ディレクターより「映画祭に足を運んだことがない人にも魅力を伝えたい」と、新たに東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場で野外上映が行われることや、6つのジャンルとコラボしたTIFF+が開催されることが語られ、また安藤プログラミング・アドバイザーからは、Japan Now部門について「どれも見ごたえのある素晴らしい作品。上映後のQ&Aでは、ほとんどの作品で監督、ゲスト俳優が参加します」と映画祭の魅力を語った。

『アジア三面鏡2018:Journey』は、2018年10月25日(木)~11月3日(土・祝)に開催される第31回東京国際映画祭でワールドプレミア上映された後に、11月9日(金)~15日(木)に新宿ピカデリーほかにて公開、シリーズ第1弾『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は10月12日(金)~18日(木)に新宿ピカデリーほかにて公開される。

【取材・写真・文/編集部】

「第31回東京国際映画祭」は2018年10月25日(木)~11月3日(土・祝)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 ステップ広場ほかで開催!

映画『アジア三面鏡2018:Journey』は第31回東京国際映画祭にて2018年10月26日(金)にワールドプレミア上映、11月9日(金)~15日(木)に新宿ピカデリーほかにて公開!
©2018 The Japan Foundation, All Rights Reserved