ポール・ダノ初監督作品『WILDLIFE(原題)』が『ワイルドライフ』の邦題で7月5日(金)より公開されることが決定した。

キャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールが夫婦役で共演。父と母、ひとりの息子。慎ましくも幸せな家族が崩壊していく姿を14歳の息子の心情を通して描いた本作。演技派俳優、ポール・ダノがが満を持して鮮烈な監督デビューを飾った本作。『ルビー・スパークス』で共演したパートナー、ゾーイ・カザンと共同で脚本・製作も担当。互いに愛し合いながら、なす術もなく壊れてゆく夫婦、ジャネット役をキャリー・マリガン、ジェリー役をジェイク・ギレンホールが演じる。そして14歳の主人公ジョーの哀しみと動揺をもの言わぬ演技で表現してみせるのはエド・オクセンボールド。

「いつの日か映画を作る時は、きっと、家族についての映画を作るだろうと思っていた」というダノが、原作として選んだのはピューリッァー賞作家リチャード・フォードが1990年に発表した「WILDLIFE」。フォードの小説は、寂獏とした読後感で世界中の読者を魅了しており、「モントリオールの恋人」(村上春樹訳)や「ロック・スプリングス」(青山南訳)などの短編も日本で紹介されている。

物語の舞台は、1960年代、カナダとの国境にほど近いモンタナ州の田舎町。14歳のジョーは、ゴルフ場で働く父ジェリーと,家庭を守る母ジャネットの1人息子だ。新天地での生活がようやく軌道に乗り、睦まじい夫婦の姿を息子が安堵の面持ちで眺めていたのもつかの間、ジェリーが職場から解雇されてしまう。さらに、ジェリーは命の危険も顧みず、山火事を食い止める出稼ぎ仕事に旅立ってゆく。残されたジャネットとジョーは働くことを余儀なくされ、母はスイミングプール、息子は写真館での職を見つけるが、生活が安定するはずもない。やがてジョーは、優しかった母が不安と孤独にさいなまれ、生きるためにもがく姿を目の当たりにすることになる。

長回し撮影を多用して、幸せだった家族が壊れ、バラバラになっていく姿をジョーの目線から静かに深く映し出してゆく『ワイルドライフ』。母との関係、父との関係、そして夫婦の関係は、もうもとに戻ることはないとわかっていても、それでもジョーの胸には家族が紡いだ愛情が今も残る。変わりゆく家族の形に戸惑いながらも、父と母の姿を見て、ジョーもまた大人になっていく。

ポール・ダノ、キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール、良質な作品を数多く世に送り出してきた30代の若き才能たちが作り上げた普遍的な家族の物語。そして、ポール・ダノ監督自身の心情が投影された14歳の少年ジョーの成長物語でもある本作。ダノの繊細さと優しさが詰まった本作は、観客ひとりひとりの記憶をそっと呼び起こし、温かい余韻をもたらすに違いない。

映画『ワイルドライフ』は2019年7月5日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開!
監督:ポール・ダノ
出演:キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール、エド・オクセンボールド、ビル・キャンプ
配給:キノフィルムズ